国連気候変動枠組条約第18回補助機関会合(SB18)ハイライト
2003年6月7日土曜日
第18回UNFCCC補助機関会合(SB-18)の出席者は、金曜日もSBIおよびSBSTAの会合ならびに、いくつかのコンタクトグループおよび非公式グループで会合し討議を続けた。午前中は、SBSTAが他の国際機関との協力、その他クリーンなまたは温室効果ガス低排出のエネルギーに関連する問題、そして議定書2.3条(政策措置の悪影響)を含めた問題などを取り上げた。午後には、SBIが非附属書I諸国の資金問題、キャパシティビルディング、国別報告書、中央アジア諸国とコーカサス、アルバニア、モルディバ共和国のグループ(CACAM)のUNFCCC上の地位に関する要求事項を含めたいくつかの議題を議論するため会合した。コンタクトグループも、2004-2005年の2年間のプログラム予算、UNFCCC4.8条と4.9条(悪影響)の実施、議定書5条(手法上の問題)、7条(情報の連絡)、8条(情報の検討)、IPCC
TAR、研究と体系的観測(R&SO)、政策措置(P&Ms)、キャパシティビルディングに関する会合が開催された。
SBSTA
WITH 関連する国際機関との協力:CCD事務局は、各条約間の相互協力を実務レベルで行なうよう提案した。ラムサール条約事務局は、各国政府がUNFCCCとラムサール条約での約束を同時に果たすというチャレンジに直面する可能性があると指摘した。IPCCは、その活動の最新情報を提供した。FAOは、森林および気候変動に関するFAOでのキャパシティビルディング活動を再検討し、IUCN
は、CDMでの吸収源.に関する定義や規則について、いくつかの開発途上国に技術的、法的支援を行なったことを指摘した。ロシア連邦は、CCDを批准したと発表した。スイスはEUとともに、WTOの関連活動についてUNFCCC事務局が定期的に報告することを提案した。カナダ、コロンビア、米国は、そうではなく各国レベルでそのような報告活動を行なうとのThorgeirsson議長の提案に賛成した。コロンビアは、将来のこの問題の討議では、事務局のWTOに関する文書を利用することを提案し、クウェートとサウジアラビアはこれに反対した。
その他の事項:クリーンなまたは温室効果ガス低排出のエネルギー関係の問題:カナダは、SBSTA結論書において、UNFCCCおよび議定書の目標を達成する上でクリーンなエネルギーでの貿易の果たす役割に関して研究するとのカナダ提案に言及するよう提案し、ロシア連邦はこれを支持したが、EU、G-77/中国は反対した。Thorgeirsson議長は、この問題に関して非公式折衝を行い、決論書草案を作成すると述べた。
議定書2.3条の実施に関する問題:G-77/中国は、この問題を定期的な議題事項とし、SBSTAがそれを開始するための決定書草案について検討するよう、特に要求した。カナダとEUは、この問題が、以前の決定書で適切に扱われていると述べた。Thorgeirsson議長は、非公式折衝を行いこの問題に関する決論書草案を作成すると述べた。
さらなる議題:ロシア連邦は、オーストラリア、 カナダ、 日本、米国とともに、SBSTAが2003年9月29日から10月3日にモスクワで開催される気候変動に関する世界会議への支持を表明するよう提案した。
SBI
Stoycheva議長は、Rawleston Moore(バルバドス)とJaap Rooimans(オランダ)が、気候変動特別基金に関するコンタクトグループの共同議長となり、Mamadou
Honadia(ブルキナファソ)とJose Romero(スイス)がLDC基金の非公式折衝の共同議長を務めると発表した。エストニアは、セントラルグループ11を代表して、同グループが活動の停止を決定したと発表した。クロアチアは、ブルガリアおよびルーマニアも代表して、セントラルグループという新しいグループで協力しあうと述べた。
非附属書I諸国の資金問題:GEFは、同基金の2003年5月のカウンシル会合の結果について報告し、国別報告書に関する支援についてのいくつかの決定事項に焦点を当てた。G-77/中国は、締約国に対し、国別報告書をできるだけ早く完成させるよう促した。同代表は、ボリビア、コロンビア、パキスタン、AOSISとともに、資金源のタイムリーな分配と、第二回国別報告書のガイドラインに関する地域ワークショップおよび小地域ワークショップの開催を呼びかけた。Stoycheva議長は、この問題での決論書草案を作成すると述べた。
キャパシティビルディング:事務局は、キャパシティビルディング枠組に関するCOP-9での総合的な再調査を指摘した。G-77/中国は、再調査プロセスにおいては、決定書2/CP.7(開発途上国でのキャパシティビルディング)に基づく現行のプロジェクトやプログラムの実施についての分析を含め、実施でのさらなる改善が可能な分野やギャップを明らかにし、SBIがキャパシティビルディング活動をモニタリングするためにとらなければいけない手続きを示さなければならないことを強調した。カナダは、再調査には、COP-7決定書以前にとられた活動も含めるべきであると述べた。日本は、再調査に標準化された要素やガイドラインを適用することへの警告を発した。Stoycheva議長は、Dechen
Tsering (ブータン)が議長を務めるコンタクトグループでこの問題を検討すると発表した。
UNFCCC 6条:Jean-Pascal van Ypersele (ベルギー)は、UNECE地域ワークショップについて報告した。このワークショップの期間中、出席者は、6条の国内および国際レベルでの実施における問題について提案を行なっており、これには公式および非公式な教育や一般の意識向上の必要性が含まれる。いくつかの締約国およびUNEP、UNESCO、ISDRは、総合的な情報ネットワークの構築を支持した。ボツワナとタイは、地域ワークショップの主催を申し出た。
附属書I諸国国別報告書:米国は、自国の排出原単位削減に向けた約束を再確認し、報告書のレビューを行なう新しい機関の創設に反対した。オーストラリアは、同国が議定書を批准する意図を持たない一方で、議定書に基づく同国の排出目標達成を依然約束していると述べた。G-77/中国とAOSISは、緩和措置に関わらず排出が引き続き増加する可能性があることへの懸念を表明し、附属書I
締約国に対して、より厳格な政策措置の実施を求めた。Stoycheva議長は、この問題に関する決論書草案を作成すると述べた。
CACAMよりの要求:UNFCCCにおけるCACAMグループ諸国の地位に関して、Stoycheva議長は、非公式な折衝を続け、決論書草案を作成すると述べた。
その他の事項:非附属書I国別報告書作成でのガイドライン利用:キューバは、ブルキナファソ、G-77/中国、ツバルとともに、ガイドラインの実施には追加的な資金とキャパシティビルディングが求められると述べ、またEUとともに、脆弱性、適応、温室効果ガス目録に注目する必要性を強調した。Stoycheva議長はこの問題での決論書草案を作成すると述べた。
LULUCFおよびUNFCCC4.6条でのクロアチアの特殊事情に関するクロアチア提案:Stoycheva議長は、これらの項目を共に検討すると述べた。事務局は、クロアチアの提案する森林管理の価値と排出目録での調整に関する提出書類を含めた文書を提出した。EUは、クロアチアが1990-2001年度について一貫した手法を用い一貫した時系列での排出データを提出するよう勧めた。ボスニアヘルツェゴビア、セルビア、モンテネグロは、1990基本年度でのクロアチアの温室効果ガス排出目録の調整に賛成できないことを指摘した。Jim
Penman (英国)がクロアチア提案に関する非公式折衝を進めることとなる。
コンタクトグループ
プログラム予算:コンタクトグループ議長のJohn Ashe (アンティグアバーブーダ)は、予算案に関する三つのオプション、およびUNFCCCと議定書活動への資金を多様な割合で分離する指標を含めたCOP-9決定書案を提出した。米国は、特にUNFCCCでの補足活動信託基金での会計手法の重要性を強調し、日本およびロシア連邦とともに、議定書に直接関係する活動を明示するよう求めた。カナダ、米国、EUは、UNFCCCが「移行期間」である最中での予算決定を行なうことは、将来の決定の前例となる可能性があると述べ、オーストラリアおよび日本とともに、議長文書の中の3つのオプションに関係するコストの明細を求めた。
4.8条と4.9条の実施: Robert Mason (英国)とFadhel Lari (クウェート)が共同議長を務めるこのコンタクトグループは、決定書5/CP.7
(UNFCCC4.8条と4.9条の実施)に基づく活動実施での進展状況を検討するため会合した。EU、米国、カナダは、GEFでの第三次資金補填、LDC基金の創設、NAPAs向けのガイドライン作成を含めた進展に焦点を当てた。G-77/中国は、これまでの進展は不十分であるとし、各締約国は、最近のリスクアセスメントや保険に関するワークショップでの提案事項の検討を開始するよう求め、サウジアラビア、AOSIS、クウェート、リビアがこれを支持した。米国、EU、オーストラリアは、この提案に異議を唱えた。ニュージーランド、オーストラリア、米国、EUよりの要請を受けて、2003年7月2-4日にフィンランドのEspooで予定されている相互協力に関するワークショップでの議題について、
非公式折衝が行われた。
議定書5条、7条、8条: 出席者は、専門家レビューチーム(ERTs)の職業意識と実績、および訓練を改善する方法について議論した。ERTの実績向上に関して、締約国は、専門家レビューサービスに関する協定に提案されている要素を含めることを討議した。EUは、目録レビューのため各締約国が提出する情報を、専門家が作成する各国の目録に用いられる可能性があるが、それを第三者に公開するべきではないと述べ、アルゼンチンとボリビアがこれを支持した。レビュープロセスでの情報の公開について、締約国は、レビューされる締約国がレビューに関する情報に関与されるかどうか疑問視した。また出席者は、情報や観察結果をレビューチームではなく筆頭レビュワーと共有できるかどうかについても議論した。米国は、ERTメンバー間での利害の対立をどう扱うのかと質問した。
訓練に関して、出席者は、試験に落ちた専門家の立場や、試験を強制とするべきかどうか、そしてコースで最終セミナーを行なうべきかどうかを含め、専門家向けのコースに関する議論を行なった。共同議長のNewton
Paciornikは、共同議長でこの問題に関する決論書草案を作ると述べた。
IPCC TAR:共同議長のDavid Warrilowは決論書草案の概要と決定書草案の要点を提示した。出席者は議論の後、文章を検討する時間がもう少し必要であることで意見の一致を見た。
研究と体系的観測:このコンタクトグループは共同議長文書に多少の修正を行なった上で、この問題に関する決論書草案と決定書草案の検討を終了した。
政策措置:EUは、部門別および小部門別の活動に関する情報を共有するためのワークショップ開催を提案し、米国の支持を得た。G-77/中国は、情報の共有では開発途上国に関するP&Msの悪影響に焦点を当てるべきであると述べた。米国は、事務局が、決定書T13/CP.7
(P&Ms)の悪影響に関する部分に基づき、将来のワークショップの必要条件(TORs)を策定するよう提案し、サモアの支持を得た。G-77/中国は、そのTORsが何であれワークショップの追加に反対し、予算の制約や決定書13/CP.7の実施に関する「統括的な議論」の必要性を挙げた。日本は、インターネットベースの情報交換をさらに強化するよう提案し、EUの支持を得た。共同議長のRichard
Muyungi (タンザニア)は、議論のための決論書草案を作成すると述べた。
キャパシティビルディング:Dechen Tseringを議長とするこのコンタクトグループでは、出席者が、開発途上国でのキャパシティビルディングに関するそれぞれの期待および総合的なレビュープロセスに関する意見交換を行なった。議長のTseringは、このグループでの検討用の決定書草案を作成すると述べた。
会場外では:廊下では
一部の出席者は、UNFCCC予算として提供する供与金額が「劇的」に増加する可能性への懸念を表明し、予算をどう律するのか疑いを持っていた。他の出席者は、予算の増加を、事務局が締約国の増え続けるニーズを満たすよう、その能力を強化している証拠であると歓迎した。一部のオブザーバーは、UNFCCCと議定書の作業プログラムを分離することには、法的および手続き上の正当性があるとはいえ、資金分離の結果、COP/MOPでの作業に制約が加わる可能性があると指摘した。
気候変動特別基金:このコンタクトグループは、午前10時Schumannで会合する。
議定書5条、7条、8条:このコンタクトグループは午前11時Regerに集まる。
キャパシティビルディング:このコンタクトグループは正午にLisztで会合し午後3時にも再度会合する。
IPCC TAR:このコンタクトグループは午後5時にHaydnで会合する。
CDMでの吸収源:このコンタクトグループは午後7時Schumannに集まる。 |
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