Vol. 12 No. 287
2005年12月6日火曜日 |
COP11及びCOP/MOP1ハイライト
2005年12月5日 月曜日
月曜日、各国政府代表は、次の各項目を含めた多数のコンタクトグループ及び非公式協議で会合した:議定書3条9項(将来約束)、資金メカニズム、CDM理事会の報告、共同実施、技術移転、途上国での森林減少、キャパシティビルディング、遵守、適応、緩和、京都議定書の下で設立された機関に携わる人の特権と免責事項、他の環境条約に対するCDMの影響、航空輸送及び海上輸送からの排出量、ベラルーシの排出削減数量約束の決定。
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コンタクトグループ及び非公式協議
適応:Helen Plume(ニュージーランド)及びKishan Kumarsingh(トリニダードトバゴ)の召集する協議は、適応に関するSBSTA五ヵ年作業計画についての議論を再開、非公式な議論は午後11時45分でも続いていた。
事務管理、資金、組織・制度に関する問題
京都議定書の下で設立された機関に携わる人の特権と免責事項:コンタクトグループ議長のMasao Nakayama(ミクロネシア)は、各締約国の意見を求めた。ナイジェリアは、G-77/中国の立場で発言し、SBI24でこの問題をさらに議論するよう提案した。EUはこれに同意し、SBI24の前に国連事務総長と連絡をとるようUNFCCC事務局長に要請するテキストを追加することを提案した。G-77/中国は、今後SBIで行われるこの問題の検討が、別な議論によりあらかじめ決定されてしまうことへの懸念を表明したが、結局、妥協案テキストが作成された。合意されたテキストは、SBI24がこの問題を検討し、2006年2月13日までに文書を提出することを求めている。また、UNFCCC事務局長に対しては、必要な特権と免責を確保するため国連事務総長と協議し、SBI24に結果を報告するよう求めている。ナイジェリアは、このテキストをG-77/中国での検討のため持ち帰ると述べ、さらにG-77/中国がこのテキストに合意するなら、これ以上会議をする必要なく、結論書は承認されると述べた。
3条9項(将来約束):各国政府代表は、非公式協議を続けるため、夕方に会合した。この会議は小規模グループで開催され、数カ国の締約国及び国のグループの代表だけが参加した。午後11時45分現在も交渉は続けられているが、進展には時間がかかっている。
キャパシティビルディング:このグループは、午後と夜遅く、非公式に会合した。午後11時45分現在も議論は続けられている。
他の環境条約に対するCDMの影響:締約国は、Georg Brsting(ノルウェー)議長が提出した、HFC-23の破壊によりCERsの獲得を目指して新しいHCFC-22施設を設置することの影響に関するCOP/MOP決定書草案及びSBSTA結論書草案について合意した。この決定書草案は、新しいHCFC-22施設とは何かを定義づけし、HFC-23の破壊に対するCERsの発行はHCFC-22そして/またはHFC-23の世界生産量の増加に結びつく可能性があることを認識し、附属書I締約国及び多国間金融機関に対し非附属書I締約国でのHFC-23破壊に資金を提供するよう勧める。またこの決定書草案は、SBSTAに対し、COP/MOP2での採択に向け、CDM理事会へのガイダンスを含めた提案書草案を作成することを念頭に、この問題の協議を続けるよう要請する。
遵守:締約国は、遵守メカニズムの採択と、サウジアラビアの議定書改正案に関する非公式協議を開いた。各国政府代表は、日曜日、共同議長のMamadou Honadia(ブルキナファソ)及びHarald Dovland(ノルウェー)から決定書草案の改定案を受け取り、月曜日朝、交渉を続けた。同日夕方、共同議長は、先進国及び途上国の両方から得られたインプットに基づき、新しい提案書を提出した、これには、COP/MOP1での遵守メカニズム採択と改正プロセスの検討に関する二つの重要なパラグラフが含まれた。サウジアラビアの提案どおり、議定書を改正する必要があるかどうかについては、意見の食い違いが残った。火曜日も非公式協議が続けられ、共同議長から新たな提案が出される。
途上国での森林減少:Hernn Carlino(アルゼンチン)議長は、結論書草案を提出した。パプア・ニューギニアは、G-77/中国の立場で発言し、この問題では技術的な側面と政策的な側面の両方を考える必要があることを強調し、SBSTAだけでなくSBIでも検討するとのテキストを含めるよう提案し、多くの締約国がこれを支持した。また、G-77/中国は、この問題のCOPでの議論を促進するよう求め、インセンティブに言及することを提案し、オーストラリア、カナダ、その他の諸国の支持を得た。EU、米国、環境十全グループ(ENVIRONMENTAL
INTEGRITY GROUP)その他は、テキストを現状のままとすることを希望し、米国は、SBSTAでの議論を強調した。EUは、オブザーバー組織からの意見提出を求めることができると述べた。非公式協議が続けられる。
ベラルーシの排出削減数量約束の決定:Andrej Kranjc (スロベニア)により非公式協議が召集された。少なくとも一つの交渉グループから、ベラルーシを附属書B締約国にするには、議定書の改正が必要となることへの懸念が表明された。さらなら協議があると見られる。
国際航空輸送及び海上輸送からの排出量:Jose Romero(スイス)は、関連する締約国との二国間及び小グループでの協議を行った。この問題に関するワークショップが議論の中心であった。火曜日には、より大きなグループでの協議が開かれると見られる。
資金メカニズム:適応基金に関する非公式協議が一日中続けられ、一方コンタクトグループは、夕方に再度会合し、これ以外の未決事項について議論した。適応基金に関する協議は、夕方遅くに再開された。
適応基金:各国政府代表は、共同議長によるテキスト草案について、行ごとの議論を行った。共同議長は、夕方遅くに決定書草案の改訂版を提出した、この序文は括弧書きがない形になっていたが、運用上のセクションにはかなりの括弧書きのテキストが含まれていた。
COPに対する地球環境ファシリティー(GEF)の報告:各国政府代表は、SBI結論書草案について、結論書は短くするべきで、報告書に留意することに焦点を当てるべきとのコンタクトグループによる以前の決定と合致しているとして、本草案に合意した。
特別気候変動基金(SCCF):SBI議長のBeckerは、テキストの括弧書きを外すための非公式協議を始めた。未解決である主な分野には、SCCFにおける優先分野の文章表現や、そのような分野におけるSCCFの実施状況に対するCOPレビューのタイミングなどが含まれる。
決定書5/CP.8の実施:各国政府代表は、コンタクトグループでの前回の会議で検討されたSBI結論書草案について合意した。
GEFに対する追加ガイダンス:各国政府代表は、GEFに対し、資金割当枠組(RAF)が気候変動の注目分野に与える影響に関する追加情報を提供するよう要請することを中心としたCOP決定書草案について合意した。またこの決定書草案には、GEFが二酸化炭素回収・貯留技術に支援をする可能性に関し、SBSTAコンタクトグループで合意された文章表現が含まれる。
COPとGEF評議会間でのMOUの適用:共同議長は、決定書草案を提出し、この決定書は、条約の資金メカニズム運用を委託された組織へのガイダンスに関して、MOUに必要な変更を加えて適用するものであるが、適応基金にはこれを適用しない、これはこの基金の運営組織について何の決定もなされていないためであると指摘した。各国政府代表は、この項目について、次のコンタクトグループで再検討する前に、非公式に協議する。
共同実施(JI):非公式協議で、締約国は、議長のCOP/MOP決定書草案について、その一部の検討を行った。途上国は、小規模JIプロジェクトへの言及を削除するよう提案し、小規模CDMガイドラインは、途上国及びCDMプロセスに特有の懸念から採択されたものであると説明した。ある附属書I締約国は、この削除に反対し、多くのJIプロジェクトが小規模であり、緩和措置を促進するためには必要であることを強調した。途上国は、脆弱な国に支援をする必要があることを強調し、JIの排出削減量単位(ERUs)の2%を徴収し、適応基金に提供するよう提案した。ある先進国は、議定書において、JIとCDMでは目的が異なることを強調し、JIプロジェクトにはCDMのように途上国での持続可能な開発に貢献する必要がないと述べた。合意には達せられず、議長のDaniela Stoycheva(ブルガリア)は、夕方遅く、関心のある締約国と、JIの第二トラックプロジェクトにCDMの指定運営組織(DOEs)やCDM方法論、CDMプロジェクト設計書を用いることに焦点を当てる協議を行った。
緩和:このグループは午後と夜遅くに非公式会合を行った。午後11時45分でも議論が続いていた。
CDM理事会の報告:共同議長のDavid Brackett(カナダ)及びAndre do Lago(ブラジル)は、月曜日早朝、関心のある締約国と次の項目に関する5つの別々な協議を行ったと説明した:管理上の問題、追加性、 CDMでの二酸化炭素回収・貯留、理事会の管理費に収益の一部(share of proceeds)を当てる問題、地方・国内・地域での政策基準及びプログラムをCDMプロジェクト活動とみなせるかどうか。共同議長は新しい決定書草案を配布した。両共同議長は、上記の5つの題目及び遡ってのクレジット発行や2013年以降でのCDMの継続など他の問題に関して合意に達することはなかったが、非公式協議は建設的であったと述べた。共同議長のBrackettは、括弧書きについて説明し、CDMにおける政策基準やプログラムについての疑問は、さらに検討する必要がある重要分野の一つであることを明らかにした。ロシア連邦は、理事会の管理費に当てるため、収益の一部(share of proceeds)をCER一単位につき0.50米ドルに増額するとの新しいテキストを提案した。ブラジルは、JIプロジェクト及び排出量取引から収益の一部(share of proceeds)を徴収し適応基金に当てる提案を検討していると応じた。共同議長は、締約国に対し、これらの提案を再検討するよう求め、火曜日午後、関心のある締約国と非公式協議を行うと述べた。
技術移転:共同議長のHolger Liptow(ドイツ)は、土曜日遅くの非公式協議で、結論書草案での合意があることを条件に、決定書草案が承認されたことをコンタクトグループに報告した。この決定書草案は、特に次のことを決定する:締約国に対し、技術移転に関する専門家グループ(EGTT)の状況とその継続に関する意見を提出するよう求め、事務局に対し、技術協力とパートナーシップ、技術普及、技術移転に関する高度なラウンドテーブル会議を行うよう要請し、SBSTAに対し、枠組実施を強化するためのこれからの作業を検討する際には、既存の技術をベースにした国際協力を考えに入れるよう要請する。各国政府代表は、汎用技術に関するサイドイベントを扱う、2006年度EGTT作業プログラムに関係する未決パラグラフで合意した。また、各国政府代表は、最近のトリニダード・トバゴでのワークショップで議論された適応技術に関し、事務局が作成したテクニカルペーパーについての結論書で合意した。
廊下にて
月曜日の夜、各国政府代表の間では、交渉での意見対立への懸念が広まっている。あまり大きな対立がなかった項目は解決を見たが、資金問題やメカニズムでの意見対立は深まっており、政府代表の間では、少なくとも一回、「怒鳴りあい」がおきた。廊下での話では、どうやったらメカニズムをもっと魅力あるものにできるかが、大きな対立点になっている。適応基金の資金とするため、JIプロジェクトから徴収するとの途上国提案に対し、JIから利益を得るはずのJIホスト国や投資国は、余りよい顔を見せていない。この提案があったことから、ロシア連邦は、途上国を中心としたメカニズムであるCDMからの徴収を増やそうという、ある参加者に言わせると「目には目を」の提案をする結果となった。
ある専門家は、「JIとCDMで競争しているようなもの、それぞれが自分たちのメカニズムを投資家に魅力あるものにしようとしている」と述べた。別なものは、「この問題を交渉のテーブルに載せる時ではない、むしろ取り去る時ではないか」と述べた。
もっと楽観的なものもおり、あるベテランは、「金曜日までには間に合うのではないか。締約国が、交渉の細かい点をあきらめると考えるのは早すぎる」と説明した。
一方、3条9項(将来約束)に関する非公式協議は、月曜日の深夜も続けられている。この協議の蚊帳の外におかれた各国政府代表は、何が起きているかまるでわからず、Dion 議長が提案したUNFCCCでの将来シナリオに関するイニシアティブと3条9項の議論がどう関係するのか混乱しているようであった。
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