地球環境
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COP8/SB17アジェンダ要約
地球環境対策部
高橋 浩之

1 開催概要
■ 開催地 インド・ニューデリー Vigyan Bhawan会議場
■ 日程 10月23日(水)〜11月1日(金)
■ 議長 インド環境・農林大臣 バール(Baalu)氏が選出予定

会合の暫定スケジュール(FCCC/CP/2002/1/Add.1)
10月19日−20日   10月23日
(水)
10月24日
(木)
10月25日
(金
10月26日
(土)
登録簿ワーク
ショップ
  COP8開会
SB17開幕
CDM理事会
SB17
CDM理事会
COP全体会合
SB17
SB17
10月28日
(月)
10月29日
(火)
10月30日
(水)
10月31日
(木)
11月1日
(金)
11月2日
(土)
SB17 SB17 閣僚級会合 閣僚級会合 COP8閉会  

  文中の文書(原文)については、http://unfccc.int/cop8/index.htmlのSessional Documentsにてダウンロード可能です。

2 京都議定書に関する事項

■ 京都議定書の批准状況
  アジェンダ公表時点における気候変動枠組条約締約国は、185ヶ国と1つの経済統合地域(EU)である。WSSD(環境開発サミット)終了時点の9月27日時点で京都議定書の批准をすませた国は95ヶ国となっている。我が国を含めて批准手続きを済ませた附属書締約国は25ヶ国で、その1990年のCO2排出量は附属書締約国全体の37.1%となっている。
京都議定書の発効要件は、55ヶ国以上の批准 批准した附属書締約国の1990年のCO2排出量が附属書国全体の55%以上
京都議定書の発効見通しについてはhttp://unfccc.int/resource/kpthermo.htmlを参照
  議定書4条に基づく「共同達成」、いわゆるバブルに関する協定書が、EUから提出されている(FCCC/CP/2002/2)。

■ CDM理事会報告
  CDM理事会は、COP7終了後の2001年11月10日から2002年8月1日-2日まで5回の理事会を開催した。また、COP8期間中の2002年10月23日-24日にかけて第6回理事会を開催する予定となっている。COP8では、この1年間のCDM理事会活動内容の報告が行われる。8月1日-2日までの活動報告はFCCC/CP/2002/3及びAdd.1〜4にまとめられている(Add.1〜4は10月16日現在未掲載)。
  COP8までのCDM理事会の作業
指定運営機関(DOE;Designated Operational Entity)の認定手続き決定、及び認定作業
小規模CDMの定義と手続きの決定
モニタリング方法やベースライン設定についての手順の決定
  CDM理事会は、上記の作業に関するパネル(OE認定パネル、小規模CDMパネル、ベースライン/モニタリングパネル;Meth Panel)を設置し、それぞれ断続的に作業を実施してきた。「小規模CDMの定義と手続き」についてはパネルでの作業及びパネルの提案に対するパブリックコメント受付を終了し、インドでのCDM理事会を経てCOP8で採択される予定である。一方、DOEの認定手続きについては、認定基準に関するパネルメンバーの意見の相違が見られCOP8でのDOE認定の難航が予想されている。また、Meth Panelの活動も遅滞気味となっている。

■ 議定書2条3項の実施
  議定書2条3項で規定されている、気候変動に対応する政策及び措置の国際貿易に対する悪影響を考慮したサウジアラビアの提案の取扱いがSBSTA17及びCOP8で議論される。

■ 議定書3条2項
  議定書3条2項に規定されている、「附属書締約国の2005年までの約束達成に向けた実証可能な進展」に関する情報の報告方法及び審査方法については、6月のSBSTA16で決定しており、COP8にて採択される予定である(FCCC/SBSTA/2002/L6/Add.1)。

■ 議定書5,7,8条ガイドライン(排出量などの推計、報告、審査)
  COP7で決定されたガイドラインにおいて保留とされた,「割当量及び国別登録簿の報告審査」や「京都メカニズム使用資格の迅速回復手続き」の議論がSBSTA16に引き続き、SBSTA17で行われる。本件については、COP8で採択される予定である。また、専門家審査チーム(ERT)の作業に関する事項や審査の際の秘匿情報の取扱いについても議論される予定である。

■ 登録簿技術基準
  国別登録簿、CDM登録簿、取引ログ間の正確、透明、効率的なデータ交換のための「技術基準」の議論が行われる。COP8に先立ち10月19日−20日にワークショップが開催され(結果はFCCC/SBSTA/2002/INF.20としてSBSTA17会期中に公表予定)、6月にSBSTA議長により提示されたインフォーマルペーパー及びこれに対する締約国の意見に基づき検討が行われ(締約国の意見はFCCC/SBSTA/2002/MISC.20及びAdd.1)、SBSTA17で議論、COP8で技術基準が採択される予定。

■ キャパシティービルディング
  COP7において決定された開発途上国及び経済移行国へのキャパシティービルディングの枠組の実施状況が報告される(FCCC/SBSTA/2002/MISC.7)。

■ 技術移転
  COP7で設立された技術移転専門家チーム(EGTT)の活動報告などが行われる(FCCC/SBSTA/2002/9及び10)。

■ カナダ提案の取扱い
  第一約束期間において温室効ガス低排出エネルギーの輸出により得られるクレジットを年間7,000万CO2トンまで認めるように求めた提案(FCCC/SBSTA/2002/MISC.3、同Add.1及びAdd.2)。SBSTA16では結論が出ずSBSTA17及びCOP8で再度議論が行われる。

■ CDMにおける植林/再植林活動
  CDM吸収源活動に関する定義や手続きはCOP9までに決定されることになっている。SBSTA17では植林/再植林の定義を決定する予定になっている。本件に関する締約国の意見はFCCC/SBSTA/2002/Misc.22及びAdd.1にまとめられている。また、植林/再植林についての事務局文書はFCCC/SBSTA/2002/INF.11に掲載されている。

3 気候変動枠組条約に関する事項

■ 条約4条8項、9項の実施
  COP7での決定に従い、気候変動の悪影響や先進国が実施している措置の開発途上国への影響に関するワークショップが開催された他(FCCC/SBI/2002/9)、気候変動や異常気象に関する保険やリスク評価、気候変動や実施される措置の悪影響に関する開発途上国の特定のニーズを対応する保険関係活動の2つのワークショップがCOP8前に開催される。このワークショップの報告などがSBI17議論される他、COPでは気候変動の悪影響や先進国が実施している措置の影響に対する開発途上国のニーズに沿った保険関係活動が議論される。
  また、他の国際環境条約とのジョイントワークショップの検討の他、後発開発途上国基金の運用ガイダンスや国内適応行動プログラム、後発開発途上国専門家チームに関する議論も実施される。

■ 条約4条2項(a)、(b)の第2回審査
  条約4条2条(d)に基づき、「条約4条2項(a)、(b)の妥当性」の第2回審査を1998年12月31日までに実施することになっている。COP4から議案にあがっているが、COP5においてG77中国が議題を「条約4条2項(a)、(b)の“実施”の妥当性の審査」に修正するよう要求したが、コンセンサスが得られず、その後COP議長預かりとなっている。今回は、COP7議長から協議の結果が報告される。
  4条2項(a);附属書国は、附属書国の個別の事情を考慮して、条約の目的を先進国が率先していることを示すため、GHG排出削減等の気候変動を緩和するための自国の政策および措置を実施する。これらの措置は附属書国が共同で実施することもできる。
  4条2項(b);付属書国は、(a)の目標を達成するために取った政策および措置の結果、および予想されるGHGの人為的な排出量/除去量についての情報を条約12条に従って送付する。COPは定期的にその情報を審査する。

■ 附属書締約国の温室効果ガス目録
  SBSTA16で採択された温室効果ガス目録の報告ガイドライン修正草案、温室効果ガス目録の技術審査ガイドライン修正草案(FCCC/SBSTA/2002/L5、同Add.1及び2)のCOP8での採択の他、専門家審査チーム(ERT)の訓練及び秘匿情報の取扱いについて、SBSTA17で議論される。尚、1990−2000年の附属書締約国の情報は、FCCC/SB/2002/INF.2にまとめられている。

■ 附属書締約国の国別報告書
  附属書締約国の第3回国別報告書に対する条約の審査状況についてSBI17で議論が行われる(FCCC/SBI/2002/INF.6及び7を参照)。また第4回通報の時期が決定される。

■ 非附属書締約国の国別報告書
  非附属書締約国の国別報告書作成ガイドライン修正作業のほか、専門家諮問グループの会合結果及び資金支援などについてSBI17/COP8で議論される。

4 閣僚会合
■ 9月30日−10月1日に開催地のニューデリーでCOP8に向けた非公式会合が開催された。ここでホスト国インドのバール環境大臣より閣僚会合におけるラウンドテーブルの進め方の提案があった(外務省ホームページより)。
  ラウンドテーブルとして以下の3つのセッションを開催。
気候変動枠組条約における義務履行の状況を気候変動による悪影響への適応措置(洪水対策、防波堤構築、保険等)、資金援助、技術移転、途上国の制度構築、人材育成の促進につき検証する。
気候変動と「持続可能な開発」との関連性を議論し、開発途上国のニーズの対応策を特定する。
気候変動枠組条約やCOP決定の効果的実施のための「行動のための枠組」に盛り込むべき事項を議論する。
  ラウンドテーブルの結果を踏まえ、「行動のための枠組」を含んだ政治宣言(デリー宣言)を採択。

5 その他
■ IPCC/TAR(第3次評価報告書)の取扱い
  SBSTA16の決定にしたがって,IPCCよりTARに関する報告及びQ&Aセッションが開催される。
  今後の研究課題についての締約国の意見はFCCC/SBSTA/2002/Misc.15及びAdd.1を参照。

■ ブラジル提案
  京都議定書交渉時におけるブラジル提案(1840年以降の各国の歴史的累積排出量の地球表面温度への影響に基づいて附属書締約国間の排出削減を分担するアプローチ)に関して、気候モデリング試作への検討が開始された。9月25日−27日に専門家会合が開催されその結果がSBSTA17に報告される(FCCC/SBSTA/2002/INF.14)。

■ WSSD「ヨハネスブルグサミット」のフォローアップ
  事務局長がWSSDの結果について口頭で報告を実施。

■ サイドイベント(スペシャルイベント)
  COP8開催期間中に会場及びその周辺で条約事務局、各国政府代表団、国際機関、研究機関、環境NGOなどが主催するサイドイベントが開催される。10月9日付のスケジュールでは、CDM、技術移転、温暖化適応方策や緩和策などに関する80以上のサイドイベントが予定されている。
  イベントスケジュールはhttp://unfccc.int/cop8/se/selc8_1015.pdfを参照ください。
  GISPRIでは、10月25日(金)18:00から「実験経済学に基づく排出権取引実験の結果報告」及び「排出権における会計上の取扱い」についての報告を実施する予定。開催結果については、後日ホームページに掲載する予定です。

以上