地球環境
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CDM理事会第14回会合(2004年6月12−14日 ドイツ・ボン)
結果概要

2004年6月20日
文責:蛭田 伊吹


 2004年6月12〜14日、ドイツのボンにてCDM理事会第14回会合が行われた。新方法論の検討に加え、運営機関の信任、吸収源CDMや小規模CDMの方法論のカテゴリーをレビューする新しいワーキンググループ等の立ち上げ等、CDMが本格的に始動するのに合わせてCDM理事会の作業量もかなり増加傾向にある。 今回理事会によって決定された事項を以下に示す。

1) OEの信任
  以下のセクターにおいてDNV、TUV SUD、SGS UK Ltd.が信任された。
DNV:4(製造業)、5(化学産業)、6(建設)、7(運輸)、10(燃料からのfugitive emissions)、11(ハロカーボン及びSF6の製造と消費から出るfugitive emissions)
TUV SUD:1(エネルギー産業)、2(Energy distribution)、3(エネルギー需要)
SGS UK Ltd.:4、5、6、7、10、11
  デスクレビュー及びオンサイト評価を終了したTUV Anlagentechnik GmbHとSGS UK Ltd.の2社に対してindicative letterが発行された。
  CDMEBメンバーは、DOE及びAEと会合最終日午後に面会しブリーフィングを行った。今後も同じように行うこととし、事務局も参加するよう要求した。ブリーフィングの様子はDOE及びAEに対してのみExtranet web pageから見ることが出来る。)
  2004年9月3〜4日に行われる共同ワークショップには、DOE及びAEも参加出来る。

2) ベースライン及びモニタリング計画の方法論について
  【個別方法論について】
  NM0022-rev(関連スコープ:13(廃棄物の処理と処分)及び15(農業)。Annex 4参照)、及びNM0028(関連スコープ:1(エネルギー産業)及び4(製造業)。Annex 5参照)を承認。
  NM0017については再提出を求めた(正しい手順に則らずに説明文を提出したため受理されなかった)。修正版が提出されればデスクレビューを新たに行うことなく再びMeth パネルが検討し推薦が作成される予定。Methパネルの推薦が提出された時点でCDMEBは、Annex 3に指摘されている論点やMethパネルが作成した再フォーマット版にリストされている適用条件等を考慮した上で再検討する。
→Annex 3で指摘されている論点としては、当方法論によるとプロジェクトの追加性は慣行と比較する方法で提示するとしており不十分。PDDには障壁分析と書いてあるが、そのツールが特定されていない。ベースライン排出量のフォーミュラとベースラインの説明文に整合性がない。等
  もともとMethパネルから見直し推薦が出ていたNM0034-revについては、Methパネルの推薦が受け入れられ再提出となった。
  【その他】
  「グリッド電力に取って代わる再生可能エネルギーの統合された方法論」及び「メタンガス回収活動の統合された方法論」について検討したものの結論が出せず、2004年6月16〜30日までパブリックコメントを受け付けることとした。コメントの内容を考慮した上でCDMEB15にて結論を出す予定。
  SSCのM&PにおけるAppendix B(Indicative List)の見直しがMethパネルによって行われ、Annex 2(Appendix B section III.E Avoidance of methane production from biomass decay through controlled combustion)のように修正することが決定した。
  現行プラクティスの保持をプロジェクトとして認めるかどうかという問題について(the issue of “continuation of practices”)は、Methパネルの議長及び副議長が「どのようなオプションがあるのか」を説明したドラフトペーパーを作成する予定。
  Methパネルの作業量が膨大になってきた問題について検討され、第11回Methパネル会合における作業の優先順位を以下のように決定された。
  承認済みの方法論の再フォーマット。
  検討する方法論を10件選んで暫定/最終推薦を提出。(それ以外の方法論は第12回Methパネル会で優先的に検討される。なお、6月29日までに提出された新方法論は、第13回Methパネル会合以降に検討される。)
  2つの統合された方法論及び追加性評価ツールについて検討、CDMEB15までに提言を作成。
  Methパネルの作業量の問題はさしずめMethパネル会合の数を増やすことで対応する予定。
  CDMEBは、CDMEB15までにMethパネルの作業量について、より新方法論の検討及び承認作業を効率良く進めるためのオプションを説明したノートを作成するようMethパネルに要請。
  CDMEBは、Methパネルが作成したプロジェクトの追加性を証明するツールの統合作業について内部草案に対してコメントし、CDMEB15までに最終案を提出するよう要請。
  申請されたSSCの方法論及びカテゴリーをレビューするCDMEBの作業を補助するワーキンググループ(SSC−WG)の任務が検討された。TORの最終版は今後ネット上で採択される予定であり、CDMEB15までには専門家の募集が開始される。
  Methパネルの次期メンバーが決定された(Annex 1参照)。メンバーに選ばれなかった候補者のリストは今後も保持される。

3) CDM登録簿について
  CDM規約(M&P)に基づきCERs発行時のレビュー手順をCOP/MOPに提出しなければならないことから、Goerg Borsting CDMEB副議長がこの業務に任命された。CDMEB15に第1草案が提出される予定。

4) その他
  【CDMプロジェクト活動の登録について】
  CDM-PDD等を作成するにあたってのガイドラインに合意(Annex 6参照)。なお、CDMEBはプロジェクト参加者に対し、CDM-PDD、CDM-NMB(新方法論のベースライン)、CDM-NMM(新方法論のモニタリング)のフォーマット(フォント、ロゴ等含む)に手を加えずそのまま利用することを強調。
  CDMプロジェクトの登録に関する手続きについて修正(Annex 7参照)。
  登録要請の検討方法に合意。
  CDMEBメンバー・代理をアルファベット順に2人ずつ各登録要請の担当とし、コメント等を考慮した上で査定評価を作成する。作成期限等、作業のモニタリングはBorsting氏が担当。
  【新しい検討事項】
  「CDM関連作業のための資金」という検討事項が追加された。
  COP10に提出する報告書には、今度どのような作業がどの程度必要になるかという包括的な情報が書かれる予定。CDMの事務的費用を賄うためのShare of proceedsのレベルについてもオプションを提示する必要あり。(作業はBorsting氏が中心となって行う。)
  【吸収源CDMの方法論について】
  吸収源CDMの方法論に関するワーキンググループが設立され、Eduardo Sanhueza氏が議長、Martin Enderlin氏が副議長に任命された。WGのメンバーはAnnex 9の通り。(選任されなかった候補者のリストは保持される。)
  手数料の支払い等については、排出源CDMの場合と同じ。
  CDMEB15までに吸収源CDM用のPDD案を作成する予定。
  【次回】
  2004年9月1〜3日(昼まで)
  傍聴申請の受付は8月11日まで。
 

詳細については、CDM理事会HPを参照のこと。
http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/
以上