地球環境
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Vol. 12 No. 254
2004年12月11日、土曜日

第10回国連気候変動枠組条約締約国会議

2004年12月10日



COP-10参加者は、金曜日、SBSTAプレナリーおよび多数のコンタクトグループで会合した。午前中、SBSTAは、気候変動 (緩和)での緩和の科学的、技術的、社会経済的側面について議論し、COPコンタクトグループは、CDM理事会(EB)の報告書を取り上げた。SBIコンタクトグループは、一日中、次の主題について会合した:キャパシティビルディング(能力向上);UNFCCCの資金メカニズム;UNFCCC6条(教育、訓練、啓発);最後進国(LDCs)関連問題。SBSTAのコンタクトグループは、次のものを取り上げた:議定書規定LULUCF活動に関する優れた実践方法ガイダンス(GPG);伐採された木材製品(HWP)その他LULUCF関係の問題;緩和;そして技術移転である。

SBSTA

緩和:
Benrageb議長は、12月9日の持続可能な開発および技術革新、展開、普及に貢献する緩和の実際的な機会と解決法に関するワークショップでの要点についてとりまとめを発表した。多くの締約国がこのワークショップを歓迎し、将来のSBSTAセッションでの追加のセッション中ワークショップ開催を支持した。中国はG-77/中国に代わり、緩和が開発の悪影響を生む結果となってはならないことを強調し、技術革新、開発、移転のための国際的なメカニズムの確立を、締約国に促した。日本は、他の多くのものとともに、エネルギー効率の関連性を強調した。同代表は、この分野での国際協力を部門ベースで行うべきであると述べた。EUは、緩和がカギであることを強調し、大幅な温室効果ガス削減は技術的にも経済的にも実現可能であると指摘した。

ウガンダは、緩和を早期に行うことは、将来の適応コストの回避となることから、緩和は、適応の一つの形と考えられると、述べた。オーストラリアは適応と緩和が役割を補い合うことを強調した。ツバルは、適応は特にSIDSにとり必要であるが、緩和への約束も同じ位重要であることを強調した。同代表は、情報交換の利点を認めた上で、このワークショップで行動に十分な情報と技術が利用可能であることが実証されたと述べた。

多数の締約国が、この後のSBSTAワークショップでのプレゼンテーションのテーマについて提案を行った。サウジアラビアは、ワークショップで緩和の社会経済的な側面を取り上げるべきだと述べた。AOSISは、再生可能エネルギー技術の重要性を強調した。チリは、ワークショップでは運輸部門が十分に取り上げられていないと述べた。カナダは、部門別の事例研究を取り上げるよう提案した。議長のBenragebは、Kok Seng Yap (マレーシア) と坂本敏幸(日本)を共同議長とする、この問題のコンタクトグループを設置した。

コンタクトグループ

キャパシティビルディング(能力向上):
共同議長のRoger Cornforthは、キャパシティビルディング(能力向上)に関する決定書案での交渉の土台となるG-77/中国提出の提案について、参加者の意見を求めた。EUは日本、米国、オーストラリア、カナダと共に、この文章は受け入れられないと発言し、この文章は、合意された委託条件に合致しないと述べた。日本は、キャパシティビルディング(能力向上)の枠組みのレビューでは、GEFの将来活動や、GEFへのガイダンスを取り上げるべきではないことを強調した。G-77/中国は、提案された文章が、この決定書の影響を受ける100以上の途上国の見解を示したものであることを強調した。EUは、共同議長が新しい決定書草案を作成するよう提案し、米国、カナダ、日本はこれを支持したが、G-77/中国は反対した。共同議長のCornforthは、他の締約国からの決定書草案への新しい提案を求めた。経済移行国でのキャパシティビルディング(能力向上)に関しても非公式の議論が続いた。

資金メカニズム:共同議長のRawleston Mooreは、気候変動特別基金(SCCF)に関する決定書草案を配布した。参加者は、途上国が決定書5/CP.8(資金メカニズムのレビュー)に規定するUNFCCCでの約束を達成するための資金的なニーズを取り上げた。南アフリカは、G-77/中国に代わり、GEFとCOP間の理解に関するメモランダムに基づき、COPとGEFは、必要な資金調達を共同で決定するべきであると述べた。米国、カナダ、EU、日本は資金調達を明らかにするための既存の規則の維持を支持した。資金メカニズムのレビュープロセスに関し、EU、カナダ、日本、米国は、既存のガイドラインを用いるべきであると述べた。G-77/中国は、さらなる折衝の時間を要求した。共同議長のMooreは、締約国に対し、これらの問題に関する非公式折衝を行うよう求めた。

CDM EB:参加者は、CDM EBに関する決定書草案について議論した。CDMプロジェクト活動による他の環境協定の目的達成の影響に関し、EUは、特にオゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書に焦点を当てるよう提案した。ブラジルは、EB会議でのオブザーバーの物理的な出席を容易にするためのコストについて懸念を表明したが、米国はこれに反対した。インドは、「追加性」の定義に関する序文を提案した。日本は、EBが非公開セッションを開くのを制限する文章、およびEBに対し、特にエネルギー効率や運輸部門でのCDMプロジェクトでの手法についてガイダンスを作成するよう求める文章を提案したが、カナダとブラジルはこれに反対した。インドは、EBでの承認された手法のデータベースに関する文章、および経験を得ることによる承認済み手法の改定手続きに関する文章を提案した。同代表は、「追加性の実証と評価のツール」の利用が、プロジェクト関係者にとり強制的でないとの記述を提案し、また特にいくつかの締約国がツールの状況について懸念を表明したことを示す文章を提案したが、EUはこれに反対した。EUは、 EBに対し、EBおよびそのパネルが効率的で透明性のある決定を容易に行えるよう努力を強化することを求める文章を提案した。

UNFCCC 6条::
参加者は、6条に関するニュデリー作業プログラムの実施と、その実施を強化する方法に関する結論書草案と決定書草案について議論した。SIDSに関して別な6条のワークショップをとの提案に関し、参加者は、 COP-11直前にワークショップを開催することで合意した。出席者は、両方の文書について議論し、マイナーな改定を提案した。出席者は、GEFへのガイダンスを含めた包括的な決定書草案で行われている折衝と調整する必要についても取り上げた。議長のCrispin d’Avergneは、改定文書を作成すると述べた。

緩和:
出席者は、緩和に関する将来のSBSTAセッション中ワークショップのテーマを提案した。多くの締約国が、12月9日からの緩和に関するワークショップについての、午前中のSBSTA プレナリーでの発言を繰り返した。中国は、G-77/中国に代わり、次のワークショップでは緩和の社会経済的側面に焦点を当てるべきだと述べ、多くのものがこれを支持した。オーストラリアは、科学的、技術的問題が無視されないならば、社会経済的問題に焦点を当てることは受け入れ可能であると述べた。EUは、今日の緩和は明日の適応コストを削減するものであることを指摘した。オーストラリアとEUは、過去のワークショップの成果を再検討する必要性を表明した。

多くの締約国が、緩和オプションのコストと便益、そして共同便益を考えるよう提案した。サウジアラビアとカナダは、各国の状況を考えるよう提案し、ニュージーランドは、最もコストのかからない緩和手法を取り上げた国内政策の例をとりあげるよう提案した。多くの参加者が、ワークショップでは、一つのテーマに絞ることはせず、クロスカッティングイシューも含めるべきであると述べた。中国は、技術移転に関する専門家グループ(EGTT)に結論を伝えることを提案した。米国は、ニュージーランドの支持を得て、実務者(プラクティショナー)の参加を提案した。カナダは、ワークショップの委託条件を交渉するには時期尚早であると述べた。締約国は、それぞれの見解を提出し、共同議長がコンタクトグループでのさらなる検討のため結論書草案を作成することになる。

LDCS:
このコンタクトグループは、LDCsに関係する問題を議論した。EUは、LDC専門家グループ(LEG)の権限が2005年中も続くことを指摘した上で、LEGの作業とその権限のCOP-11までの延長について、議論するよう提案した。タンザニアは、LDCsに代わり、これに同意して、LEGが国内適応行動計画(NAPAs)の実施にガイダンスを与えることを提案した。LDC基金に関するGEFへのガイダンスについて、LDCsは、フルコスト資金提供の原則への支持を再確認し、適応活動の緊急性を強調した。同代表は、共同資金プロジェクト活動についてGEFが提案しているスライド制が困難であることに焦点を当て、全面的な資金調達のための糸口について議論するよう提案した。日本は、NAPAsがまとまり、プロジェクトが確定されるまでは、資金提供レベルについて議論することに反対した。スイス、EU、ノルウェー、カナダは、GEFの共同資金提供の必要条件を支持し、プロジェクトは、宙ぶらりんの形にするべきではなく、通常国内政策ではもっとも緊急性のある活動が取り上げられることから、LDC基金プロジェクトは、そういった努力を補い、その土台の上に築かれるべきであると述べた。共同議長が、検討のための決定書草案を作成する。

LULUCF:
共同議長のWilliam Agyemang-Bonsuは、議定書3.3条(新規植林、再植林、森林後退)および3.4条(追加活動)に基づくLULUCFのGPGに関する決定書草案改訂版を提出した。この草案では、特にGPGが、マラケシュ合意と「合致する」形で適用されると規定し、GPGに含まれる報告手法は3.3条および3.4条規定のLULUCF活動の対象となる土地面積を明確にできることを確実にするべきであるとの脚注が含まれる。参加者は、この決定書草案改訂版について、さらなる修正なしに合意した。

オーストラリアは、ファクタリングアウト(要素抽出)に関し、LULUCF問題での広範なアプローチを行う前向きな協議を呼びかける自国の提案に焦点を当てた。米国、カナダ、日本、ニュージーランド、ノルウェーは、この総合的なアプローチを支持した。ブラジルは、AOSIS、ペルー、アルゼンチンとともに、より焦点を絞ったアプローチを望み、COP-10後に、締約国の提言や場合によっては生物相(バイオーム)毎の定義を検討する技術ワークショップを開催することを、提案した。米国は、第一約束期間以後についての議論には関わらないとの同国の立場を強調した。

HWPについて、ブラジルは多くのものとともに、HWPに関するIPCCでの作業を歓迎し、HWPについては、2006年のIPCC温室効果ガス・インベントリー・ガイドラインが完成後に議論した方が良い可能性があると指摘した。EUはノルウェーとともに、SBSTAが、締約国に対し、各国の特定のHWPデータを2005年8月1日までに提出するよう求めることを、要請したが、カナダはこれに反対した。オーストラリアは、インベントリーの報告は変更されてはならないと、締約国に警告し、インベントリーは「ピュア(純粋)」なままでなければならず、政治的な議論に結び付けられてはならないと発言した。米国は、HWPについて透明性のある形で報告するよう締約国に促した。中国は、重複計算の可能性が残っているとし、IPCCがこの問題を取り上げるべきだと述べた。ロシア連邦は、IPCCが、将来の計算のためHWPからの排出量や除去量の分類全てを検討するべきであると述べた。共同議長のAgyemang-BonsuがファクタリングアウトとHWPに関する新しい文章を作成する。

技術移転:
このコンタクトグループの出席者は、共同議長の結論書改定草案についてパラグラフごとに議論した。議論では次のものに焦点が当てられた:UNFCCCの技術情報センター(TT:CLEAR)の資金への影響;TT:CLEARの対象となるべき分野をさらに狭く限定するべきかどうか;特定の技術に関するEGTTへのガイダンス;EGTTのガイド; 4.5条(技術移転)以外の条項に関係する技術移転;技術移転での「プッシュ(推進)要素」。また参加者は、EGTTの’s 2004年作業プログラムでの一部の問題が、終了していなかったり、取り上げられなかったりする事実について議論し、EGTTの2006年作業プログラムにまわすことの適切性についても取り上げた。共同議長がSBIおよびSBSTA議長と協議することとなる。括弧書きの文章および取り上げられていない文章については、非公式の検討が行われる。

廊下にて

金曜日、参加者はいくつかのコンタクトグループでの技術的な細かい点の交渉に忙しく、廊下は閑散としているようだった。UNFCCCと京都議定書の将来に関し、COP議長が、セッション間でのセミナー開催を提案するとのうわさが広まっているが、ほとんどの参加者は、これがCOPの決定書で現実のものとなるかどうか、見当がつかないでいる。

これとは別に、オブザーバーからは、ブラジルと中国の第一次国別報告書の提出は、これら途上国の大国にとっても、UNFCCCにとっても画期的なことであるとのコメントがあった。

NEDOからの委託によりGISPRI仮訳