地球環境
メニューに戻る


CDM理事会 第21回会合
2005年9月28日−30日 ドイツ・ボン
検討事項
(”Proposed Agenda and Annotations” 要約)

(原文は http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/021/eb21annag.pdf


2005年9月20日
文責:信岡洋子

 
 
CDM理事会検討事項の概要
@ CDM-AP(信任パネル)関連では、2件のAEを特定の審査対象範囲の有効化審査(validation)について、3件のAEに対しては検証(verification)・認証(certification)での信任について検討する(詳細は機密)。
A 方法論の検討についてはMethパネルからの推薦が検討される。うち、承認推薦は2件(NM0090埋立地の有機廃棄物をたい肥化するプロジェクト、NM0079-revセメント工場の廃熱回収・有効利用)。その他方法論の統合についても検討する。
B 吸収源CDMプロジェクトでA/R WGが承認を推薦する新方法論はなかったが、次回のA/R WGで承認を推薦される可能性がある方法論ARNM0007については検討の継続がA/R WGから提案され、これについて検討する。
C CDMプロジェクトの登録申請し、レビューリクエストがあった「Nubarashen Landfill Gas Capture and Power Generation Project in Yerevan (0069)」を検討する。


1. CDM-APの活動
  2005年9月9、10日にカタール・ドーハで第18回CDM-AP会合が開催され、同月CDM理事会(EB)に第8回進捗報告書が提出された。EBではこの報告書における理事会への提案内容を検討する。(同報告書は本アジェンダの付属としてUNFCCCホームページで入手可能 http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/021/approg08.pdf )

報告書の内容
  - indicative letterの発行はなし。
  - 2件のOE候補(applicant entity: AE)の有効化審査(validation)の信任に関する提案、3件のAEの検証(verification)・認証(certification)の信任に関する提案を検討した。詳細は機密で、CDM理事会の決定は今後公開される。
  - 第19回CDM理事会(2005年5月11日〜13日)以降、新たな申請が1件あり、申請数の合計は31となった。このうち3件はその後申請を取り下げた。
  - 28の信任を申請した機関の地域的配分は以下の通り:
アジア太平洋地域から11件、西ヨーロッパその他地域から14件、南米・カリブ地域から2件、アフリカ地域から1件 このうちアジア太平洋地域における非付属書I国からの申請が3件であったので、合計で6件の申請が非付属書I国からとなった(韓国2、マレーシア1、コロンビア1、ブラジル1、南アフリカ1)。
  - 次回のCDM-AP会合は11月上旬に開催される予定。


2. ベースライン及びモニタリングの方法論
  Methパネル
Methパネル第17回会合がドイツ・ボンで9月6から9日にかけて行われた
( http://cdm.unfccc.int/Panels/meth 参照)。
  - 新方法論提出の第12ラウンド(7月13日締め切り)では9件の提出があった。このうち7件はMethパネルによるクオリティ検査(quality check assessment)を通過し現在Methパネルによる検討段階にある。現在CDM理事会とMethパネルによる検討が進んでいる方法論については以下のホームページを参照( http://cdm.unfccc.int/methodologies/PAmethodologies/publicview.html )。
  - Methパネル第17回会合では33件の新方法論が検討され(そのうち、13件は前回の第11ラウンドで新しく提出された10件と再提出された3件である)、以下のようにCDM理事会に推薦することで合意した。
(a) 承認推薦: NM0090、NM0079-rev
(b) 見送り: NM0107NM0108NM0110NM0112は見直しのためプロジェク参加者に差し戻し。専門家、パブリックの新しいインプットは必要ない
(c) 不承認: NM0092-revNM0113NM0116NM0119NM0120NM0122NM0125は、専門家、パブリックの新たなインプットを取り入れ、見直し後再提出。
  - 仮推薦(preliminary recommendations)
NM0078-revNM0105NM0111NM0117NM0118NM0123NM0124

○ 方法論の統合について
  第20回CDM理事会での要請に応え、Methパネルは以下の統合方法論案を提出した。
いずれも前回のCDM理事会から検討が進められていたものである。
(a) AM0004AM0015NM0081NM0050-revNM0098を統合する方法論案「Grid-connected electricity from biomass residues」。この統合方法論は承認されると、AM0004AM0015に置き換えられる。
(b) NM0045-revNM0047-revNM0095NM0106を統合する方法論案「Consolidated baseline methodology for increasing the blend in cement production」。
(c) NM0066NM0075NM0093NM0094NM0102を統合する方法論案「Consolidated baseline methodology for coal bed methane and coal mine methane capture and use for power (electrical or motive) and heat and/or destruction by flaring」。

○ 承認済み方法論の見直し
  - MethパネルではACM0002ACM0001AM0003AM0011の見直しが行われた。CDM理事会はこの見直しの内容を検討する。

プロセスに関する事項
  - EBメンバーからの新方法論の検討・承認プロセスの改善に関する提案を前回のCDM理事会に引き続き検討する。
  - CDM理事会メンバーによるインターネット上での議論において反対意見が出たため、“procedures for the revision of approved methodology”の修正案をCDM理事会会合で検討する
(Annex 2 http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/021/eb21annagan2.pdf )。

その他の説明・ガイダンス
  - MethパネルはCDM理事会に以下のようにガイダンスを出すよう提案: パフォーマンスが悪かったりリーケージが削減量を上回ったりして一時的に排出量削減がマイナス(ベースライン排出量−プロジェクト排出量−リーケージ<0)となってしまった場合は、当該プロジェクトによる排出量削減によってマイナス削減量の埋め合わせがなされた後CERsが発行される。
  - 異なるCDMプロジェクト活動の組み合わせを新方法論として提案する方法論について(承認済み方法論と新しい方法論の組み合わせ)、提案された新方法論から、既存の方法論が適用されるプロジェクト活動を外してもよい旨提案。しかし、Methパネルはプロジェクト参加者の取引費用の負担を過度にしないためにも、異なるCDMプロジェクトが同じ投資プロジェクトで、同一のサイト、開始時期、クレジット期間であるなら、いくつかの方法論が別々に適用されるという、独自のPDDの提出を認めるべきだとした。
  - 次回のMethパネルの会合(第18回)は10月17日〜19日に開催される。


3. 吸収源CDM関連事項(afforestation and reforestation project activities)
  - A/R WG (Afforestation and Reforestation Working Group) は第5回会合(2005年8月31日〜9月2日:ドイツ・ボン)で以下について話し合われた
http://cdm.unfccc.int/Panels/ar 参照)。CDM理事会ではこれらを検討する。

吸収源方法論について
  - 提出された6件の方法論を検討し、以下のとおりCDM理事会に提案する。
(a) 不承認: ARNM0006ARNM0008ARNM0009ARNM0011
(b) 仮推薦: ARNM0010
(c) 検討の継続: ARNM0007次回のA/R WGで承認を提案する可能性あり。
上記6件の新方法論は第4ラウンド(4月28日締め切り)、第5ラウンド(6月10日締め切り)で提出されたもの。第6ラウンド(7月20日締め切り)では2件の新方法論が提出され、現在予備調査の段階。http://cdm.unfccc.int/methodologies/ARmethodologies/process

プロセス・ガイダンスに関する事項
  - 小規模吸収源CDMプロジェクトの 簡素化された方法論、及びA/Rプロジェクトの追加性立証・評価ツール案の修正版について、CDM理事会はA/R WGの提案を検討する。
(A/R WG第5回会合レポート
Annex 1 http://cdm.unfccc.int/Panels/ar/ARWG05_repan1_simplified%20AR_SSC_meths.pdf
Annex 2 http://cdm.unfccc.int/Panels/ar/ARWG05_repan2_Additionality_Tool_final.pdf 参照)
  - その他、再生可能バイオマスの定義や、吸収源プロジェクトのベースラインシナリオにおける説明・ガイダンスがA/R WGの提案を参考に話し合われる。
  - 次回のA/R WG会合は10月31日から11月2日に召集される。


4. 小規模CDM関連事項
  - SSC-WG(Small-Scale Working Group)の第3回会合が2005年9月12、13日にドイツ・ボンで開催された( http://cdm.unfccc.int/Panels/ssc_wg 参照)。同会合でまとめられた提案をCDM理事会で検討する。
  - 小規模CDM方法論の修正についての検討。
  - SSC-WGがCDM理事会がガイダンスを出すべき事項として提案する内容について検討する。(例:タイプIIIのプロジェクト直接排出量、タイプIIIの見直し、タイプIの再生可能エネルギー(とりわけ設備容量の定義と風力のベースラインシナリオの作り方)、水流の増加など再生可能エネルギーのインプットが増加した場合についてなど)
  - 小規模CDMプロジェクトのバンドリングについてのSSC-WGの提案を検討する。バンドリングのガイドライン案はSSC-WGが次回の会合で提出される予定
(SSC-WG第3回会合レポートAnnex 2 参照http://cdm.unfccc.int/Panels/ssc_wg/sscwg_meetings/SSCWG03_repan2_Bundling_FINAL2.pdf )。
  - 次回のSSC−WG会合は2006年1月26、27日に開催されることが暫定的に決まった。


5. CDMプロジェクト活動の登録
  - 登録のためにこれまで提出されたプロジェクト活動のステイタスの確認(Annex 1参照 http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/021/eb21annagan1.pdf
  - レビューリクエストが申請された登録申請プロジェクト「Nubarashen Landfill Gas Capture and Power Generation Project in Yerevan (0069)」について検討し、レビューを実際行うか、それともCDMプロジェクトとして登録するか決める。
  - レビュー中のプロジェクトである「Olavarria Landfill Gas Recovery Project(0029)」については、第19回CDM理事会で小規模プロジェクトとしては検討できないと判断、適切な方法論を用いて再度CDM-PDDと有効化報告書を提出するよう要請していた。再提出は今のところない。
  - 以前のCDM理事会での議論をもとに用意される登録手続きの効率化に関するペーパーの検討、過去に遡ってクレジットを求めるプロジェクトに関する議論を行う。

6. SBSTAとの連携について
  - 5月19日から27日まで開催されたSB22のSBSTAにおける、CDM関連の議題項目(HFC23の破壊によって得られるCERsについて)の議論を報告
  - SBSTAは各国政府とオブザーバー、政府間組織にこの問題の含意と取り組む手段についてペーパーを提出するよう依頼、SB23でこれらを元に話し合うこととなった。

7.その他
  - CDM関連の作業のための予算、DOEやAE、各国政府から受領したコメント等についての検討。




以上