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1995年6月号

気候変動枠組条約締約国会議(COP-1)


 1992年のリオ・サミットにおいて155か国により調印された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、条約批准国が50か国を越えたことにより昨年3月に発効し、この程同条約発効後初めての締約国会議(3月28日〜4月7日)が、ドイツ統一後の新首都としての機能充実に向けて建設ラッシュ著しいベルリンにおいて、各国の閣僚(環境担当)級の出席の下開催された。

 今次会議は、2月に行われた各国政府間交渉会議(INC-11)において、現行条約の妥当性、温室効果 ガス低減対策としての共同実施などの重要議題について合意に至らなかったことから、あらかじめ決められた事項を閣僚宣言のような形で広く公表するためのお祭り的会合とは趣を異にし、各国が条約の目的に沿ってどこまで歩み寄りを見せるかという点が注目されるところであった。会議の結果 については、既に新聞紙上その他で数多く報じられていることから、以下に簡単に記す。

現行条約の妥当性

 現行条約では、2000年以降の温室効果 ガス削減のあり方について具体的に定めておらず、この観点からの妥当性について議論が繰り返されてきたが、今回「2000年以降に適切な行動をとることができるような目標を定めるべく検討を開始し、今次会議以降COP-3(1997年)までに検討を終える」とした「ベルリン・マンデート」が採択された。

共同実施の基準

 条約第4条2項(a)で「各国は他国と共同で温室効果 ガスの排出抑制対策を行うことができる」と謳われており、この条文の解釈について過去のINCでは主に南北間の思惑の違いから合意に至らなかったが、今回「試験的な実施期間(パイロットフェーズ:1995年〜1999年)を設定し先進国と発展途上国と共同で対策を行うことにつき、ボランタリーベースで行うことができる」との条件付きで初めての合意が得られた。

 以上の2点について今回の会議で合意が得られたことは、条約の趣旨にとっては十分といえないかもしれないが、一部でも合意を得たことで、温暖化対策が次ステップに向かって一歩踏みだすことができたものと評価される。

 また、日本は1997年のCPO-3以降早期の会議開催の用意があること(実質的にはCOP-3の開催表明と受け取られている)を政府代表(宮下環境庁長官)演説で表明したが、今回のドイツの執った会議開催方法や根回しの手法は、大いに参考にすべき点が多かったように思うと共に、1997年COP-3での「2000年以降の目標」決着に向けて、国内の意見調整も経た上でどのような貢献を日本が行えるかについて、考えさせられるところの多い会議であった。