地球環境
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CDM理事会 第20回会合
2005年7月6日−8日 ドイツ・ボン
結果概要
(”Meeting Report” 要約)

(原文は http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/020/eb20rep.pdf


2005年7月28日
文責:信岡洋子

 
 
概要
@ 3件のAE(OE候補)を特定の審査対象範囲の有効化審査(validation)について信任・暫定指定することに同意した。
A 新方法論が1件(NM0091:天然ガスパイプライン設備からのリーク削減のプロジェクト)承認された他、承認済み方法論や方法論の統合についても検討された。
B 新方法論の検討・承認プロセスを円滑化するため様々な方策が検討された。
C 吸収源CDMプロジェクトで今回承認する新方法論はなかった。
D 2件のCDMプロジェクト (.ホンジュラスの水力発電:0009、チリのネスレ・チリ工場における燃料転換:0024)が本会合前にインターネット上の意思決定で登録が決定した。


1. CDM-AP(CDM信任パネル)の活動
  (1) Indicative letterが発行されたOE候補(applicant entity: AE):
Colombian Institute of Technical Standards and Certification
(2) 今回下記3つのAEがスコープ別有効化審査のために信任・暫定指定され、DOEは計10となった。
(a) BVQI Holdings Ltd. (BVQI)
→スコープ1 (energy industries (renewable-/non-renewable sources))、2(energy distribution)、3(energy demand)
※既に同機関が信任を受けているスコープ:有効化審査・登録(validation/registration)、検証・認証(verification/certification)ともになし
(b) SGS United Kingdom Ltd
→スコープ13 (waste handling and disposal)
※既に同機関が信任を受けているスコープ:有効化審査・登録(1、2、3、4、5、6、7、10、11、12)、検証・認証(なし)
(c) KPMG Sustainability B.V.
→スコープ1、2、3
※既に同機関が信任を受けているスコープ:有効化審査・登録、検証・認証ともになし
(3) 段階的信任(phasing of accreditation)と検証(verification)・認証(certification)の機能にのみ申請するAEの成否についてのCDM-APの提案を検討し、更に内容を詰めるよう要請した。


2. ベースライン及びモニタリング計画の方法論
  (1) 新方法論の承認について
新方法論 詳細
  承認
NM0091 “Leak Reduction from Natural Gas Pipeline Compressor and Gate Stations” AM0023として承認された。スコープ10。詳細は(Annex13参照)
  見直し
NM0070
NM0078
NM0080
NM0082
NM0092
プロジェクト参加者が2005年9月の第17回Methパネル会合での再検討を希望する場合は、修正版を7月25日までに提出すること。
  不承認
NM0071-rev
NM0096
NM0097
NM0099
NM0100
NM0101
NM0103
NM0104
NM0109
NM0114
特になし
  その他
NM0090 Methパネルで今回承認推薦されており、CDM理事会は再フォーマットし次回会合で承認を検討できるようMethパネルに要請。
  (2) 承認済みの方法論について
AM0003(Simplified Financial Analysis for Landfill Gas Capture Projects)、AM0017(Steam System Efficiency Improvements by Replacing Steam Traps and Returning Condensate)、AM0022(Avoided Wastewater and On-site Energy Use Emissions in the Industrial Sector)の再フォーマットされた修正案を採択(adopt)することで合意した。これらの改訂版は2005年7月9日付で発効しこれまでのものに置き換わることとなるが、改訂前の方法論を用いたプロジェクト活動で7月9日以前に登録申請のされたものは改訂版に影響されない。
  (3) 方法論の統合について
再フォーマット版の統合方法論 “Consolidated Methodology for Grid-connected Electricity Generation from Biomass Residues”について、Methパネルに再度検討するように要請した。同統合方法論が承認されれば、AM0004 (Grid-connected biomass power generation that avoids uncontrolled burning of biomass)及びAM0015(Bagasse-based cogeneration connected to an electricity grid)に置き換えられる。
再フォーマット版の統合方法論 “Consolidated baseline methodology for waste gas and/or heat for power generation”を承認した。同統合方法論は承認済みのNM0031-rev (OSIL-10MW Waste heat recovery based captive power project)と新たに承認されたNM0087(Shri Bajrang WHR CDM project)とNM0088(Jorf Lasfar heat recovery enhancement for power project)を統合するものである。スコープ1。
  (4) Methパネルへの要請
以前CDM理事会はMethパネルに混合セメントの製造と使用に関連した方法論の統合を要請(NM0045-rev、NM0047-rev、NM0095、NM0106)し、現在作業中であるが、この作業を優先的に行うように要請した。
  (5) その他方法論についての議論
炭鉱、炭層メタンの回収と利用に関する方法論(NM0066、NM0075、NM0093)についてはMethパネルによる専門的意見も追加され、次回の CDM理事会で最終的な推薦を出すべく検討をする。
第12ラウンドの新方法論申請締め切りは2005年7月13日
地方自治体、国、地域の政策展開/政策実施がCDMになるかという点に関してMethパネルからCDM理事会に指針が求められており(政策措置を方法論とした提案方法論:NM0072“Mandatory energy-efficiency standard for room air conditioners in Ghana”)、前回の会合で合意に達することはできなかった。この件に関して、CDM理事会は、NM0072のもとでのCDMプロジェクトの適合性について理事会が指針を出せば、MethパネルはNM0072を再検討する用意がある旨確認した。
  (6) 新方法論のプロセスを改善するための方策について
新方法論の検討と承認のプロセスを改善するために、「提案された新方法論の提出と検討の手続き」の改訂版(version 7)に合意した(Annex2参照)。
提案された新方法論の検討プロセスの改善に関する課題について、ドラフトペーパーがまとめられた(Annex3参照)。次回も引き続いて話し合われる。
プロセス改善のための緊急策として、新方法論再提出のタイムフレームを設けること、事務局にMethパネルの詳細な技術的概要の準備や新方法論提出フォームの見直しと編集などを要請すること、Methパネルに新たに2人メンバーを追加することで合意した。
プロジェクト参加者提出用の “CDM Proposed new methodology: Baseline (CDM-NMB)”のフォーム改訂版とガイドライン(Annex4参照)、Methパネルが利用する “Summary recommendation form” (Annex5参照)、「承認済み方法論の適用に関するDOEからの照会に対するフィードバックの手続き」(Annex6参照)に同意した。
Methパネルに、ベースライン選択の一助となるようなツールを追加的に開発するよう要請した。これはプロジェクト開発事業者による新方法論の提出を促すためである。
  (7) その他
プロジェクト活動が過去に遡ってクレジットを求める時ベースライン排出量の算出に盛り込むべき情報について検討した。有効化審査段階で入手可能な最も新しい情報を用いるべきであるが、ベースライン排出量の計算で、事前と事後のどちらでもできるなら、事後での算定を選ぶべきである。また、方法論が事前か事後のうち低い値が用いられなければならないときは、その方法論の規定に従う。事前か事後のどちらかが明白に当該方法論で確立されている場合はその規定に従う。
クレジット期間の更新に必要な手続きと書類について検討した(Annex7参照)。
MethパネルとA/R WGによるバイオマスの定義に関する議論を検討した(Annex8参照)。


3.吸収源CDM関連事項
  (1) 新方法論
ARNM0003、ARNM0004、ARNM0005を不承認とする。
  (2) プロセスに関する問題
今後の新方法論検討手続きを円滑化するため、CDM理事会はA/R WGにA/R新方法論の推薦をする際にはMethパネルと同様、上記のフォーム(Annex5参照)をもとに、簡潔な”Summary of the assessed methodology”を作成することを要請。また、新方法論提出の際のフォームを見直すよう要請。
  (3) その他
吸収源CDMの追加性立証ツール(小規模吸収源CDMには必要ない)のドラフト及び簡略版追加性立証ツール(小規模CDM用)ドラフトを検討。
新AR方法論の第5ラウンドの締め切りは2005年7月20日、次回のAR/WG会合(第5回)は8月31から9月3日に開催される。

4. 小規模CDM関連事項
  排出量がクレジット期間内に増加していく小規模CDMプロジェクトの適合性について検討し、以下の点で合意した。
(a) 小規模CDMはクレジット期間内の毎年において小規模CDMプロジェクトタイプ別の制限内に収まらなくてはならない。
(b) クレジット期間内で該当タイプの制限を超える年がある場合は、その年に排出削減として申請できる量はPDDで推定された最大排出削減量を上限とする。
(c) プロジェクト参加者はPDDにおいて小規模CDMの3つのタイプの規定に基づくことを証明する。
(d) 更新可能なクレジット期間の場合は更新時に小規模CDMの制限を超えていないか確認する。
バンドリングについて明確にすべき箇所の確認。
第3回SSC WGは9月12・13日に開催される。


4. CDMプロジェクト活動の登録
  レビュー中であった3プロジェクトのうち、(a)La Esperanza Hydroelectric Project (0009)、(c)Graneros Plant Fuel Switching Project(0024)に関して、CDM理事会は前会合と本会合の間にインターネットを通じて登録を承認した。
  (b)Olavarria Landfill Gas Recovery Project(0029)は現在もレビュー段階。

5. CDM登録簿
  登録簿の管理について、いくつか検討し合意に至った(permanent holding accountsはプロジェクトホスト国(non-Annex I国)、temporary holding accountsはプロジェクト投資国(Annex I国)と明記する、規定のパーセンテージの切り上げ/切り下げによって生じた未分配分のユニットの取り扱い、登録簿管理者は毎月のユニット口座と取引についてユニット、取引、口座ごとの情報をCDM理事会と各DNAに公表すること)。


6. SBSTAとの連携について
  SBSTA22でのCDM関連の議題項目(HFC23の破壊によって得られるCERsについて)の議論を報告することになっていたが、時間の都合で次回のCDM理事会に延期。


7. 財政について
  事務局による最新の予算状況の報告によると、CDM活動のための2005年の予算は(コア・補正予算合わせて)6.99百万ドルで2.93百万ドル不足があり、2005年下半期の活動に支障を与えることも懸念されたが、G8サミットにて今年末までに資金提供がなされることが示唆された。関係各国に感謝の意を示した。
  SBI22への申請予算案の調整後、2006、2007年の今後2年間の予算の配分は4.69百万ドル(コア予算)、13.27百万ドル(補正予算)の合計17.83百万ドルとなった。


8. COP/MOP1への報告書
  COP/MOP1への報告書ドラフトを検討し、今後事務局がCDM理事会と各パネルの議長とともに完成させることで合意した。




以上