論点 |
日本側報告書 |
米国側報告書 |
日米経済問題
(1)経常収支インバランス |
〔現状認識〕
- 日本の経常黒字、米国の赤字は基本的にはマクロ経済構造の問題。日本市場の閉鎖性が主たる要因ではない。
〔求められる対応〕
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〔現状認識〕
〔求められる対応〕
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(2)為替変動 |
〔現状認識〕
- 急激な円高の要因は、日米両国の不十分な経済政策、国際協調の欠如、米国の債務問題への不十分な対応、大量
の投機筋の為替取引。
〔求められる対応〕
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〔現状認識〕
- 円高は円の問題であり、日本の外貨収入と外貨需要の不均衡が原因。
〔求められる対応〕
日本……国内経済刺激、規制緩和を通
じた国内市場の開放加速による外国為替の追加需要の創出。財政黒字を世界経済全体に還元する責任を負う機関や機構の強化。
米国……国内貯蓄増加、対外借款への依存度の低下。
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(3)市場アクセス |
〔現状認識〕
- 貿易インバランスは必ずしも市場アクセスの非対称性を示すわけではない。
・日本市場は非難されるほど閉鎖的ではなく、適切な努力を行えば参入は十分可能。
〔求められる対応〕
- 日本における規制緩和、輸入促進、非製造業を含む海外企業による直接投資の推進。
- 規制、規格、基準、競争政策等の経済制度のコンバージェンスの推進、特に競争政策の三極のコンバージェンス→三極経済構造ラウンドの提案。
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〔現状認識〕
- 日本の閉鎖的で消費者利益に反する市場の構造が、中心的な力となって円高と悲観的な経済成長をもたらした。
〔求められる対応〕
- 米国政府、民間企業の、日本国内の経済自由化推進勢力と歩調をあわせた日本市場開放要求。
- 包括的な三極ラウンドによる、競争政策、規制・規格・基準の均質化。
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(4)紛争解決のための方策 |
- WTO を補完する穏やかな紛争処理解決機関を設立し、中立的な解決策の提示→政治問題化を回避。
- 交流チャネルの多層化、公域化のための環境整備による日米間の不信除去。
- 財団・NGO 等の設立等の障害除去。
- 留学生、学者交流拡大。
- 米欧三極経済比較研究。
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- 多様な紛争処理プロセスの活用、具体的には、
- WTOの紛争処理手続の利用。
- 政府間協議。
- APECの任意紛争調停サービス。
- 二国間紛争処理機構の設立。
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アジアとの関係 |
〔現状認識〕
- 日米両国が共同しアジア市場を安定的に発展させることは日米共通
の利益。
- アジアの成長パターンは、市場経済に安定的に移行する際のモデルとなることへの期待。
〔求められる対応〕
(APECの推進)
- APECでの自由化促進はポスト・ウルグアイラウンドの動きの一つであるべき。MFN待遇が当然。
- 自由化の進め方としては「協調的自主的アプローチ」が適当。
- 日米両国が「開発」への支援を続けることが必要。
(アジアの安定に向けた対応)
- エネルギー、環境等アジアの不安定要因を排除するための共同研究、共同事業、日米の政府・民間の資金援助による社会インフラの整備。
- 日米安保の再確認。
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〔現状認識〕
- 日米のアジアにおける生産拠点網の不均衡が存在。
- アジアの輸出先として北米が大きく伸び、日本への輸出はそれほど増加せず。
- 東アジアは輸出志向型の成長をしたが、日本と異なり、国外からの投資に大きく依存。
〔求められる対応〕
(APECの推進)
- APEC域外に対する無条件MFN待遇の付与には反対。
- 自由化の範囲は包括的であるべき。
- 「前進のためのパートナー」プログラムには賛成。
(アジアの安定に向けた対応)
- 日米がアジア太平洋の政治と経済についてより協力的なアプローチをとるべき。日米安保が中核。
- 主要な地域問題についての日米の公的な協議及び調整メカニズムを強化。
- 朝鮮半島の再統一に向けた対話を日米と韓国の間で官民レベルで深める。
- 太平洋コミュニティーへの中国、ロシアの統合を促進。
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地球規模の協力 |
- 国際システム再構築のための、日米協力、日米欧三極の共同リーダーシップが重要。
- 資源・エネルギー問題、環境問題、医療問題、食料問題等の発展の制約要因を克服するための技術開発と国際協力を日米間で進める。
- NGO活動を含む地域紛争における人道的支援の強化。
- 日米欧を中心としたWTO等の国際機関の発展。
- 基軸通貨としてのドルの規律ある対応への期待。
- 中長期的な国際金融システム再構築の一環としての円の国際化。
- アジアからの輸入の拡大
- 東京金融市場の利便性強化
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- APECに代表されるアジア太平洋地域は他の地球の模範
- 従来同様、アジア地域における日米のリーダーシップが地球規模でも重要な成果
をもたらす。
- 日本が数多くの地球的規模の問題にイニシアティブを支援することが重要。特に国連安保理における常任理事国化が有益。
- 日米の共同の努力が、個別
に努力する場合より、大きな成果をもたらすことを認識すべき。
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注)下線の引いた箇所は、両懇談会で特に意見の相違が顕著であった論点。斜字の箇所は、対応策として共通
のもの。