国連気候変動枠組条約第8回締約国会議ハイライト
2002年10月29日
COP-8代表団らは火曜日、コンタクト・グループ及びCOP補助機関会合で協議を継続し、多くの結論を採択した。代表者らは、資金メカニズムと非附属書I国の国別報告に関するガイドラインについて、コンタクト・グループ会合を行った。午後と夕刻、締約国はSBSTA会合を開き、議長以外の役員の選出、IPCC第三次評価報告書(TAR)、方法論上の問題、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンに関する問題、関連の国際機関との協力、UNFCCC6条(教育、訓練、啓蒙)、技術移転、政策措置(P&Ms)、研究及び系統的観測(R&SO)、よりクリーンな、あるいは低温室効果ガス排出型エネルギー、議定書2条3(P&Msの悪影響)の実施に関する問題などについて取り上げた。
SBIは夜遅く会合を行い、附属書I国の国別報告、キャパシティ・ビルディング、UNFCCC4条8及び4条9(悪影響)の実施、中央アジア・コーカサス・アルバニア・モルドバ国家グループ(CACAM)からの要望、政府間協議の手配、管理上・資金上の問題、土地利用・土地利用変化及び林業(LULUCF)に関するクロアチア提案、、その他の問題について検討した。
SBSTA
午後、Thorgeirsson議長がSBSTA-17第6回会合を開いた。役員の選出については、代表者らはSBSTA副議長にArthur
Role 氏(バハマ)を、SBSTAラポルタールにTatyana Ososkova(ウズベキスタン)を選出した。
IPCC TAR:締約国は、TARがSBSTAの作業をいかに支援することができるかという検討事項に関し微少な修正を行って、結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.20)。
方法論上の問題:方法論に関する作業の見直し:Harald Dovland氏 (ノルウェイ)が、本件に関する非公式協議について報告」を行い、結論草案を提出した(FCCC/SBSTA/2002/L.17)。中国はその協議に自分は参加できなかったと言い、いくつか大幅な修正を提案した。バングラデシュはG-77/中国を代表し、G-77/中国は本件について内輪で話し合い、これらの結論を承認したと述べた。非公式協議の後、SBSTA会合の終わりに改訂版テキストが合意された。
議定書5・7・8条にもとづくガイドライン:議定書5条(方法論上の問題)7条(情報の連絡)、8条(情報のレビュー)にもとづくガイドラインに関しては、Helen
Plume氏(ニュージーランド)が、コンタクト・グループがその作業を終え、本件に関する3年間の交渉に幕が引かれることとなったと報告した。Murray
Ward氏(ニュージーランド)は、7条4(登録簿)にもとづくガイドラインに関する非公式協議について報告を行った。これらの結論は採択され、決定草案がCOPに申し送られた(FCCC/SBSTA./2002/L.15
and Add.1-3)。ボリビアは、CDMにおける植林・再植林により取得された認証排出削減量(CER)をその他のCERを区別することについて留保すると述べた。
附属書I国温室効果ガス目録の報告及びレビューに関するガイドライン:締約国は修正なしで結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.16)。
共同実施活動:締約国は修正なしで結論とCOP-8決定草案を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.21 and
Add.1)。
LULUCF及びCDM:Thelma Krug氏(ブラジル)が同コンタクト・グループについて報告を行った。同氏は結論に注目を呼びかけ、CDMにおける吸収源について事務局がペーパーを作成し、また2003年2月にワークショップを開催するというオプションなどについて言及した。同氏は、ブラジルが同ワークショップのホストを申し出ると語った。締約国は同結論草案を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.22)。
ブラジル提案の科学的及び方法論的な側面:Murray Ward氏は、本件に関する協議の結果を報告し、SBSTAが結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.24)。
クロアチアの特別な状況:UNFCCC4条6(市場経済移行国の特別な状況)におけるクロアチアの特別な状況について、Jim
Penman氏(イギリス)が非公式協議に関する報告を行った。SBSTAは、クロアチアの使用する基準年排出量推計手順はIPCC良好手法ガイドラインにもUNFCCC報告ガイドラインにも合致していないとする結論草案を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.14)。
ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンに関する問題:成層圏オゾン層を保護する取り組みと地球の気候システムを守る取り組みとの関係に関する非公式協議について、Richard
Bradley氏(アメリカ)が報告を行った。SBSTAは、同結論草案を採択し、決定草案をCOPに申し送ることに合意した(FCCC/SBSTA/2002/L.19
and Add.1)。
国際機関との協力:Jimena Nieto氏(コロンビア)が協議について報告を行った。SBSTAは、ワークショップに関する委託事項について言及した結論草案を採択し、決定草案をCOPに委ねることに合意した(FCCC/SBSTA/2002/L.18
and Add.1)
6条:Fatou Gaye氏(ガンビア)とJean-Pascal van Ypersele氏(ベルギー)が、同コンタクト・グループの作業について報告を行い、締約国は結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.23)。COP-8決定草案については、資金メカニズムに関するテキストについて代表者らの意見が分かれた。長引く話し合いの末、代表者らは同決定草案をCOPに委ねることに合意した(FCCC/SBSTA/2002/L.23/Add.1)。
技術移転:Terry Carrington氏(イギリス)とPhilip Gwage氏 (ウガンダ)が、技術開発及び技術移転に関する協議について報告した。代表者らは双方のテキストに修正を加えた後、結論を採択し、COP-8決定を承認した(FCCC/SBSTA/2002/L.29
and Add.1)。
P&Ms:Suk-Hoon Woo氏(韓国)が、同グループは総意に達し得なかったとして協議についての報告を行った。Thorgeirsson SBSTA議長は、2条3が結論にどう反映されるのかについてG-77/中国が懸念を示したことに触れ、本件に関する非公式協議も総意に達しなかったと述べた。同議長は、口頭報告とその他検討中の文書について言及した結論草案を提議した。サウジアラビアはこれらの結論は合意されないと述べ、全てのパラグラフをSBSTAは本件における問題の検討を終了していないと記した文言と差し替えることを提案したが、SBSTA-18で引き続き検討を行うことに合意した。EUは決定13/CP.7(P&Ms)の実施について記載することを提案した。同結論は修正され、採択された(FCCC/SBSTA/2002/L.28)。
R&SO:Sue Barell氏(オーストラリア)が同協議について報告を行った。同氏は結論草案の概要を語り、研究機関とその他の機関との強い協力と協調的なアプローチが必要であると述べた。同結論は修正なしで採択された(FCCC/SBSTA/2002/L.27)。
その他の問題:よりクリーンな、あるいは低温室効果ガス排出型エネルギー:Thorgeirsson議長は、本件に関する協議は実質的な結論に至っていないと述べた。SBSTAは、本件に関するさらなる検討をSBSTA-18に申し送るという結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.25)。
議定書2条3の実施:P&Msの悪影響について、Thorgeirsson議長は、同協議では実質的な結論に至らなかったと報告した。SBSTAは、本件に関するさらなる検討をSBSTA-18に申し送るという結論を採択した(FCCC/SBSTA/2002/L.26)。
会合に関する報告書:本会合に関する報告書が採択された(FCCC/SBSTA/2002/L.13)後、Thorgeirsson議長はSBSTA-17を閉会した。
SBI
Estrada議長は午後11時45分会合を開いた。事務局は入手できた結論草案を提議した。SBIはCOP/MOP-1(FCCC/SBI/2002/L.16
and Add.1)、COP-9の開催日及び開催場所(FCCC/SBI/2002/L.10)、UNFCCCプロセスにおける効果的な参加(FCCC/SBI/2002/L.13)に関する政府間会合の手配に関する結論を採択し、EUが最後の結論に関し事前にテキストについて話し合いが行われていないとして合意していないということを記録した。
締約国は附属書I国の国別報告に関する結論(FCCC/SBI/2002/L.9)と、管理上及び資金上の問題に関する結論(FCCC/SBI/2002/L.7)に合意した。締約国は、CACAMはGEFの資金供与を得ることができると述べて、次回SBI会合でCACAMからの要望について引き続き話し合いを行うことを決定した。また、LULUCFに関するクロアチア提案と同国の特別な状況について引き続き検討を行うことも決定した(FCCC/SBI/2002/L.11
and L.12)。キャパシティ・ビルディングに関しては、締約国は二つのCOP-7決定に盛り込まれた現在の枠組みの再確認について意見を提出するよう締約国に呼びかける結論に対し修正を行って、それを採択した(FCCC/SBI/2002/L.15)。
4条8及び4条9の実施に関しては、SBIは悪影響に関する決定5/CP.7にもとづく活動の実施における進捗に関する結論と(FCCC/SBI/2002/L.17)、LDCに関する問題についての結論(FCCC/SBI/2002/L.8)を採択した。SB両議長と事務局が4条8及び4条9の実施に関する会合をSBSTAで合意された国際機関との協力に関するワークショップと連携して行うよう手配するということが合意された。時間が遅かったことからEstrada議長は会議を閉会した。SBIはまた会合を行うが、いつ行うかは未定である。
コンタクト・グループ
資金メカニズム:Estrada SBI議長は、午前中にコンタクト・グループを招集した。GEFの報告書については、インドが「良好かつ多大な第3次GEF資金補充」を強調するテキストの削除を求めて、EU、カナダ、スイスからの反対を受けた。G-77/中国を代表して同国は、最近創設された基金の効果的な運用化と既存の基金の効果拡大を強調するテキストを提案したが、締約国はその提案に合意しなかった。
特別気候変動基金に対するガイダンスについては、カナダ、スイス、ニュージーランド、オーストラリア、日本が、交渉のたたき台としてEU提案の新テキストを使用することを支持した。インドはG-77/中国を代表し、議長テキストの方を使いたいとした。カナダはスイスと共に、同基金に対するガイダンスの優先性を強調した。ノルウェイとEUは同基金の運用化に対する自分たちのサポートを強調し、優先事項を見極め、最低開発途上国(LDC)基金設立に用いたのと同様の手順に従うことの重要性を主張した。締約国は、特別気候変動基金に対するガイダンスを資金メカニズムに対して当面行うことに合意できず、SB-18で締約国による意見提出と協議について、またCOP-9で決定について検討するというEU提案に合意した。
LDC基金については、代表者らはカナダ提案について話し合い、同提案には4つの地域ワークショップの組織に関する具体的な要素と、国家適応行動プログラム(NAPA)の実施プロセスにおける次のステップに関する対話の開始について盛り込まれていることに言及した。マリは附属書I締約国に対し、フォーカル・ポイントとNAPAの実施におけるキャパシティ・ビルディングを検討するよう求めた。サモアは、同基金の補完性とCOPによる運営ガイダンスに関する文言を主張した。非公式協議の後、LDC基金に対するガイダンスについての決定草案が、わずかな追加箇所を加えて合意された。GEFに対する追加的ガイダンスの規定については、複数の締約国がキャパシティ・ビルディング、技術移転、UNFCCC4条8及び4条9(悪影響)、6条に関するコンタクト・グループからのガイダンスが上がってくるまでこの話し合いを遅らせることを求めた。
資金メカニズムの見直しについては、EUが議長の決定草案を元に先に進むことに懸念を示し、新しい提案を配布した。締約国は、事務局長とGEFに対しUNFCCCとGEFのレビュー・プロセスに相乗性を見出すように求めるEU提案には合意できず、同パラグラフを削除した。資金メカニズムの運営機関に対する追加ガイダンスについては、Estrada議長がキャパシティ・ビルディングと技術移転に関する問題についてコメントを呼びかけた。締約国は、同テキスト草案の細目については合意できなかった。
非附属書I締約国問題:非公式協議の後、締約国は午後会合を行い、非附属書I国国別報告のための改訂版ガイドラインについて話し合いを行った。Jose
Romeroグループ議長(スイス)は、改訂版ガイドラインに対して合意に達さないと、第2回国別報告は現行のガイドラインを用いて作成されることになると代表者らに注意喚起を行った。テキストについて作業しながら、代表者らは、非附属書I締約国の温室効果ガス目録の開始年、提出頻度、データが不完全ないし欠如している年についてはどのように扱うか、LDCによる提出について話し合った。締約国はテキストを括弧書きのまま残し、排出係数の問題に移ったが、国別ないし地域別の排出係数を「開発し使用する」かただ「使用する」とするかをめぐって意見が別れ、一部の締約国は運用テキストでは「開発する」という記述を残したいとし、また一部の締約国はこれを決定テキストに移したいとした。話し合いは夜遅くまで続けられた。
会場の外では
水曜日午後の総括セッションのため閣僚らが到着する前に過大な業務を片付けようと代表団が夜遅くまで頑張っていたために、会場の廊下には相変わらず人がいなかった。会場外の抑制された雰囲気とSB会合の進展の遅さに、デリー宣言の最終的な形とそれが議論の対立する未決案件にどう影響するのかについて疑問を感じているオブザーバーがまだ数人いる。
ハイレベル・セグメント:ハイレベル・セグメントと閣僚級円卓会議が、メイン・プレナリー・ホールで10時から演説をもって開始される。「総括」に関する3回の円卓会議のうち、第1回目が午後3時から開催される。
非附属書I国の問題:本コンタクトグループは、午前9時30分からホール3で丸一日会合を行う。 |
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