Vol. 12 No. 251
2004年12月8日、水曜日 |
第10回国連気候変動枠組条約締約国会議
2004年12月7日
火曜日にはCOP-10 参加者はSBI/SBSTA 本会議、 コンタクトグループで会合した。SBIは附属書 I および 非附属書I 国別報告書、UNFCCC資金メカニズム、
キャパシティビルディング(能力向上)、 UNFCCC 6条 (教育、訓練、啓発)、 及び事務局の役割と業務に関する継続レビューについて議論した。SBSTAは、とりわけ、温室効果ガス目録;
議定書7条4項規定の登録簿システム; 議定書7条(情報の連絡) 及び 8 条(情報の検討);技術移転; 政策措置における優れた実践 (P&Ms);
及び国際機関との協調について取り上げた。コンタクトグループは、土地利用、土地利用変化、森林 (LULUCF)のための優れた実践方法ガイダンス (GPG)、
研究と体系的観測(R&SO)、 CDMで定める小規模新規植林及び再植林 (A&R) プロジェクト活動、及び、決定書5/CP.7(悪影響)規定の活動の実施状況について取り上げた。
SBI
非附属書I 国 国別報告書:第2次国別報告書、必要ならば第3次国別報告書の提出: ブラジルは、G-77/中国を代表して、非附属書I締約国が国別報告書作成にさらなる時間と支援が必要であると要請し、提出期限を具体的に設定しないことを希望した。オーストラリアは、アンブレラグループを代表し、COP10で提出時期に関する合意するよう求めた。EU
は、提出プロセスの継続を守り、提出サイクルを促進する決定書を強く求めた。Soobaraj Nayroo Sok Appadu (モーリシャス)とAnders
Turesson (スウェーデン)両氏が共同議長を務めるコンタクトグループで本件を取り上げる。
専門家諮問グループの作業: 非附属書I 国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)委員長のBrian Challenger (アンティグア・バーブーダ)は、CGE
2004-5年作業プログラム実施について進捗状況を報告した。韓国は、グローバルワークショップのホスト国となることを申し出たが、モザンビークは、ワークショップを同国で開催されるよう求めた。AOSIS
はSIDS支援を要請した。スイスは、CGEの権限拡大とともにCGEへの支援の必要性を強調した。Stoycheva議長が結論書草案を作成する。
資金・技術援助の提供: Stoycheva議長が、この問題に関する結論書草案を作成する。
第1次国別報告書の編集及び統合: Stoycheva議長が、この問題に関する結論書草案を作成する。
資金メカニズム: 気候変動特別基金 (SCCF):将来のSCCF資金供与国が最近開催した会合の結果、総額3500万ドル(米ドル)の拠出金が確約されたとEUは述べた。サウジアラビアは、個々の活動に優先順位をつけるべきではないと述べた。アルゼンチンは、パナマとともに、SCCFへの拠出金についての確約を歓迎する一方で、適応と災害対策を効果的に支援するには不十分であると指摘した。小島嶼国連盟(AOSIS)は、アフリカグループ及び、
最後進国(LDC)、ナミビア、キューバ、ウガンダの支援を得て、地球環境ファシリティ(GEF)によるCOPガイダンスの解釈をめぐる懸念を表明し、その背景として、最も脆弱な国々が共同出資条件の負担、COPで採択されていないような追加的な基準や指標の存在、GEF規定で実現可能な適応プロジェクトの範囲の狭さなどの諸事情により、GEF資金へのアクセスが困難であることを挙げた。スイスは、漸増的な費用原則の単純化をめざした新基準について留意し、アメリカは一般的な信託基金とSCCF
に適用される基準の違いを歓迎した。サモアは、もっと革新的なアプローチを使うべきであり、GEFではなく COPが、適格性基準を決定すべきであると述べた。
GEFに関する報告書: GEFは、国別報告書、キャパシティビルディング(能力向上)、 適応、 LDC、SCCFに関する活動について述べた。 アルゼンチンは、GEFの管理コストに対する懸念を表明し、モーリシャス、ウガンダとともに、援助資金利用について透明性を要求した。AOSISは、GEFがCOPのガイダンスに従うべきであると強調した。
締約国からのコメントを受けて、共同出資比率は増分費用だけを出資するというGEFの要件によるものと説明し、管理コストについては、GEF理事会で取り上げるとGEFは述べた。
決定書 5/CP.8 の実施(資金メカニズムの見直し): 日本は、実質的な共同出資資金の財源に関するGEFのてこ入れを歓迎した。アメリカは、GEFが実施に関する漸増コストの資金調達を行っていることに留意したが、国別報告書で提案されているプロジェクトの多くはそうした費用を明らかにしていない。EUは、第4次GEF資金補充に向けて財源を明らかにすることが重要であると強調した。
GEFに対する追加ガイダンス: 日本は、管理問題以外のプロジェクトの適格性と基準に関しては、COPがGEFに対してガイダンスを提供するべきだと述べた。 ミクロネシアは、SIDSが基金にアクセスすることが困難であると強調した。ニュージーランドは、GEFがもっと柔軟にSIDSの小規模プロジェクトに支援の手を差し伸べるべきであると提案した。
Rawleston Moore (バルバドス) と Jozef Buys (ベルギー)が共同議長を務めるコンタクトグループでは、SCCF、決定書5/CP.8の実施、及びGEFへの追加ガイダンスについて取り上げた。Stoycheva議長はGEFに関する報告書の結論書草案を作成する。
キャパシティビルディング(能力向上): Philip Gwage (ウガンダ) は、ブエノスアイレスで2004年12月3日に開催されたキャパシティビルディング実務会合について報告した。日本は、現行のUNFCCCによるキャパシティビルディング活動に関する報告について、国別報告書支援のような形で支援した。 タンザニアは、G-77/中国を代表して、報告・監視手続きおよび諸指標の必要性を確認した。アメリカは、締約国すべてがキャパシティビルディングに関する報告方法の改善に向けて努力すべきであると述べた。Roger
Cornforth (ニュージーランド) とShirley Moroka (南アフリカ) がコンタクトグループの共同議長を務める。
UNFCCC 6条: UNEPは、6条実施について締約国支援のための貢献について報告した。EUとスイスは、情報センターのメリットを強調した。アメリカは、情報センターは利用者にとって使いやすく、費用便益性が高く、段階的に整備されたものであるべきだと述べた。Crispin
d’Auvergne (セントルシア) がこの問題に関するコンタクトグループの議長を務める。
附属I国別報告書: オーストラリアは、国別報告書の編集・統合において附属書I締約国による温室効果ガスの正味の排出量を含めるべきだと提案した。中国は、G-77/
中国を代表して、緩和政策の影響に関するデータを含めるよう提起した。 ウルグアイは、科学的レビューを提案し、スイスが優れた実践を集めて印刷することを提案した。
Stoycheva議長が関心のある締約国と協議の上、決定書草案を作成する。
事務・財務上の問題: 事務局は、ドル安による事務局運営コストの限界を強調した。Stoycheva議長は、Harald Dovland (ノルウェー) を指名し、この問題に関する非公式折衝を実施する運びとなった。
事務局の役割と業務に関する継続レビュー:事務局はスタッフの代表国の地理的分布とワークショップ運営費に関する情報を提供した。インドは、G-77/中国を代表し、上級スタッフの附属書I
国と非附属書I締約国の出身国比率の評価を提案した。 サウジアラビアは、 この点を永久に議題として残すことを提起し、EUがこれに反対を唱えた。Harald
Dovlandが非公式折衝を指揮する。
SBSTA
手法問題: 温室効果ガス目録: IPCCインベントリー・タスクフォース事務局は、温室効果ガス目録のためのIPCC 2006年度ガイドライン作成状況について報告した。オーストラリアは、EUやアメリカとともに、UNFCCCホームページを更に充実させるよう求めた。Branca
Americano (ブラジル) と Helen Plume (ニュージーランド)がこの問題に関する非公式折衝の進行役となる。
議定書7.4規定の登録簿システム: Murray Ward (ニュージーランド) は、2004年11月8日から10日かけてボンで開催された登録簿システムに関するセッション中諮問会合について報告した。EUは登録簿システムの実施を歓迎した。Murray
Wardがこの問題に関するコンタクトグループの議長を務める。
議定書 7条、8条: EUは、標準報告様式を良き叩き台として議論をすすめるよう提案した。登録簿システムに関するコンタクトグループでこの問題を取り上げる。
附属書I国排出見通し: Benrageb議長がこの問題に関する結論諸相案を作成する。
技術開発と技術移転: 技術移転に関する専門家グループ (EGTT)のMargaret Martin (カナダ)議長は、EGTTの 2004年度作業プログラムについて報告し、2005年度作業プログラムの提案内容について述べた。多くの締約国は、EGTTが民間部門を取り込むべく努力したと指摘し、技術開発・移転に対する資金援助のための革新的オプションに関するワークショップの成果を歓迎した。
諸環境の実現に関するEGTTの作業の重要性を強調し、2005年に予定されている適応技術に関するセミナーの支援をいくつかの締約国が表明した。参加者は、UNFCCC技術情報センター(TT:CLEAR)維持のためのリソースに関する影響などについて取り上げた。Kishan
Kumarsingh (トリニダード・トバゴ) と Holger Liptow (ドイツ)が共同議長を務めるコンタクトグループでこの問題について検討する。
政策措置(P&M): サウジアラビアは、 G-77/中国を代表して、事務局作成の関連文書を検討するためにもっと時間をとるよう求めた。中国は、文書の表題に関していくつか留保することを表明した。Tony
Surridge (南アフリカ) とMichael Young (アイルランド) が共同議長を務めるコンタクトグループでこの問題を取り上げる。
国際機関との協調: IPCC、 生物多様性条約(CBD)、 食糧農業機関、および森林に関する国連フォーラムからの代表が、UNFCCCプロセスに関連する各代表機関の活動について報告した。スイスは、CBD、UNFCCC
、国連砂漠化対処条約の共同連絡グループの役割を強化することを提案した。アメリカは、国家レベル、ローカルレベルでの協調の必要性について述べた。 Outi Berghall
(フィンランド) とMarcela Main (チリ)が共同議長を務めるコンタクトグループでこの問題を取り上げる。
コンタクトグループ
LULUCF GPG: Audun Rosland (ノルウェー) とWilliam Kojo Agyemang-Bonsu (ガーナ)が同コンタクトグループの共同議長を務めた。Rosland共同議長は、SBSTA-20
で共通報告様式に関して進歩があったことを喚起した。議定書のための報告様式に関するカナダとスウェーデンのプレゼンがあり、参加者は質疑応答に参加した。 事務局は、議定書6条
(共同実施)規定LULUCFに関する諸問題を報告した。 Rosland共同議長は、SBSTA20から付託された交渉本文草案の括弧書きをすべて削除し、6条を引用した共通報告様式に関するオプションを取り除くよう提案し、EU、
カナダ、日本がこれを支持した。 ブラジルは、G-77/中国を代表し、この問題をさらに検討する時間を設けるよう求めたが、COP-10でこの問題について合意が見られるよう望んだ。 AOSISは、SBSTAがIPCCに対して“GPGにおける手法1”(複数の活動を受ける土地の単位)を改訂するよう要請するべきだと述べたが、カナダとニュージーランドがこれに反対を唱えた。
R&SO: Stefan Rosner (ドイツ) とSoobaraj Nayroo Sok Appaduが共同議長を務めた同コンタクトグループでは、GCOSがUNFCCCを支援するGCOS実施計画に関するプレゼンが行われた。Rosner共同議長は、決定書草案に対する締約国からのインプットを求めた。出席者は、特にGCOS実施計画の資金的意味合い、キャパシティビルディング、および体系的観測でのギャップの確認について議論することが大切であると指摘した。
小規模A&R CDM: Thelma Krug (ブラジル)と Jim Penman (UK) が共同議長を務め、小規模A&R
CDM活動のための簡素化規則と手続き、プロジェクト活動実施促進策などに関する決定書草案について、パラグラフ単位で提案内容の議論を進めた。小規模A&R
CDM活動の定義については、日本が、いくつかの締約国とともに、人為起源による正味の温室効果ガス排出量平均予測を吸収源によって除去するという言及を支持したが、AOSISの反対にあった。
AOSISは、プロジェクトが議定書の適応基金に対して、その収益のうち低い分担金の支払いを免除、もしくは免れないと記述した文言を削除するよう提案したが、チリ、
日本、 ペルーが反対した。カナダは、いくつかの締約国とともに、低所得社会でコストが最大の障害となっている点に触れ、管理コストをカバーする程度までプロジェクト収益に関する分担金の比率を提言するとの言及を維持する案を支持したが、EUとAOSISがこれに反対を唱えた。 出席者は、小規模A&R実施促進のための措置をホスト締約国が規定するように奨励する文言を削除することで合意した。簡素化規則と手続きの実施に向けたキャパシティビルディング活動に支援を求める文言が合意された。
悪影響: Paul Watkinson (フランス)と Samuel Adejuwon (ナイジェリア)が共同議長を務めるコンタクトグループで、各パラグラフの支持者と懸案事項について確認しながら、SBI-20から付託された決定書草案の見直しが行われた。
G-77/中国は、同グループ内でさらなる討議を行う必要があると指摘した。
廊下にて
京都議定書の発効を目前に控え、実際に進歩が示されているものの、火曜日の討議では、いったん沈静化したと思われたCOPとGEFの軋轢が再浮上した。 悪影響に関するコンタクトグループでも同じく沈滞ムードが流れ、参加者はSB-20以降ポジションの変化が見られず、COP-10で決定書合意に至るには、重要な非公式折衝が必要になると発言していた。
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