地球環境
メニューに戻る

Vol. 12 No. 256
2004年12月14日、火曜日

第10回国連気候変動枠組条約締約国会議

2004年12月13日 月曜日



12月13日月曜日、COP-10参加者は、一日中、コンタクトグループでの会合を行い、12月14日火曜日に予定されるSBSTA-21とSBI-21の閉会までに作業を完了しようと努力した。SBIコンタクトグループでは、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)、決定書5/CP.7(悪影響)の実施での進展を取り上げた。SBSTAコンタクトグループは次の題目を扱った:議定書7.4条規定の登録簿システム、技術移転、LULUCF活動向けのグッド・プラクティス・ガイダンス(GPG)、伐採木材製品(HWP)その他LULUCF関連問題、緩和の科学的、技術的、社会経済的側面(緩和)、気候変動の影響の科学的、技術的、社会経済的側面と、それへの脆弱性および適応(適応)。多数の問題に関し非公式な折衝も行われ、この中には後発開発途上国(LDCs)関係の問題、資金メカニズム、キャパシティビルディングが含まれた。

SBIコンタクトグループ

UNFCCC6条:
議長のCrispin d’Auvergneが改定された結論書草案と決定書草案を提出した。締約国は、両方の文書を多少の修正を行ったうえで承認し、SBIでの審議に向け送ることで合意した。

悪影響:締約国は、対応措置実施の影響に注目する共同議長のノンペーパーの文章をレビューした。EU、米国、オーストラリアは、対応措置の悪影響に対する保険についての「フォーラム」およびそのような悪影響が明らかとなる前の経済多角化についての「フォーラム」の必要性に疑問を投げたが、モデル化についての一回限りのイベントは価値がある可能性があると発言した。G-77/中国は、保険、モデル化、経済多角化に関するイベントは、専門家グループの形で行われるべきであると述べた。米国は、実施のための資源動員に関する文章には、決定書5/CP.7の表現を写すべきであると述べ、カナダとEUがこれを支持した。サウジアラビアは、ノンペーパーでの表現を支持し、この問題での行動を起こす必要性を強調した。議論は、非公式に続けられた。

SBSTAコンタクトグループ


議定書7.4条:参加者は、非公式折衝から出てきた、登録簿システム関係問題に関する改訂版の決定書草案について審議し、前に変更が行われたパラグラフに特に注目して、文書のパラグラフごとの作業を行った。カナダは、締約国以外のグループでも登録簿が開発されていること、そして同様なタイプの登録簿システム管理者と技術情報を交換する適切な方法を探るべきであることを、反映させるよう望んだ。登録簿システムの電子コミュニケーション開始のための試験計画や予定について、EUは、CDMの速やかな開始を確実にするため、COP/MOP-1前に行うことを希望した。中国は試験の検証に懸念を表明した。

議長のMurray Wardは、参加者に対し、パッケージとして取り上げるべき3つのパラグラフを提示し、事務局に対して、国際取引簿 (ITL)で実行されるべき点検と、関連するCOP決定書の条項との一致に関し、SBSTA-22での折衝を行うよう要請した。この文書では、事務局に対し、ITLの管理者として、ITLの標準化されたテストと第三者による評価の結果、およびSBSTA-22での折衝の成果を報告することも求めている。その後、ITLの運用を承認するようCOP/MOP-1に求める。同コンタクトグループは、一日中、さらに夜に入っても非公式な折衝を継続した。

LULUCF:Eugene Hendrick(アイルランド)は、HWPに関する非公式な草案作成グループについて報告した。同代表は、新しい文章を提案し、締約国に対し、特に次のことを行うよう求めた:HWPに関するデータと情報を提出していない場合にはそれらを提出する、そして2005年8月1日までに、HWP手法問題に関し、GPG付録書およびIPCC1996年版温室効果ガス・インベントリー・ガイドラインでの経験について、最新の情報を提供する。ロシア連邦は、HWPの手法をGPG完成の前に決めると、不一致が生じる可能性があり、そうするべきではないと警告した。同代表は、GPG付録書に言及した部分の削除も提案した。ブラジルはG-77/中国の立場で、HWPに関するデータと情報の提出は、附属書I締約国に適用されるべきことの明示を提案した。米国は、カナダおよびEUとともに、非附属書I締約国も、そうすることを希望するなら、情報の提出が認められるべきだとすることを提案した。G-77/中国は、この問題について内部で協議する時間を求めた。参加者は、非公式な議論の後、附属書I締約国にだけ言及することで合意した。

COP-11前のLULUCFテクニカルワークショップの計画に関する企画グループの進行役であるPeter Brisbane (オーストラリア)は、締約国がまだ意見の一致を見られないでいると報告した。AOSISは、この問題を前進させる意思を表明したが、第二約束期間およびその後の約束期間に関係する問題の協議では、より広範な問題について議論するべきであることを強調した。締約国は、バイオーム(生物相)ごとの森林の定義の適用可能性に関係したパラグラフで意見の一致を見た。参加者は、結論書草案をSBSTA-22に送ることで合意した。

緩和:: 共同議長の坂本敏幸は、非公式折衝に基づいた決定書草案を提示した。G-77/中国は、社会経済的な側面と技術協力については、この文章よりももっと強調したものとするべきであることを繰り返し発言した。オーストラリアは、議論を二国間活動に限るべきではなく、多国間や国際的な活動も含めるべきであることを指摘した。緩和に関する将来のSBSTAセッション中ワークショップのテーマについて、締約国は、ワークショップの提案で、再生可能エネルギーや効率を特記するべきか、それとも規制政策や枠組みに特定するべきか議論した。サウジアラビアは、既存の技術に焦点を当てる必要性についての発言を繰り返し、緩和のスピルオーバー効果を取り上げる必要性を指摘したが、オーストラリア、カナダ、米国、チリ、ニュージーランド、日本はこれに反対した。サウジアラビア代表は、土地利用の変化やCO2以外のガスも取り上げるべきであると述べた。EUは、米国の支持を得て、共同便益を取り上げるよう提案した。EUは、ノルウェーとともに、政策や規制枠組みと同様、エネルギー効率と再生可能エネルギーにも焦点を当てるよう提案したが、オーストラリア、カナダ、米国、チリ、ニュージーランド、日本はこれに反対した。米国は、再生可能エネルギーに反対するわけではないが、文書の中では言及しないことを望むと述べた。

中国は、政策と枠組みは技術的な問題ではないと述べ、一方、EUは、これらは障壁や展開に関係していると主張した。再生可能エネルギーについて、カナダは、G-77/中国およびサウジアラビアとともに、特定の技術を促進するべきではないと論じた。サウジアラビアは、UNFCCCはエネルギー条約ではないことを、締約国に想起した。米国は、実際的な機会や解決策に焦点を当てる必要性を強調した。合意に達することはできず、議論は、非公式に夜まで続けられた。

適応:共同議長のPhilip Gwageは、参加者に対し、適応に関する作業計画を採択するとのアルゼンチンの提案について、コメントをするよう求めた。アルゼンチンは、この提案について説明し、適応に関する本質的な決定書の採択を提案し、特に、締約国が、気候変動や気候の変動性に適応するためにとるべき国内措置を扱うことを目指した適応行動計画での必要要素を紹介した。同代表は、次の者に関する、将来の作業要素のリストを明らかにした:データと手法、脆弱性評価、適応計画策定、適応の持続可能な開発への統合、適応行動。

EUは、SBSTA、SBI、COPの役割を明確にするべきであると述べた。同代表は、この議題項目は、適応だけに注目するべきではなく、影響や脆弱性の側面も同じように含めるべきであると述べた。ミクロネシアは、適応行動がカギであると述べ、提案されている2005-9年での評価という時間枠は、この問題の緊急性を考えると長すぎることに懸念を表明した。日本は、適応は重要な問題であると述べたが、決定書5/CP.7に関して行われている議論に懸念を表明した。同代表は、両方の議題項目に関して決定書間での一貫性を守るべきであることを強調した。

スーダンはアフリカグループの立場で、提案への支持を表明し、SBSTA-21セッション中ワークショップの成果も含めるべきであると述べた。南アフリカは、この問題に関する作業プログラムを持ち、既存の知識を活用することの重要性を強調した。中国は、提案された行動の大半を各国は採用するべきであり、アルゼンチン案を、これらの問題に関するセッション中ワークショップを企画するようSBSTAに求める決定書草案に、含めることができると述べ、これに南アフリカおよびアルゼンチンが賛同した。

アルゼンチンは、同国の提案は適応を本質的な形で扱い、行動に向けた明確な政治的、科学的、技術的枠組みを提供することを求めたものであると述べた。同代表は、この提案には、適応の科学的な側面しか含めておらず、これは、この問題で共同作業しているSBIとSBSTAにおいて、意見の一致がないためであることを強調した。

米国は、アルゼンチンの提案を推賞したが、重複を避けるため、決定書5/CP.7の実施に関する議論が終わるまでは、決定書の作成を延期する方が望ましいとした。ペルーは、決定書 5/CP.7の実施は、アルゼンチン案に示されたタイプの評価の前提条件と考えた。 オーストラリアは、この提案が、作業プログラムの枠組みを確立するものであり、このプログラム自体、そしてその詳細な活動も、後日の段階で採用することが可能であると、指摘し、EUはこれを支持した。議論は夜まで続いた。

技術移転:
このコンタクトグループは、Kishan KumarsinghとHolger Liptowを共同議長としており、夕方に会合した。結論書草案の化石燃料に関するパラグラフでは、この日の早い段階に非公式な仮の合意に至っていたことから、決定書草案に関するさらなる議論への道筋がつけられた。共同議長は、決定書草案に関する改定された文章を提出した。UNFCCCのテクノロジー情報センター(TT:CLEAR)と各種技術情報センターとのネットワーク作りに関する問題でも合意した。その後議論は、次のものに焦点を移した:技術移転に関する専門家グループ(EGTT)でのUNFCCC 4.5条(技術移転)実施促進の枠組み、この枠組みの委託条件、そして決定書4/CP.7(技術の開発と移転)に規定されるEGTTのレビューである。G-77/中国は、枠組み実施への言及を含めるよう提案したが、米国、EU、カナダ、オーストラリアはこれに反対した。

米国は、結論書草案で合意したことの確認を求め、G-77/中国は、決定書に関しての合意がなければ、非公式に合意された結論書草案も承認されないままとなることを表明した。

廊下にて


ゆっくりとできた休日の後、La Ruralに戻った参加者は、SBIとSBSTAが作業を終了させ、12月14日に閉会するはずであったことを突然思い出させられたようである。午前中のコンタクトグループの会合は、すぐに非公式折衝に移っており、これは明らかに「実務を済ませる」べく、そうなったもののようであると、オブザーバーたちはコメントした。このことは、協議が十分進展していないことを示している可能性がある。

適応作業プログラムに関するアルゼンチン案が、ようやく回覧されたが、廊下では、2012年以後の将来的な気候体制に関するセミナーについて噂されている決定書の話で持ちきりであった。これ以外にも、多くの参加者が、非公式折衝が行われる前に作成されている、他の多国間プロセスへのインプットに関する文書草案にも、コメントをしていた。これは、この議題項目に関して、事前協議なしに何かを出そうとすることでは二回目の試みであるとオブザーバーは指摘した。

NEDOからの委託によりGISPRI仮訳