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ニュースレター
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1998年3月号 |
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COMMITTEE IN GISPRI | |||
97年度地球産業文化委員会の概要題記委員会が昨年12月18日に地球産業文化研究所会議室で約3時間にわたって開催され、研究委員会の報告、地球産業文化研究所の方向性等についての審議を行うと共に、通 商産業省にCOP3についての講演をいただいた。
委員:木村委員長、河野委員、小島委員(新任)、福川委員。
・委員変更の説明(清木専務理事)新任:小島 明 日本経済新聞社取締役論説主幹 ・地球産業文化研究所からの挨拶(福川顧問)i) 1998年10周年を迎える。地球環境問題、グローバルな社会のあり方、等の研究を中心に据えながら、効率的な運営を行い成果
を上げていきたい。 ・新任の挨拶(小島委員)・COP3についての講演(石海審議官)数値目標と途上国問題の2つが大きな論点となった、長く複雑で困難な会議であったが、各国交渉団の柔軟な対応と熱意により、地球温暖化防止に向けた重要な第1歩として積極的に評価できる議定書を作成できた。 ・「21世紀のインド」研究委員会の報告(飯島座長)報告と討議。 ・地球産業文化研究所中期計画等の説明(佐々木理事)「資源%環境問題」「国際システム」「文化社会」の3分野を基本とし、それらを有機的 に連携し、あるいは敷衍していく形の研究を推進し、その成果を提言等の形で社会に発進していくことを目指す。(添付資料参照) ・討議(全員)木村委員長から「21世紀に日本のような19世紀の単一国民国家がどこまで頑張れるか、」との問題提起がなされこれをめぐり、「日本における留学生の受け入れ方」、「グローバル化時代に即した外国語教育のあり方」等の諸問題につき活発な議論が交わされた。
98年度以降3カ年の地球産業文化研究所中期計画について今回の財団法人 地球産業文化研究所の中期計画策定に当たっては、以下のような視点を踏まえることが必要である。 第一に、本研究所は、社会が求める政策立案過程の透明性の確保と闊達な議論の醸成に寄与し、政策決定にも影響力のあるシンクタンクとなることを目指している。 このような活動を通じ、益々顕在化している地球的制約条件のもとでの新たな理念やパラダイムを社会に提案してゆくという、本研究所に求められる役割を、着実に果 たしてゆくこととしたい。 なお、活動を推進していくうえで必要な資金等のリソースについては、事業の目的が限定される受託の割合が増える趨勢にあり、これを踏まえて対応する必要がある。 研究等の目的および領域について本研究所が調査%研究する領域は、寄附行為に沿い、昨今の世界情勢を踏まえ、さらに行政、産業等のニーズを斟酌し、次のように整理する。 (1) 資源%環境1.気候変動防止に関する調査研究COP3が終わった。‘我慢’とは発想を異にする‘節度ある’行動が求められている。節度ある行動の基本にあるのは、科学的な視点に基づく将来展望である。この気候変動防止に関しては、当研究所の清木専務理事が気候変動政府間パネル(IPCC)の副議長に選出され、IPCCに参集する社会科学、自然科学分野の知的リーダーとしての役割を担うこととなったこともあり、重点的に調査研究する。まず、気候変動に関わる科学的知見を集積・解析し、政策への反映を図る機能の一環として、IPCCビューローのメンバーとして、第3次報告書の作成に携わる。 また、COP3以降も引き続き気候変動防止の政府間交渉が続くものと予想されているので、途上国の参加問題を中心に交渉プロセスに向けて政策提言を行うものとする。 2.21世紀の開発戦略の調査研究2年来おこなってきた2050年を見据えての持続的発展の在り方の研究では、"誰が中国を養うか#に象徴される発展の制約要因を未然に解消あるいは緩和することによって、次世紀以降に不可逆的な事態に立ち入ることとならないパスを見出すよう試みた。分配メカニズムの最適化により、資源面 での制約を克服し、所得格差を縮小できるパスが存在することが明らかになった。そのために世界のいくつかの地域エリアごとに、国家主権を絶対のものとせずに、相互調整を図るレジームを形成することが有効であるとの提言が用意された。 この成果を踏まえ、最近のハイテク産業伸長のバックボーンであるソフトの"収穫逓増#を踏まえた新成長理論も吟味し、また、日本の知的資産育成が各種制約要因を緩和・解消する効果 等も視野において、調査研究する。 3.アジアのエネルギー・シナリオおよびエネルギー安全保障戦略に関する調査研究アジアの研究機関や内外有識者の協力の下に、地球環境の問題をも視座に置いた、アジア地域の将来のエネルギー%シナリオを作成するとともに、それに基づきエネルギー安全保障戦略および環境技術移転の調査研究をおこなう。 (2) 国際システム1."グローバルガバナンス#国連開設から半世紀が過ぎ、イデオロギーを絶対とする二極対立も解消したが、依然として主権国家が中心となっている。反面 、資源・エネルギー問題、トランスボーダーな環境問題、金融問題、トランスナショナル企業の活動等一国では処理不可能なグローバルな問題が顕著になってきている。このような課題に対して、多層的連携の結成等、多層的な関係の在り方の調査研究を行う。 2.巨大かつスピィーディな新事象と日本の対応グローバリゼーションが進展する中での新しい産業政策を含めた経済問題の調査研究経済においては、メガコンペティションと形容される地球スケールでの熾烈な競争が普遍化し、またエレクトロコマースやコンピュータプログラムに組み込まれたストックディーリングが日常化することによって、指数関数的に金融のフローが拡大し、反面 、変動の制御や収斂の予測が難しい状況に立ち至っている。 また、為替管理の自由化等により、日本と世界との経済の一体化が加速するが、金融システムの維持、投資や知的財産の保護等について、国際的なルールを徹底し、また、紛争を迅速かつ合理的に調停する機能を充実することが、一層重要になってくる。このような事柄への対応を含め、国際的視野に立ちながら国益を確保するための日本の政策について調査研究する。 また、さらにこのような新しい時代にアジア経済の方向と日本の果 たすべき役割について広範な研究をおこなうが、その一環として日本経済のこれまでの主たる担い手である製造業が、特に広範に展開しているアジアにおいて安定した事業基盤を築き、維持していくためにおこなうべき技術改良、設備更新の順サイクル確立を含めた方策等をあわせて調査研究する。 (3) 文化・社会1.情報社会の在り方の調査研究21世紀の世界および日本の社会を予見した場合、ニューメディアというツールを縦横に駆使した活力ある社会を、国民の多くがイメージしている。企業は、規模のメリットを資本面 での結合を連携の要にするばかりでなく、デファクトスタンダード化を追求するようになった。また、イノベーションの主体として、柔軟で機動性のある集団への期待が大きくなり、社内ベンチャーや組織のダウンサイジング化が進展してきている。このような状況を踏まえ、情報通 信産業におけるベンチャー化等について調査研究する。 また、アジアにおける情報通社会構築の急速な進展を進めていくうえでの方策を調査研究する。 2.日本、アセアン等の協力の在り方についての調査研究日本とアジアとの2国間関係および多国間関係について、制度面 および中国人ネットワークに代表される人的側面から調査研究する。さらに、日本・アジアと米国との関係についても、"アジア的価値観と欧米的価値観の相違#という視点も考慮に入れて日本とアジア特にアセアンとのあるべき姿について調査研究する。
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