21世紀には世界に占めるアジアの比重が一層高まることは疑いないが、それは必ずしも一様かつ順調な発展を意味しない。内部的には依然として独裁体制の残渣が残っており、外部的には環境、資源、人口などの制約が欧米や日本が成長して来た時代より遥かに厳しくなっている。更に台湾、朝鮮半島などの緊迫した国際問題も予断を許さない。今後のアジアは、これらの内的、外的要因が総合的に作用しながら変化してゆくであろう。当研究所では、四半世紀後のアジアはどのような状態になっているか総合的に展望してみようという目的で研究委員会を設け、天児慧委員長(青山学院大学)を中心に、昨年9月から数ヶ月かけて活動を行い、5月にその報告書が完成した。報告書はさまざまな分野を専門とする11人の委員が分担して執筆した。以下、その概要を紹介する。