新委員会紹介
「ASEANを中心としたアジアの政治・社会システムと
それに立脚した地域協力と日本の対応
-ナショナリズムとグローバリズムの調和-」
研究委員会
弊研究所では東京大学山影進先生を委員長とした標記研究委員会（略称、ASEAN・山影委員会）を発足させた。以下にその概要を紹介する。
１．研究の背景と目的
ASEAN諸国は、大規模な外国直接投資資金の流入と部品組み立てによる製品輸出の拡大により高度成長を続けてきた。90年代に入ると高度成長の結果
として事業コストの上昇、労働力、人材不足、インフラの不整備といったいわば「成長疲労」が顕在化し、中国、インド、ベトナム等のライバルに対して外国投資受け入れ環境は相対的な劣化をし始めた。事実、92年には中国に流入した外国投資総額はASEAN諸国への総額を上回り、ASEAN諸国に経済成長を支えてきた「投資と貿易の好循環」の先行きに対する懸念を抱かせるに至った。こうしたことからASEAN諸国は、加盟国の拡大によるASEAN10の実現、域内関税の引き下げを目標とするASEAN自由貿易構想（AFTA）、加盟諸国の投資障壁の削減による域内投資環境の改善を目指すASEAN自由投資地域構想（AFIA）等、さまざまなイニシアティブを打ち出してきた。しかしながら97年７月のタイの通
貨危機に始まった経済変動により、ASEAN諸国はいまだかつてなかったような深刻な経済的困難に直面
することとなった。この経済危機に伴う経済成長の急激な落ち込みは、対ASEAN投資の拡大により国内需要の低迷を補ってきた韓国経済、さらには日本経済に対し直接、間接に大きな負の影響を及ぼしつつある。
日本は、この事態打開のために米国との密接な連携のもとに、IMFの機能を必要に応じて強化しつつ対応する方向で、今までにも増して強力なリーダーシップを発揮しつつある先般
バンクーバーで開催されたAPEC首脳会議の場でも、このアジアの金融危機が最重要課題として討議されたところである。
しかしながら、この経済危機の背景には、ASEAN韓国がその経済システムのみならず、政治・社会システムがいわゆるアングロサクソン流のグローバルスタンダードへ同調できなかったことがある、と指摘されている。日本に対してもアジアの一員として、当面
の危機に対する緊急の措置を講ずる一方で、かかる点について欧米先進諸国との調整役をはたし、物心にわたる地域協力が求められている。
２．研究内容
1) ASEANをめぐる長期的視野
2) 研究の課題
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ASEANは抱えている課題にどう取り組み、克服しようとしているのか（分析）
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ASEANの動向は日本にとってどのような影響を持つのか（予測）
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日本はASEANにどのように関わっていくのか（政策）
以上の３点を常に念頭におきながら下記に述べる課題について論議を深め、99年６月をめどに報告書完成を目指す。
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ASEAN経済統合は進展するか
「経済のグローバル化」にASEANはどう対応しようとしているのか。
アジア経済危機の影響と意味。
貿易投資の自由化、輸出中心の工業化政策は間違っていたのか。
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ASEANWAY、いわゆるアジア的流儀は神通
力を失ったのか
APEC、ARFでASEANはペースメーカーでいつづけられるか。
人権問題は再燃するか。
ASEMのモメンタムは維持されるか。
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ASEAN諸国の行方、民主化かそれとも独裁と混迷の時代への後退か
さらに落ち込んだインドネシアが各国に与える影響。
ASEANにおける指導者の世代交代の持つ意味。
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ASEAN内の南北問題解決に向けてのASEANの役割、日本の協力
３．研究委員会メンバー（順不同、敬称略）
| 委員長 |
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山影 進 |
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東京大学教養学部教授 |
| 委 員 |
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岩崎 育夫 |
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アジア経済研究所
地域研究第一部主任研究員 |
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小笠原高雪 |
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山梨学院大学法学部助教授 |
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久保 文克 |
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中央大学商学部助教授 |
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鳥居 高 |
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明治大学商学部助教授 |
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洞口 治夫 |
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法政大学経営学部助教授 |
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勝田 龍平 |
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通商産業省大臣官房企画室長 |
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松島 茂 |
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通商産業省
工業技術院技術審議官 |
| 専門委員 |
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大庭 三枝 |
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東京大学大学院
総合文化研究科博士課程 |
| オブザーバー |
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橘高 公久 |
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通商産業省
通商政策局通商政策企画室長 |
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松井 孝治 |
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通商産業省通商産業研究所
総括主任研究官 |
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稲垣 克芳 |
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通商産業省通商産業研究所
主任研究官 |
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末平 正治 |
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通商産業省通商産業研究所
研究官 |
