国連気候変動枠組条約第18回補助機関会合(SB18)ハイライト
2003年6月12日 木曜日
木曜日、UNFCCC SB-18の代表者らは、SBSTA本会議とコンタクトグループ及び非公式グループの会合を行った。SBSTAでは、LULUCFに関する良好手法指針やその他の情報、国際航空及び海上輸送における燃料使用による排出、UNFCCC及び議定書にもとづく方法論関係作業のレビュー、附属書I国温室効果ガス目録の報告及びレビューに関する問題、議定書5条(方法論関係の作業)、7条(情報の連絡)、8条(情報のレビュー)に関する問題など、方法論関係の問題について検討が行われた。また、技術開発及び技術移転、研究及び組織的観測、関連の国際機関との協力についても検討が行われた。
コンタクトグループは、CDMにおける吸収源、UNFCCC4条8及び4条9(悪影響)、特別気候変動基金について会合を行った。2004−2005年のプログラム予算とIPCC
TARについての非公式協議も行われた。
SBSTA
方法論関係の問題:LULUCFに関する良好手法指針: Audun Roslandコンタクトグループ共同議長(Norway)が、結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.3)を提議し、SBSTAはそれを修正無しで採択した。本結論では、LULUCFに関する良好手法指針、劣化と植生喪失に関する定義、炭素ストック変化に対する自然的影響や間接的な人為的影響を抜き出すことに関するIPCCの作業に言及している。
結論でSBSTAは、事務局に対し共通報告フォーマット案に関してペーパーを作成するよう求め、SBSTA-19で収穫された林産品関係の問題について引き続き検討を行うことを決定した。
国際航空・海上輸送において燃料使用による排出:Greg Terrillコンタクトグループ共同議長(オーストラリア)は、結論草案を提議し(FCCC/SBSTA/2003/L.2)、SBSTAはそれを採択した。この結論の中で、SBSTAは国際海事機関、国際民間航空機関、UNFCCC事務局に対し、国際航空・海上輸送による排出量の推計及び報告に関する方法論を改善するオプションを話し合うべくSBSTA-20前に二つの専門家会合を組織するよう呼びかけている。
UNFCCC及び議定書における方法論関係の作業のレビュー:Harald Dovland氏(ノルウェイ)が、本件に関する非公式協議に関して報告を行った。同氏は、今後の作業プログラム案の項目に関する締約国からの第1回提案を盛り込んだ結論草案附属書がまるまるカッコつきで残っていると述べた。締約国はその後、方法論関係の作業の目的について述べ、方法論に関して優先的な作業が必要であるとうたい、信頼に足る情報の重要性を強調した同結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.8)を採択した。この結論の中で、SBSTAは締約国に対し、今後の作業プログラム案の項目についてさらに意見を提出するよう求めている。
附属書I国温室効果ガス目録の報告とレビューに関する問題:本件に関する協議は、Thorgeirsson議長によって行われた。締約国は結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.7)を採択し、COP決定案(FCCC/SBSTA/2003.L.7/Add.1)を提言することに合意した。同結論は、COP-9に対しERTメンバーの研修プログラム、秘匿情報の扱いに関する作業基準、ERTメンバーのための専門家レビュー業務に関する合意を盛り込んだ温室効果ガス目録の技術レビューに関する決定草案を採択するよう提言したものである。
議定書5・7・8条に関する問題:Helen Plumeコンタクトグループ共同議長(ニュージーランド)は、同グループの作業の成果について報告を行い、代表者らが5条2(調整)における調整と8条実施に関する問題について話し合ったと述べた。締約国は、調整の方法論に関する技術指針についてのCOP及びCOP/MOP決定草案(FCCC/SBSTA/2003/L.6/Add.2)と、調整の方法論に関する技術指針を盛り込んだ同決定草案付録(FCCC/SBSTA/2003/L.6/Add.3)を提言することに合意した。修正を行った後、締約国はERTメンバーの研修プログラムや主席レビュー担当者の選定基準などを含む8条実施に関するCOP及びCOP/MOP決定草案(FCCC/SBSTA/2003/L.6/Add.1)を提言することに合意した。Murray
Ward氏(ニュージーランド)が登録簿に関する非公式協議について報告を行い、締約国がその結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.6)を採択した。
技術開発及び技術移転:Kishan Kumarsingh共同議長(トリニダド・トバゴ)は、技術開発及び技術移転に関する非公式協議について報告を行い、2003年4月9−10日にベルギーのヘントで行われた支援的環境に関するワークショップの成果について3回の非公式協議が行われたと述べた。代表者らは、結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.5)を採択した。この結論の中でSBSTAは、環境に優しい技術の開発と相乗効果に関するワークショップの成果について検討し、SBSTAに対しさらなる行動について提言を行うようEGTTに求めている。また、事務局に対しては、資金が入手できれば、COP-9で産官の上級ラウンドテーブル協議と、2003年11月にインド政府が企画している技術関係のイベントと併せてEGTTの特別会合を組織するよう求めている。
研究及び組織的観測:Sok Apaduコンタクトグループ共同議長(モーリシャス)は、結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.4)に関する短い概要と決定草案(FCCC/SBSTA/2003/L.4/Add.1)を提議した。締約国は同結論草案を採択し、決定草案をCOPに提出することを合意した。結論の中でSBSTAは、観測基準及びデータ交換、地球気候に関する総合的で高品質な成果物、キャパシティ・ビルディング及びシステムの改善、締約国の報告に関する提言について言及している。SBSTAはまた締約国に対し、優先的行動について意見提出を求めている。決定草案では、COPは締約国に対し、関連の資金メカニズムに資金供与することで優先性の高いニーズを支援するよう求め、地球気候観測システム事務局に対し総合的な地球気候観測システムのための5年から10年フェーズの実施計画を作成すべく調整をはかるよう求めている。
関連の国際機関との協力:SBSTAは、若干修正を行って結論草案(FCCC/SBSTA/2003/L.9)を採択した。同結論では、SBSTAがSBSTA-19で他会議との協力について引き続き話し合うことに合意し、第4次評価報告を行うIPCC決定を歓迎し、国家レベルでUNFCCCとWTO関連の問題の協調をはかるよう締約国を促すことが述べられている。
コンタクトグループ
CDMにおける吸収源:同コンタクトグループでは、締約国は共同議長の結論草案について検討し、CDMにおける植林・再植林(A&R)プロジェクト活動の方法及び手順に関する交渉テキスト草案についてコメントを行った。締約国は同結論草案に合意した。G-77/中国は、ブラジル及びカナダと共に、同交渉テキスト案にはさらに話し合われる必要のある問題があると述べた。同代表はまた、不履行について定義し不確実性についてさらに検討する必要性を提起した。セネガルは、小規模CDMプロジェクトの方法を開発すべきと述べ、チリの支援を得た。
IPCC TAR:IPCC TARコンタクトグループは、2日間の非公式協議の末その作業を完了した。代表者らは、適応・緩和における部門横断的問題に対処するかどうか、いかに対処するかなど、未決案件について合意に到達した。
気候変動特別基金:午後の非公式協議に続き、同コンタクトグループは夕刻再び会合を行って、アルゼンチンの提案する軽微な編集上の修正を行った後、共同議長の結論草案に合意した。
UNFCCC4条8及び4条9:本件に関する午前の非公式協議の後、同コンタクトグループは午後に会合を行って、結論草案に関する改定版の共同議長提案について検討した。この結論には、部分的に合意されたパラグラフが含まれていた。EU、カナダ、オーストラリア、日本、アメリカ、AOSIS、ニュージーランドは、このテキストは自分達の利害の全てに奉仕しているわけではないが、交渉のたたき台として使用することは支持すると述べた。彼らは、本テキストの使用について合意がなされなければ、そのことを結論草案に記載してSBI-19にはテキストを提出しない方が良いとした。サウジアラビア、アフリカグループ代表のリビア、クウェート、ベネズエラ、ナイジェリアは同テキストの使用に反対し、前のバージョンの結論草案を使うか、合意はなされなかったと結論することを提案した。サウジアラビアは、次回会合に全くテキスト草案を提出しないことで前例を作ってしまうことに警告を発した。締約国が「合意できないことに合意」した過去の事例を想起してアメリカが反対し、締約国が一つ前のテキストを提出しなければならない義務は無いと述べた。
Fadhel Lari共同議長は、締約国は合意できなかったと述べ、結論草案でSBIは議題項目に関する作業を完了することができず次回会合で作業を継続することに合意したとうたうことを提案した。Daniela
Stoyheva SBI議長は、本議題項目についていかに作業を継続するかについて検討するために、締約国が会合前会議を行うことを歓迎した。
会場外にて
CDMにおける吸収源のコンタクトグループが木曜日に結論を出すと、複数のオブザーバーが本件に関して「遅ればせながら」合意が達せられたと言い、方法及び手順に関する附属書のテキストがSBSTA-19における協議の健全な基盤となるであろうと示唆した。一方、27ページのテキストにまだ沢山カッコが残っていることに触れ、決定がCOP-10まで延期されるのではとやや悲観的にいぶかしむ者もあった。他のニュースについては、ロシアの批准が検討のため来週国会に提出され、SB-18の沈んだ空気を吹き飛ばしてくれるのではという期待を示すオブザーバーもいる。
SBSTA:SBSTAは午前10時に会合を行い、IPCC TAR、CDMにおける吸収源、政策措置、その他の問題について検討する。
SBI:SBIはSBSTAの結論が出次第会合を行い、議題項目全てについて検討を行う。
ENBサマリー:6月16日月曜日、SB-18におけるEarth Negotiating Bulletinの取材についてサマリー版がhttp://www.iisd.ca/linkages/climate/sb18にて公開される。 |
|