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1996年5月号

平成8年度の事業計画決定


 さる3月21日に開催された当財団の理事会において、平成8年度の事業計画が決定されましたので、その概要を紹介します。

 地球的視点から、産業・経済と資源、環境、生活、文化との好ましい関係のあり方、地球人類の持続的繁栄を図るための地球経済社会のあり方等の地球産業文化に関する諸問題について、次のとおり調査研究等を行う。

1.調査研究

(1)研究委員会

 テーマごとに次の研究委員会を組織し、調査研究を実施する。

1)2050年のサスティナビリティ研究委員会(継続)
 人類の生存のための地球環境保全と人間の欲求を満たす社会発展とを両立させる「持続的な発展」に関して、2050年を一つの時間的断面 を捉え、人類社会が持続可能となる具体的な行動計画及び政策指針を提言する。

2)21世紀のインドと国際社会研究委員会(継続)
 日本を取り巻くアジアの国際社会を考えた場合、インドは発展途上の大国として、中国とともに、その潜在的な影響力はさまざまな面 に際立っている。国際社会にあって、インドが今後どのような方向性にあり、これと日本との関係をどう考えていくかを研究する。

3)企業のグローバル化と国家・社会のあり方を考える研究委員会(継続)
 様々な社会的、文化的インパクトをもたらす、多国籍企業の活動、産業のグローバル化の望ましい姿を検討する。

4)GIIの行方と各国の対応研究委員会
 前年度に引続き高度情報化に関する世界各地域の動向を調査する。高度情報化の動きを、最終的にはGII(Global Information Infrastructure)へ進む道のりとして捉え、その可能性、問題点等を抽出し検討する。

5)東アジアの環境問題(環境技術移転)研究委員会(新規)
 急激な経済成長を遂げつつある東アジア地域において、これに伴って増大する環境負荷の問題が大きな懸念事項である。解決策の一つとして環境技術の移転が重要であり、日本の貢献が期待されている分野でもある。環境技術の移転に関する基本的考え方を踏まえ、環境技術協力のあり方について検討する。

6)総合安全保障研究委員会(新規)
 冷戦の終焉後、東西の対立は解消し、平和の配当が期待されたが、現実にはそれまでイデオロギー対立によって抑圧されていた種々の問題が噴出してきている。例えば、民族、宗教対立による紛争、地球的規模の危機(人口、資源・エネルギー、食糧、貧困、開発、環境問題等)などである。これらの問題について新たな視点から総合的に検討する。

7)市場経済のグローバル化のための新要素を考える研究委員会(新規)
 冷戦終了後、かつての社会主義国など市場経済に参加する国の数も増加してきた。それに伴い、政治・文化・社会の価値観の変化が経済に影響を与え、世界的な大変革の時代が到来することが予想される。このような状況下、市場経済のグローバル化を前提に、“市場”というものの根本的な意味を検討する中から世界共通 の新たな市場ルールを検討する。

(2)委託調査研究:次の調査研究を実施する。

1)欧州・アジア関係共同研究

(3)受託調査研究:次のテーマについて調査研究を行う。

1)地球温暖化対応方策検討調査
2)環境審査等調査に関する調査
3)発展途上国エネルギー消費効率協力化基礎調査
4)貿易と環境

(4)助成を受けて行う調査研究:次の調査研究を行う。

1)総合安全保障に関する調査(総合安全保障研究委員会)
2)環境技術移転

2.政策の提言

 1.の調査研究を踏まえて、地球産業文化委員会の審議を経て、地球産業文化に関する総合的な政策の提言を行う。

3.共同研究

 内外の研究機関(米国世界資源研究所(WRI)、未来資源研究所(RFF、ヨーロッパ日本研究所(EIJS)、ストックホルム環境研究所(SEI)等)と協力関係を保つほか、平成7年度に引続き、次の会議等に参加し、共同して調査研究等を行う。

(1)環境と開発に関する中国国際協力諮問委員会

(2)2050年プロジェクト(WRI)

(3)日米中トライラテラルフォーラム(仮称)

4.研究会、シンポジュウム等の実施

次のとおり、ワークショップ、セミナー、シンポジユウムを開催する。(1)東アジアの持続可能な発展に関するリージョナルワークショップ  (さくら銀行、東京電力、イオン財団から助成金等の交付を予定。)(2)「日米協力関係のあり方」セミナー(3)GLENTEX'96シンポジウム(4)電子フォーラム

 電子フォーラムについては、インターネットを通 じて当財団の研究活動を内外に公開し、広く一般と意見の交換を行う。

5.情報の収集及び提供

地球産業文化に関する情報の収集、分析を行うほか、次により情報提供を行う。

(1)調査研究に関する報告書等の提供

(2)機関誌「地球研ニュースレター」(和文)及び「GISPRI」(英文)の発行

(3)地球環境問題(企業)懇談会開催による情報の提供