地球環境
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CDM理事会 第22回会合
2005年11月23日−25日 モントリオール・カナダ
検討事項
(”Proposed Agenda and Annotations” 要約)

(原文は http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/022/eb22annag.pdf


2005年11月21日
文責:信岡洋子

 
 
CDM理事会検討事項の概要
@ CDM-AP(信任パネル)関連では、複数のAEを特定の審査対象範囲の有効化審査(validation)について、及び検証(verification)・認証(certification)での信任について検討する(詳細は機密)。
A 方法論の検討についてはMethパネルからの提案が検討される。うち、承認推薦は3件(NM0076-rev:自流式水力発電、NM0111:硝酸製造工場における触媒NO2の破壊、NM0115:再生可能エネルギー源を用いての無機化合物製造に必要なCO2・電力・蒸気の生産)で、その他、統合方法論についても検討される。中でも、炭層・炭鉱メタンの統合方法論が正式に承認される見通し。
B 吸収源CDMプロジェクトにおいては、ARNM0010を承認するというA/R WGの提案(前回は仮提案(preliminary recommendation)が出ていた)、及びARNM0007を見直しのためプロジェクト参加者に差し戻すという提案(前回は承認の可能性を考慮して検討の継続が提案されていた)などを検討する。また、COP/MOPに提出される最終ドラフトの小規模吸収源CDMの簡素化方法論確認する。


1. CDM-APの活動
  2005年11月11日、12日に第19回CDM-AP会合が開催され、CDM理事会(EB)に第9回進捗報告書が提出された。同報告書は前回のCDM-AP会合(9月9日〜10日)以降の進捗を報告するものであり、EBではこの報告書における理事会への提案内容を検討する。
(同報告書は本アジェンダの付属としてUNFCCCホームページで入手可能
http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/022/approg09.pdf )

1−1. 報告書の内容
  (i) Conestoga Rovers & Associates Limited(アメリカ・カナダ) にindicative letterを発行した。
  (ii) 複数件のOE候補(applicant entity: AE)の有効化審査(validation)の信任に関する提案と検証(verification)・認証(certification)の信任に関する提案を検討した。詳細は機密で、CDM理事会の決定は今後公開される。
  (iii) OE申請の状況
第21回CDM理事会(2005年9月28日〜30日)以降、新たな申請が1件あり、申請数の合計は32となった。このうち3件はその後申請を取り下げた。
29のAE申請の地域的配分は以下の通り:
アジア太平洋地域から12件、西ヨーロッパその他地域から14件、中南米・カリブ地域から2件、アフリカ地域から1件
このうちアジア太平洋地域における非付属書I国からの申請が3件であったので、合計で6件の申請が非付属書I国からとなった(韓国2、マレーシア1、コロンビア1、ブラジル1、南アフリカ1)。


2. ベースライン及びモニタリングの方法論
  Methパネル第18回会合がドイツ・ボンで10月17日〜19日にかけて行われた
( http://cdm.unfccc.int/Panels/meth 参照)。

2−1. 新方法論提出状況
  新方法論提出の第13ラウンド(10月5日締め切り)では18件の提出があった。現在Methパネルによる事前評価中。このうち1件は、初めてとなる炭素回収・貯留の方法論で、前回のCDM理事会で決まったように、理事会からの指針が出るまで同方法論の検討は保留となっている。このMethパネルによるクオリティ検査を通過すれば次回のMethパネル第19回会合で検討されることとなる。現在CDM理事会とMethパネルによる検討が進んでいる方法論については以下のホームページを参照
http://cdm.unfccc.int/methodologies/PAmethodologies/publicview.html )。
  Methパネル第18回会合では24件の新方法論が検討された(そのうち7件は第12ラウンドで提出されたもの、また、このうち第11ラウンド提出のNM0121と第12ラウンド提出のNM0130は専門性が追加的に必要との理由で検討を保留)。個別案件については、以下のようにCDM理事会に提案することで合意した。

2−2. 個別案件について
  (a) 承認: NM0076-revNM0111NM0115
  (b) 見送り: NM0105NM0117NM0118NM0123NM0124は見直しのためプロジェク参加者に差し戻し。専門家、パブリックの新しいインプットは必要ない
  (c) 不承認: NM0128は、専門家、パブリックの新たなインプットを取り入れ、見直し後再提出。
  (c) プロジェクト参加者へ仮提案(preliminary recommendations):NM0082-revNM0129NM0126NM0127

2−3. 方法論の統合について
  CDM理事会での要請に応え、Methパネルは以下の統合方法論案を提出した。
  (a) NM0066NM0075NM0093NM0094NM0102を統合する方法論案「Consolidated baseline methodology for coal bed methane and coal mine methane capture and use for power (electrical or motive) and heat and/or destruction by flaring」(炭層・炭鉱メタンの回収・発電・燃焼に関する統合方法論)
前回のMethパネルで承認が提案されたが、前回のCDM理事会では再びMethパネルで詳細を検討するよう要請があり、今回Methパネルから再び同統合方法論案が提示された。露天掘りのサイトや廃坑には適用できない。Methパネル第18回会合レポートAnnex4参照 http://cdm.unfccc.int/Panels/meth/Meth18_repan4_ACMXXX_CMM_CBM.pdf
  (b) NM0078-revNM0070を統合する方法論案「Conversion from single cycle to combined cycle power generation」(モノジェネからコンバインドサイクル発電への更新)
Methパネル第18回会合レポートAnnex3参照
http://cdm.unfccc.int/Panels/meth/Meth18_repan3_ACMXXX_Cons_NM0070_NM0078rev.pdf
  (c) NM0131NM0132については、承認済みの方法論AM0008「Industrial fuel switching from coal and petroleum fuels to natural gas without extension of capacity and lifetime of the facility」(石炭・石油から天然ガスへのエネルギー転換)に統合することを提案。次回の第23回CDM理事会での検討に間に合うよう、今後これら方法論の統合をMethパネルで検討し、提案することとする。

2−4. 承認済み方法論の見直し
  MethパネルではAM0002AM0025ACM0002ACM0003ACM0006の見直しが行われた。CDM理事会はこの見直しの内容を検討する。

2−5. 説明・指針
  (i) コンバインドマージンに関する説明(clarification):ACM0002やその他の方法論にある、グリッド接続の発電プロジェクトのベースラインを検討する際に用いるオペレーティングマージン(OM)とビルドマージン(BM)の排出係数の加重平均について、MethパネルはCDM理事会のために説明を用意した。第1クレジット期間はOM:BMを50%:50%をデフォルトとし、第2・3クレジット期間においてはBM100%とする解釈を改めて示した。しかしながら、50%:50%がなぜ妥当な数字なのかは明確にされていない。
Methパネル第18回会合レポートAnnex8 参照
http://cdm.unfccc.int/Panels/meth/Meth18_repan8_OMBM.pdf
  (ii) 自治体/国/地域の政策の立案や実施のCDMプロジェクトとしての適合性に関して、Methパネルに指針を与えるために第19回CDM理事会で検討したがまとまらなかった。今回引き続き検討する。
  次回のMethパネルの会合(第19回)は2006年1月31日〜2月3日に開催される。


3. 吸収源CDM関連事項(afforestation and reforestation project activities)
  A/R WG (Afforestation and Reforestation Working Group;吸収源作業部会) は第6回会合(2005年10月31日〜11月2日:ドイツ・ボン)で以下について話し合われた
http://cdm.unfccc.int/Panels/ar 参照)。CDM理事会ではこれらを検討する。

3−1. 吸収源CDM方法論について
  4件の方法論を検討し、以下のとおりCDM理事会に提案する。
(a) 不承認: ARNM0010
(b) 見送り: ARNM0007前回のA/R WG次回のA/R WGで承認を提案する可能性ありとされ、検討の継続が提案されていた。今回は見直しのためプロジェク参加者に差し戻して再提出を求める。専門家、パブリックの新しいインプットは必要ない。
(c) 仮提案(preliminary recommendations):ARNM0012ARNM0013については、プロジェクト参加者に仮提案を行う。

上記4件の新方法論のうち、(c)の2件は第6ラウンド(7月20日締め切り)で提出されたもの。ARNM0007は第4ラウンド、ARNM0010は第5ラウンド(6月15日締め切り)なお、最近締め切られた第7ラウンドでは6件の方法論が提出された(10月14日締め切り)。
吸収源CDM方法論の検討状況は以下を参照
http://cdm.unfccc.int/methodologies/ARmethodologies/publicview.html

3−2. 説明・指針
  (i) 小規模吸収源CDMプロジェクトの簡素化された方法論について:
CDM理事会は前回の会合で、A/R WG提出同方法論案を検討し、理事会メンバーからの技術的コメントを組み入れれば承認し、COP/MOPに提案するとした。これを受けて、A/R WGは第6回会合でこれらコメントを反映した。
(A/R WG第6会合レポートAnnex 2 http://cdm.unfccc.int/Panels/ar/ARWG06_repan2_AR_SSC_Meth.pdf 参照)
  (ii) 吸収源プロジェクトのための土地の適合性を定義する手続きについて、A/R WGはCDM理事会への提案をまとめた。(A/R WG第6会合レポートAnnex 6 http://cdm.unfccc.int/Panels/ar/ARWG06_repan2_AR_SSC_Meth.pdf 参照)A/R WGは更に、この手続き案がCDM理事会に承認されれば、これをPDDに組み入れることを提案している(これまでのステップ0 の吸収源プロジェクトの追加性立証・評価ツールに置き換わることとなる)。この際、承認済みもしくは提出済みの方法論にはこれは適用しない、つまり土地の適合性に関する情報をPDDに掲載する義務は負わせないこととする。
  (iii) 前回のA/R WG及びCDM理事会から検討されていた再生可能バイオマスの定義をまとめ、CDM理事会での検討のため再び提案した。
(A/R WG第6会合レポートAnnex 7 http://cdm.unfccc.int/Panels/ar/ARWG06_repan7_renewable_biomass.pdf )。
  次回のA/R WG会合は2006年2月5日〜7日に召集される。


4. 小規模CDM関連事項
  SSC-WG(Small-Scale Working Group)の会合は前回のCDM理事会以降開催されていない。次回のSSC−WG会合は2006年1月26日、27日に開催される。


5. CDMプロジェクト活動の登録
  登録のためにこれまで提出されたプロジェクト活動のステイタスの確認
(Annex 1 http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/022/eb22annagan1.pdf 参照)
11月9日現在、34のCDMプロジェクトが登録され、21の登録申請が受理されている。
 
レビューリクエストが申請された「Nubarashen Landfill Gas Capture and Power Generation Project in Yerevan (0069)」について、前回のCDM理事会で当該プロジェクトを検討し、レビューチームを結成しレビューを実施することで合意した。今回のCDM理事会ではレビューチームの本件に関する提案を検討する。


6. CDM登録簿・CERの発行
  (i) CDMの検証・認証について2つの機関(DNV、TUV SUD)が信任され、初のCER発行申請が10月4日に2件(ともにホンジュラスの水力発電プロジェクト)、5日に1件(インドのバイオマスプロジェクト)受理された。15日間のレビューリクエスト期間の後、初のCERがCDM登録簿・バージョン1の保留口座(pending account)に発行された。
  (ii) CDM登録簿のバージョン2は現在事務局で設置が進んでいるところ。
  (iii) COP/MOP1でShare of proceedに関する決定がなされれば、事務局はCERをプロジェクト参加者の保有口座(holding account)に移転できる。


7.その他
  CDM関連の作業のための予算に関するアップデート、DOEやAE、各国政府から受領したコメント等についての検討を行う。




以上