地球環境
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国連気候変動枠組条約第8回締約国会議ハイライト

2002年10月26-28日


10月26日土曜日と10月28日月曜日、UNFCCCのCOP-8の締約国は、作業継続のためコンタクトグループでの会合を開いた。土曜日、締約国は、議定書5条 (手法上の問題)、7条 (情報の連絡)、8条 (情報の検討)、登録簿、研究と体系的な観測(R&SO)、CDMの下での土地利用、土地利用の変化、森林(LULUCF)、政策措置(P&Ms)、非附属書I国別報告書に関するガイドラインについて、検討した。

月曜日、締約国は、5条、7条、8条、CDMの下でのLULUCF、P&Ms、UNFCCC6条 (教育、訓練、啓発)、非附属書I国別報告書、資金メカニズム、R&SOについて議論するため、会合した。いくつかの公式なコンタクトグループでは、火曜日のプレナリーセッションで採択されるべきSBSTA結論書案について、合意があった。この2日間を通していくつかの非公式なコンタクトグループも召集された。

コンタクトグループ

登録簿:Murray Ward (ニュージーランド)を議長とするこのコンタクトグループは、議定書7.4条 (登録簿)での保留事項を議論するため、土曜日に会合した。出席者は、登録簿上の取引を終了した締約国の責任に関する文章について議論した。このグループでは、保留されていた文書案に関する非公式折衝の中で合意に達し、決論書草案はSBSTAへと送られた。

5条、7条、8条:Helen Plume (ニュージーランド)とFestus Luboyera (南アフリカ)を議長とするこのコンタクトグループは、附属書I諸国の目録に関する報告とレビューのためのガイドライン、そして5条、7条、8条に関するSBSTA結論書案について合意をみるため、土曜日の朝に会合した。このグループは、代表査読者への委託条件に関するCOP/MOP-1決定書案について合意に達し、7.1条と7.2条 (補足情報)規定の報告に関するガイドライン案のセクションと、8条規定の割当量および各国登録簿に関する情報の検討を、取り上げた。一日中、非公式な議論が続けられた。

このグループは、7条の下でのガイドラインにおける保留部分について新しい文案を検討し承認するため、月曜日の朝に会合した。修正された箇所は、排出削減単位 (ERUs)、認証排出削減量 (CERs)、割当量単位 (AAUs)と吸収単位(RMUs)に関する情報、そして各国登録簿に関する箇所であった。8条の下でのガイドラインにおける保留箇所も検討されたが、これには、7.3条 (提出頻度)と7.4条に基づく割当量の情報の検討、ERUs、CERs、AAUs、RMUs、国内登録簿のレビュー、そしてメカニズム利用の資格回復をレビューするための迅速手続きが含まれる。EUと、G-77/中国、そしてニュージーランドは、小さな変更を提案した。非公式折衝の後、公式なコンタクトグループが召集され、文書全体での合意がなされた。

R&SO:Sue Barrell (オーストラリア)とS.K. Srivastav (インド)を共同議長とするコンタクトグループは、決論書草案を討議するため、土曜日に3回のセッションを開いた。中国は、開発途上国での国内能力構築の重要性を強調し、日本、インド、マレーシア、ボツワナが、これを支持した。カナダは、EUや米国とともに、SBIに対して決定書5/CP.5 (研究と体系的観測)と5/CP.7 (悪影響)に関係する資金メカニズムへのガイダンスを提供するよう求めることとした文章に、反対した。出席者は、夕方のセッションで、残されたSBSTA結論書の大半では合意したが、UNFCCCの究極目的を支援する研究の優先度に触れたロシア連邦提案のサブパラグラフでは、合意に至らなかった。EU、ノルウェー、スイス、中国、AOSISは、UNFCCCの究極目的達成に必要な科学的、技術的、社会経済的側面を探求することに触れるよう修正されたサブパラグラフの保持を支持したが、米国、日本、インドは、これに反対した。

このグループは、新しいパラグラフを含めて改訂された決論書草案を考察するため、月曜日の夕方に会合した。これらの文章は、同日の夕方前に行われた研究に関する特別なサイドイベントで、SBSTAや、IPCC、そしていくつかの国際研究プログラム間での交流からなるイベントから出てきた重要問題に、注目するものであった。締約国は、多少の改訂の上で、研究に関する意見交換での重要問題について、合意した。クロスカッティングイシューに関しもっと協調した研究アプローチが必要であることを指摘した新しいパラグラフについて、インド、マレーシア、中国は、温室効果ガス濃度安定化に触れた箇所の削除を提案し、EU、ロシア連邦、ノルウェー、スイスはこれに反対した。議論は、夜まで続けられた。

LULUCFとCDM:このコンタクトグループの土曜日朝の会合で、共同議長のThelma Krug (ブラジル) は、マラケシュ合意で設定された追加性(additionality)の定義を考察するよう締約国に求めた。ブラジルはG-77/中国を代表して、追加性に関するEUの原則を支持し、追加性はプロジェクト別ベースで検討されるべきであると述べた。EUは、「真の」追加性が重要であることを強調した。カナダはノルウェーと共に、既存の追加性の定義保持を支持した。リーケッジに関し、EUは、置き換えられた活動からリーケッジ量を測ることへの懸念を表明した。G-77/中国は、リーケッジには、プラスとマイナスの両方の影響があると述べた。ツバルとインドは、影響評価の重要性を強調した。

月曜日、締約国は、社会経済的影響と環境影響に関する議論を続けた。スイスは、生物多様性への懸念を強調し、政策決定での現地利害関係者の参加を勧めた。ニュージーランドは、他のタイプのCDM活動からくる置き換えとそれに伴う環境リスクに注目するよう促した。ツバルは、社会経済的そして環境上のプロジェクト基準に関するチェックリスト作成を提案した。いくつかの締約国が、受入国がそのような基準を定義するべきであることを強調した。EUは、規則の中で影響評価を取り上げるべきであると述べた。CLIMATE ACTION NETWORKは、CDMの下での吸収量に関する懸念を表明した。不確実性に関して、カナダ、EU、ウルグアイは、マラケシュ合意で設定された条項を支持した。ツバルは、計測、追加性、リスクという3つの不確実性分野を紹介した。ウルグアイは、不確実性をリスクから分ける必要性を指摘した。インドは、LULUCFに関して、IPCCの良い実践方法ガイダンスを超えるものを見据える必要性を指摘した。

クレジット発生とプロジェクトの寿命について、EUは、長期的なクレジット発生を求め、いくつかの締約国がこれを支持した。コロンビア、パラグアイ、チリは、プロジェクトを事例ごとに検討するべきであると述べた。ツバルは、第一約束期間を超えるプロジェクトからのクレジット発生の問題を指摘した。ブラジルは、クレジット発生を20年間までと制限するよう求めた。中国は、非永久性とのクロスオーバーを指摘した。コロンビアは、ウルグアイ、ボリビア、チリとともに、小規模の吸収プロジェクトを呼びかけた。EUは、これらのプロジェクトについて簡素化手続きを考えるのは時期尚早であると述べた。ブラジル、中国、マレーシア、ツバルは、マラケシュ合意が小規模のエネルギープロジェクトを対象としていることを強調した。このグループは、決論書草案をSBSTA.に送った。

P&MS:共同議長のPeer Stiansen (ノルウェー)は、土曜日に決定書草案を提出した。いくつかの締約国は、これを議論のただき台として用いるよう主張した。サウジアラビアは、G-77/中国がこの文書を全面的に検討するのに十分な時間がないと述べた。同代表は、この文書が議定書2.3条 (P&Msの悪影響)に関係する問題を十分に取り上げておらず、また非附属書I諸国の新たな約束に道を開くものであることから、G-77/中国がこれを議論のたたき台として 受け入れることはできないと述べた。共同議長のStiansenは、非公式折衝を開くとのべた。

月曜日の朝、サウジアラビアはG-77/中国を代表して、他の問題での進展がない限り、P&Msでの進展はないと述べた。共同議長のStiansenは、SBSTA議長のThorgeirssonがP&Msを含めた広範囲な問題について非公式折衝を行うと述べた。

6条:共同議長のFatu Gaye (ガンビア)とJean-Pascal van Ypersele (ベルギー)は、作業プログラムに関する決定書草案と共同議長の結論書を討議するため、月曜日の午後、このコンタクトグループを召集した。このグループは、資金源に関係する文章、および資金メカニズムへの追加的なガイダンスを提供するようにとのSBIへの要請に関係する文章の全てを括弧内に入れた。出席者は、「開発途上国」または「非附属書I締約国」に関する用語で合意することができなかった。共同議長のvan Yperseleは、作業プログラムの残された部分について非公式に会議を続けるよう、締約国に要請した。

非附属書I国別報告書向けのガイドライン:: Jos_ Romero (スイス)がこのコンタクトグループの議長を務める。締約国は非公式折衝後、非附属書I国別報告書作成のためのガイドライン改善に関する作業文書について、土曜日の夕方に議論した。出席者は、いくつかの括弧を取り除いたが、導入部分での文章については引き続き合意できていない。

月曜日、出席者は、ガイドライン改善に関する文書改訂について討議を続けるため、一日中非公式に会合した。夕方、締約国は、いくつかの括弧書きを取り除いた。このグループは、火曜日も非公式折衝での作業を続けることで合意した。

資金メカニズム:SBI議長のEstradaは、月曜日夕方、このコンタクトグループを召集した。 GEFの報告について、EUは、第3次のGEF資金補充の重要性を強調する文章を求め、ノルウェー、スイス、米国はこれを支持した。締約国は、特別気候変化基金運用のための資金メカニズムに対する追加的なガイダンス提供のプロセスについては、合意することができなかった。ノルウェー、スイス、カナダ、日本、EUは、決定書草案に関する交渉を開始する代わりに、基金の運用上の優先度についてさらなる提起を行うオプションを要求し、インド、ブラジル、バルバドス、中国はこれに反対した。中国は、基金運用化のためのガイダンス提供が急がれることを強調し、インドはこれを支持した。

出席者は、最後進国(LDC)基金について議論したが、合意には達しなかった。カナダは、LDCsおよびLDC専門家グループ(LEG)の議長たちが出席していないことを指摘した。同代表は、LDC基金の運用に関するGEF向けの決定書草案について見解を披露した。同代表は、ノルウェー、EU、スイスの支持を受け、GEF向けガイダンスの運用レベルではなく政策レベルでのものと、NAPAsに明確な焦点を当てることの重要性を強調した。

資金メカニズムのレビューについて、スイスは、このレビューで、GEFの機能と役割、GEFの信頼性と品質管理、そしてそれらを可能にする活動に向けた資源とその評価を取り上げるよう呼びかけた。ノルウェーは、UNFCCCのためのGEF資金必要額をまとめるプロセスを立ち上げるとの文章を削除するよう呼びかけ、またUNFCCC実施のための必要かつ入手可能な資金調達を共同して決定する手続きを紹介するSBI-18向けのペーパーを作成することを事務局に要請するよう提案し、米国、スイス、日本、カナダ、オーストラリア、EUはこれを支持し、インド、マレーシア、中国はこれに反対した。

このコンタクトグループは審議続行のため、火曜日も会合する。

廊下にて

待ち焦がれられていたデリー宣言の第一稿の発表は、まるで興奮を呼ぶものではなかった。何人かの出席者は、この草案が何のフォローも必要としないことに失望し、結果、交渉の焦点はすぐにもこの宣言から他へ移ることになるだろうと示唆した。この予想は、同日の午後早く、COP議長のBaaluが、2.3条やクリーンなエネルギー、資金メカニズムを含むと伝えられる広範囲な問題での行き詰まりを打開すべく、非公式に会合するため、代表団の長を集めたときに現実のものとなった。Vigyan Bhawanで明らかとなった不信感の雰囲気から、一部出席者は、COP-8で実のある成果が可能かどうかの憶測を行っている。

今日の注目

SBSTA:SBSTAは、議長以外の役員選出や、IPCC TAR、手法上の問題、ハイドロフルオロカーボンとパーフルオロカーボン関係の問題、関連する国際機関との協力、6条問題を含めた、広範囲な問題を取り上げるため、午後3時よりメインプレナリーホールで会合する。SBSTAは、技術移転、P&Ms、R&SO、クリーンなまたは温室効果ガスの排出が少ないエネルギー、そして2.3条問題を検討するため、午後8時からホール5で再度会合する。

SBI:SBIは、附属書Iと非附属書I国別報告書、資金メカニズム、能力向上、悪影響、CACAMからの要請、政府間会合の手配、管理上および資金上の問題、そしてLULUCFに関するクロアチア案を検討するため、午後3時からホール5で会合する。

非附属書Iの問題:このコンタクトグループは、午前10時からとさらに午後6時からホール2での会議が予定されている。

資金メカニズム:このコンタクトグループは午前10時からホール5で会合する。