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ニュースレター
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1999年10月号 |
CONFERENCE |
第8回アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア’99)
1.基調講演(松下和夫地球環境戦略研究機関(IGES)副所長代行) 1.1 アジアの環境の現状と動向 アジア太平洋地域における多様な自然環境の中、多岐にわたる環境問題が発生しており、急速な人口増加と工業化により多様な環境問題が同時並行的に発生している。また、エネルギー消費の増加がSOxとCO2排出量 の増加につながり、土地利用の変化が森林・生物多様性の減少や自然災害の危険増大等につながるおそれがある。具体的な最近の重大な環境問題としては、中国・長江の洪水、インドネシアのヘイズ(煙害)、インド・デリーでの都市大気汚染が挙げられる。 一方、アジアの環境管理に向けた新たな動きとしては、中国・国家環境保護局(NEPA)の国家環境保護総局(SEPA)への改組(格上げ)と、インドネシアにおける生物多様性の保全と持続可能な利用の推進などを行う生物多様性財団の設立がある。また、地域における酸性雨のモニタリング、データの集約・分析等を行う東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)が、新潟県の酸性雨研究センターにて試行稼働している。 1997年に起こった東アジアの金融危機は、全体としてこれまでの「経済成長の成果 を環境対策に振り向ける」という方向が阻害され、環境が軽視されるおそれがある一方で、経済回復プログラムの策定・実施過程は、よりクリーン、グリーンで健康的な経済発展を実現するよい機会となるであろう。 1.2 政策方向 多くの途上国では、都市大気汚染、自然資源の枯渇などの地域環境問題の方が、地球環境問題より深刻。先進国では、エネルギー効率向上がSOx、Nox等の大気汚染を改善し、CO2排出量 削減にも有効。京都議定書による温室効果ガス削減の国際的な努力と途上国の国内汚染削減努力との連携と促進のための資金的・技術的メカニズムの充実が必要である。 効果的な環境政策転換を促進する方策として、適切なインセンティブ付与、法的枠組、情報公開、民間セクターとの協力等を提言する。今後、酸性雨対策、海洋環境保全、地球温暖化対策、都市環境対策、森林保全等の環境問題に対応するため地域間環境協力の構築と強化を通 じて、アジア太平洋地域の安定と平和の醸成につながりうる。 1.3 リオ+10に向けて 国連によるアジェンダ21の包括的レビュー会合(リオ+10会合)が2002年に予定。 エコ・アジアとしては、リオ+10会合をターゲットに、アジア太平洋地域を焦点とした持続可能な発展のための政策パッケージを行うべき。具体的には、地球環境問題に関する各国の政策対話の促進、地域内の環境と開発に関する課題についての認識の共有化と有効な対策手法に関する情報交流、国際協力手法の検討である。このような検討を通 じて、域内の環境分野での技術協力や資金協力のさらなる進展が望まれる。 2.パネルディスカッション 近藤次郎中央環境審議会会長が、公開セッションのコーディネーター役を務め、4人の大臣による各国の環境問題の現状や取り組み、国際協力に対する期待などについてのプレゼンテーションと、21世紀におけるアジア太平洋地域の持続可能な開発の達成可能性についてパネルディスカッションが行われた。 2.1 各国プレゼンテーション(主要ポイント) (1) 日本(真鍋環境庁長官) (2) カンボジア(マレ環境大臣) (3) 韓国(キム環境部長官) (4) ネパール(バラヤー人口・環境大臣) 2.2 討議 続いて行われた討議では多くの重要な指摘がなされた。
(文責:伊藤裕之) |
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