地球環境
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共同実施活動(AIJ)/共同実施(JI)ホームページ

 世界の共同実施活動の現状

  '96年7月に開催された第2回締約国(COP2)において配付された資料*1によれば、全世界で展開されている共同実施活動は合計で32件あり、日本の11件を足すと合計43件となる。なお、 '96年12月にはUSIJI(米国)の三次プロジェクトが7件認定され、 '96年春にさらに3件のプロジェクトが追加認定されたため、 '97年3月末現在では53件の共同実施活動が世界で推進されていることになった。
表1

これを国別に見ると、先進国(投資国)は6か国(日、米、独、オランダ、ノルウェー豪州)でホスト国は発展途上国の24ヵ国に上る。これらのプロジェクトについては以下の特長が認められる。

(注) *1 : 資料No. FCCC/CP/1996/14/Add.1

(AIJプロジェクトの特長)

(1) 先進締約国でAIJを実施しているのは6ヵ国のみ。

  気候変動枠組条約のANNEX I国(先進締約国) は35ヵ国、このうち市場経済移行国を除けば24ヵ国あるが、現時点でAIJを投資国として実施しているのは6か国のみである。しかも米国の25件と日本11件と2か国で過半数を占める。
 なお、’96年9月にカナダ政府はオタワにCanadian JI Initiativeを設置した。

(2) 投資国とホスト国間の地域的な偏り

 米国は25件中19件が中南米、5件がロシア、東欧。日本は11件中10件が東南アジアを含む東アジアに集中している。またドイツは7件中4件がロシアと東欧に、オランダは6件中3件が東欧に、また豪州は2件とも南太平洋地域となっている。このように投資国により、AIJの対象となる地域は大きく異なっており、米国は中南米、EUは東欧・ロシア、豪州は南太平洋、日本は東アジア地域に集中している。
このことは地勢学的、あるいは相互の歴史的関係によるところが大きいものと思われる。 なお、インドを含む南アジアは今の所0件、アフリカも日本とオランダ各1件の合計2件に過ぎない。

(3) プロジェクトの種類

それぞれのプロジェクトは、大別すると下記の5つに分けられる。しかし現状では、植林・森林保全と再生可能エネルギーに関連するプロジェクトが大半を占めており、意外とエネルギー効率改善プロジェクトの少ないことが分かる。

    --(プロジェクトの種類別件数)--

  1. 植林、再植林、森林保全 (含む砂漠の開墾) 22件

  2. 再生可能エネルギー             16件

  3. エネルギー効率改善              9件

  4. 燃料転換                   5件

  5. ガス回収                   1件  計53件

(4) AIJの質のばらつき

  AIJはパイロット・フェーズとして試験的にボランタリーベースで実施することとなっており、その経験の中からAIJの基準を確立してゆくことになっている。そのため、現状ではAIJの認定基準、判断基準が国により、大きく異なっており、そのプロジェクトの質、内容、レベル、規模などについて千差万別 である。単にシミュレーションだけ実施のもの、土地購入による森林保護(伐採を防止するために土地を購入し保護区にしただけのもの。)などもAIJとして登録されており、中にはAIJとしての適合性が疑問視されるものも含まれている。

 すなわち、現時点ではプロジェクトは玉石混合の状態にある。したがって、AIJの基準の標準化、見直しが進んだ時点でAIJから脱落するプロジェクトも出てくるものと思われる。

(5) AIJの政府・参加主体の取組方

 AIJに対する推進体制(政府の関わり方)、推進プロセス(申請方法、受付方法等)、インセンティブ(クレジット、経済的インセンティブ等)の考え方、相手国政府国の同意取り付け(政府がやるのか事業主体がやるのか等)、資金(政府資金の有無等)、プロジェクトの取組方は国によって大きく異なる。また、国によってはAIJをビジネスチャンスと強く意識している国も見られる。

 上述のようにAIJはJIのパイロット・フェーズとして位置づけられ、試験的、試行錯誤的プロセスを経て、将来のJIに繋げて行くことになっているため、今後も様々なプロジェクトが、様々な取組方で一層展開されるものと考えられる。とくに本年12月に京都で開催される第3回締約国会議(COP3)で先進締約国の2000年以降の行動計画について議定書もしくは法的文書が採択されることになっているため、2000年以降の行動計画が明らかとなるポストCOP3で、AIJの活動は加速されるものと思われる。

表1 AIJプロジェクト・サマリー
投資/スポンサー国 オーストラリア ドイツ オランダ ノルウエー 米国 日本
プロジェクト件数
(内容確認分) :53件
2 7 6 2 25 11
ホストカントリー 中南米 22件

エクアドル 1 メキシコ 1 エクアドル1
メキシコ2
ベリーズ2
コスタリカ8
ホンジュラス3
ニカラグア1ボリビア1
パナマ1

旧共産圏13件
ロシア 1
チェコ 1
ラトビア 2
チェコ 1
ハンガリー 2
ポーランド1 ロシア4
チェコ1

西欧1件
ポルトガル1



南大平洋地域2件 南大平洋2




中近東1件
ヨルダン1



アフリカ2件

ウガンダ1

ケニア1
アジア
インドネシア1 ブータン1
(マレーシア1)

インドネシア1 インドネシア5
中国3
タイ1マレーシア1
プロジェクトの種類





エネルギー効率 1 2 1 1 1 3
燃料転換
2 1 1 1
ガス回収



1
再生可能エネルギー 1 3 1
9 2
植林、森林保全他

3
13 6

*:E7事業(日、仏、独、伊、米、加国の主要電力会社)この分が日、独それぞれのプロジェクトとして1件にカウントしている