水曜日、出席者は、一日中、さらに夕方にも、多数のコンタクトグループおよび非公式会合で会合した。SBSTAでは、技術移転、緩和、適応、航空輸送および海上輸送からの排出、条約に関係する研究上のニーズ、小島嶼開発途上国とモーリシャス戦略など、多様な問題に関するコンタクトグループおよび非公式会合が開催された。SBIでは、非附属書I国別報告書の提出、特別気候変動基金(SCCF)、LDCsを議論するコンタクトグループおよび非公式会合が開催された。
コンタクトグループおよび非公式折衝
特別気候変動基金(SCCF): 出席者は、新しい言葉を提案するよりも現在の文章で作業を進めることを提案するSBI議長要請に関して合意した後、基金における優先および注目分野に関して残されていた括弧書きを削除する方法について議論した。ポルトガルはEUの立場で、そして南アフリカはG-77/中国の立場で発言し、合意達成の可能性について楽観的な見方を表明した。しかし、出席者は、大きな進展を見出せなかった。意見の不一致が残る分野には、SCCFを「技術援助を支援する」ために用いるとのEUの提案が含まれ、G-77/中国がこれに反対した。共同議長との協議後、交渉を中止し、文書を、COP11での検討のためCOPに送付するべきとの提案をつけて、SBI議長に提出することが決定された。
非附属書I国別報告書: 非附属書I締約国からの国別報告書に関する非公式折衝は、午前中に行われた。G-77/中国は、提出窓口の件と、期限延長の可能性を組み合わせるとのオーストラリア案が出るまでの議論の経過概要を紹介した。同氏は、提出期間は最初4年であり、1年の延長が可能だが、この延長はGEFの資金供与を意味することはないというのが、自分の理解であると再度述べた。EUは、提出期間の長さへの言及を削除する一方、どのような延長でも、GEFからの追加資金源を意味することはないと指摘する文章の保持を、提案した。協議は、午後まで中断され、GEF資金供与国である締約国は、配布された文章案が、GEFの指針に何の影響も与えないことを確認した。会合は再開され、EU、カナダ、日本、米国、オーストラリア、G-77/中国は、決定書草案について合意した。米国は、これに加えて、合意に達したことは喜ばしいが、決定書草案には欠けている要素があり、将来の交渉ではこのことを念頭に置く必要があると述べた。
合意された決定書草案では、発生源ごとの人為的な排出量および吸収源ごとの除去量の目録更新が重要であること、そして適切な適応を容易にする措置が重要であることが、認識された。この決定書草案は、特に、非附属書I締約国は最初の資金供与を受けてから4年以内に第二回また当てはまる場合には第三回の国別報告書を提出するため、あらゆる努力をするべきであり、締約国は必要ならそして国情に応じて、提出期限の一年延長の適用を受けることが可能であり、このような延長は、GEFからの追加の資金供与を意味するべきではなく、LDCsは第二回の国別報告書をそれぞれの判断で提出することが可能であり、UNFCCC12.5条
(国別報告書) の実施に関してはCOP 15でさらに議論すると、決定する。サウジアラビアは、この決定書が、5年以上前に最初の資金供与を受けている締約国がそれに続く国別報告書への資金援助要請を行う期限を、「2006年以前」とするものではないことの再確認を、提案した。文章に関する意見が一致したことで、協議は終了した。
条約に関係する研究上のニーズ: 出席者は午前中、SBSTA結論書草案とCOP決定書草案についての非公式折衝で会合し、これら文書は、その後コンタクトグループに提出された。共同議長のCastellariおよびCigaranは、二つの文書草案を提出し、これらがSB-16以来これまでに行われた議論および結論に基づいたものであり、これらの文書草案は研究者コミュニティー(research
community)とSBSTAとの協議確立を目指すものであることを指摘した。結論書草案の中で、SBSTAは、気候変動の緩和および適応の技術に関する研究が必要であることを強調した。出席者は、多少、編集上の変更を行った上で、SBSTA結論書草案およびCOP決定書草案について合意した。
後発開発途上国に関係する問題: 出席者は、午前中、COP 11/MOP 1決定書草案に関する非公式な議論を続けた。午後一杯から夜にかけては、コンタクトグループで再度会合した。議論の中心は、気候変動の悪影響への適応に必要なコストで、NAPAs(国連適応行動計画)が明らかにし、優先性があるとされた追加コスト分はLDC基金が提供しなければならないとの文章にするべきだとするEU案が中心であり、ノルウェー、カナダ、日本はこの提案を支持した。また出席者は、他の問題についても議論したが、これにはNAPA活動に共同資金供与モデルを適用することについて、どう言及するか、その方法についての議論も含まれた。カナダはいくつかの締約国の支持を受け、そのようなモデルは、GEFが「LDCsの国情を考慮して」作成するべきであると提案した。このコンタクトグループは午後11時40分中断され、木曜日に再度会合する。
適応: 出席者は、午前中と午後、気候変動の影響、脆弱性、適応の科学的、技術的、社会経済的側面に関する5ヵ年作業プログラムについて、非公式折衝で会合した。午後遅くおよび夜には、コンタクトグループで議論を続け、この席で共同議長のShevlinは、全体的なコメントについての文書草案を提示した。G-77/中国は、このプログラムの目的に関し、実際行動と最も影響を受けやすいもののニーズを強調する別な文章を提案した。EUと米国は、この言及に反対し、この作業プログラムは、全ての締約国に目的適合性を持つものでなければならないと述べた。このほかにも、意見の不一致が見られた分野として、決定書1/CP.10、またはこの決定書1/CP.10でSBSTAに関係するセクションについて、言及するべきかどうか、言及するならどこに入れるかが、含まれた。G-77/中国は、この作業プログラムで取り上げるべき問題として、適応と脆弱性の評価の両方に言及するよう呼びかけた。協議は、午後11時でも続いていた。
緩和: 出席者は、共同議長の結論書草案を検討するため非公式に会合した。緩和ワークショップで得られた教訓に関する事務局の報告書作成、そしてこの議題項目での教訓や将来のステップに関して、見解を提出するようにとの締約国への招請に関して、意見の一致が見られた。しかし、SB23でこれらの問題に関するプレゼンテーションを行う機会を、締約国に提供するかどうか、そしてそれを行うならどういう方式とするかでは、意見の食い違いが残った。EU、日本、カナダは、セッション前ワークショップを提案したが、G-77/中国、米国、オーストラリアはこれに反対した。協議は、木曜日朝も続けられる。
国際航空輸送および海上輸送からの排出: Jose Romero (スイス)が進行役を務める非公式折衝で、出席者は結論書草案を検討した。EUは、多様な手法やそのほかの問題に着目し、ワークショップや他の専門家イベントが含まれる可能性があるプロセスの設定を提案した。米国を含めた他の一部の締約国は、ワークショップが必要かどうかに疑問を呈した。サウジアラビアは、EU案に反対し、この問題について詳述しない短い文章を望んだ。
技術移転: 出席者は、二つの非公式セッションや小グループでの会議で、一日中会合した。午前中のセッションでは、EGTTへの委託条件に焦点が当てられた。民生部門の参加に関するパラグラフでは、意見が一致した。しかし、他の保留事項ではあまり大きな進展が報告されていない、これらの保留事項には次のものが含まれる:COP決定書実施の評価、枠組の下で行われた進展の再調査、技術移転の長期戦略の検討。
午後のセッションで、締約国は、結論書草案をパラグラフごとに取り上げた。TT:Clear技術情報センター、資金供与に関する革新的なオプションについてのフォローアップワークショップ、民生部門の参加、そして追加財政支援の呼びかけに言及する文章では意見が一致した。また、出席者は、SCCFおよびGEFに関するSBIへの要請を削除することでも合意した。国連開発計画(UNDP)と気候技術イニシアティブ(CTI)、公的に所有され公共の領域にある技術、適応技術、特定技術の検討に言及する文章では意見の不一致が残された。協議は木曜日に再開される。
小島嶼開発途上国: 非公式折衝が続けられ、出席者は、SBSTA、SBI、そして/またはCOPにおいて小島嶼開発途上国の持続可能な開発のための行動プログラムのさらなる実施をはかるモーリシャス戦略の実施問題をどう取り上げるかについて、文章を検討した。オーストラリアから、妥協する表現にしようとの提案があり、「ふさわしい場合には、SBIおよびSBSTAで現在続けられている作業において、モーリシャス宣言および戦略の関連する側面の実施を促進することに関する意見を」提出するよう締約国に求める文章が提案された。さらに協議が行われる。
CDMとその他の環境条約: CDMの下でのプロジェクト活動が、他の環境条約や議定書の目的達成にどう影響するかについての結論書草案は、水曜日昼までに追加コメントが出されなかったことから、Borsting議長によって最終案とされた。同議長による結論書草案では、特に、事務局に対し、締約国が提出するものおよびCDM理事会が提出するものから目的適合性のあるインプットを盛り込んだオプションペーパーを作成するよう、要請する。
廊下にて
出席者は、水曜日、いくつかのコンタクトグループの作業終了を祝っていた。特に、非附属書I締約国による国別報告書の提出に関する議論は、2年半も交渉されてきたものであり、その終了は、あるオブザーバーにいわせると「だれもがほっとする」結果となった。
一方、特別気候変動基金に関して行われている議論をモントリオールに回すとの決定は、何人かの参加者に言わせると、SB 22が「技術的」で「抑えた」会合であった証拠である。「この段階では、多少とも政治的なものとか問題のあるものは、COPやCOP/MOPでの議論になってしまう可能性が高い」とある出席者は述べた。
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