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ニュースレター
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1995年3月号 |
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平和な時代の男らしさ、男の価値ジャーナリスト 日本人は、最近温和になったのだろうか。特に男性。それも若い男性。ヒョロッとして一見格好はいいけれど、覇気がなくて、真に頼りない。 それに比べると、若い女性は元気である。オバサンが元気なのは言うまでもない。 どうしてこうなってしまったのか。大きく歴史的に見れば、戦争がないことにより、女、子供を守るという男らしさの発揮場所がないからだ、とよく言われる。 だからといって、男を男らしくさせるために、戦争なんて企てられたらたまらない。平和な世の中で、男を男らしくする技術はあるのだろうか。 まず、母さんの男の子の育て方を変えなくてはいけない。私の周囲の母さん達を見ていると、嫁に対しては地声を怒鳴り散らすくせに、息子に対しては猫なで声という人が、圧倒的に多い。母と息子といえども、メスとオスになるのだとしか思いようがない。(私には娘が二人しかいないので、これは私の推量 である。) そして子供達の行動を見ていても、息子の方が母さんに優しい。娘は母親に対してとても厳しいのである。女の敵は女、たとえ血がつながっていてもというか、血がつながっていると余計にきつくなる傾向にある。 母さんは、息子に良かれと思うのであって、その心根を否定はしないのだが、安泰な道を歩ませたがる。挑戦してごらん。だめだったらママが助けてあげるから......とブッシュすれば良いのだが、危ないからアレもだめ、コレもだめ、さあここを歩けば安全よ、ママが皆片付けておきましたからね。 かくして、挑戦する勇気もなければ、失敗したときどうするかという対処法も学ばない男の子が、次々と育てられるのである。 いまの日本では、女の子の方がずっと選択肢が多い。結婚してもしなくても、離婚してもOK。近頃では娘が孫を連れて離婚して帰ると、よくやったという親も多いらしい。就職しても上手に遊び、海外旅行はバンバン出かける。キャリア指向の女性なら、この会社は駄 目だと見限ったら、さっさと留学してMBAなんぞに挑戦してしまう。ところが男性はというと、会社からの派遣ならあるけれど、個人で退職して留学するのはまれである。 男性群は相も変わらず"会社の御為"という古い観念にしばられている。そしてこの観念が、女性を締め付ける。 近頃誰に聞いても意見が一致するのは、女子の方が出来が良いということである。学校の成績は勿論、就職試験でも、面 接を含めて、性別をかくして上位から選ぶと、ほとんど女子になってしまうという。 それなのに企業に入ったとたんに、女性はそれまでのように力を発揮出来なくなる。これは企業という組織が、しがらみで固まっていて、新しい違った能力が生かせないものになってしまったためなのだと思う。 勿論、女子の例の甘えも問題だ。教育しても三年もしないうちに辞められてしまえば、会社としても、とても正規軍の一員として頭数に数えることは出来ないからだ。 この悪循環が、どこかで断ち切られなければならないと思っているが、逆に男性群にとってはいま、男としての男らしさを確立しておかないと、もう立ち直れなくなってしまうかもしれない。 今の女性達が、結婚もしない、子供も作りたがらないというのは、本質的に"いい男"がいないからである。彼女たちが手に入れた経済力、そしてそれに伴う自由を捨ててまで、結婚する理由*見つからないからである。 だからといって、アッシーだのミツグ君だのをやれば、気に入ってもらえると思ったら大間違い。女性群が"やさしいひとが好き"というのは、何でも言うことを聞いてくれる人ではないということを心得るべきである。 自分と違う世界を持ち、ハットするような意見をしっかり持っていて、自分が間違えていたらはっきり言ってくれる潔い人、これが本当に"やさしい男"だと私は思う。まずこのことに、男性達には早く気が付いてほしい。 これからは、もう男対女で対決する時代ではない。男らしさと、女らしさとを生かしながら、互いに相手を認め、協力していく時代であろう。 昔のように、肉体的強さだけで"男らしさ"を表現しようとしても無理であり無駄 である。平和な時代の男らしさを、自ら研究することが大切だと思う。 |
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