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2000年12月号

COUNCIL
チャイナカウンシル第2フェーズ第4回本会議出席報告



 10月31日(火)〜11月2日(木)に、中国・北京市にて「環境と開発に関する中国国際協力委員会(チャイナカウンシル(注1))」第2フェーズ・第4回本会議が開催され、事務局として参加したので以下の通 り報告する。今回は、特に「中国・西部大開発に関わる環境問題」を中心テーマとして討議が行われた。



1.会議への参加者

 中国側及び外国側カウンシル委員、各作業部会(WG)共同議長、政府・省からの招聘者、オブザーバー等約100名が参加した。チャイナカウンシルの外国側副議長は、本年カナダ国際開発庁(CIDA)長官に就任したグッド氏(Leonard M. Good)へ交替となり、ラベル前副議長はカウンシル委員となった。日本側からは、カウンシル委員としてNEDO北京事務所井上所長(福川委員代理)および石坂匡身石油公団副総裁が、クリーナープロダクションWG共同議長として井出亜夫・慶応義塾大学教授が出席した。


2.主な発表:

(1)チャイナカウンシル温家宝議長(国務院副首相)
中国の第9次5カ年計画(1996年〜2000年)期間中の年平均GDP成長率は8%を超える。同時に環境保護も強化され、前5カ年計画期間に比較して1.75倍の環境投資が実施された。これにより、汚染物質の総排出量 は前5カ年計画期間比で15%減少し、大都市部での大気汚染の改善が見られた。また、天然林の保護強化、河川への土壌流出防止のため、開墾地の森林・草原への復元についても実施された。

温家宝・副首相による報告
中国西部地域(注2)の開発は21世紀における重要な戦略の一つ。東部(沿海部)と西部の間の調和の取れた、持続可能な経済的、社会的、環境調和型な発展が必要である。そのためには、以下の方針に従わなければならない。
(1)開発と環境保護を正しく調和させる。
(2)環境保護の強化ため、改革・開放政策と進んだ科学技術を活用する
   (水、エネルギー資源節約と汚染処理)。
(3)自然環境保護(緑の保全、水の汚染防止)により住民の生活環境の質の向上を図る。

(2)政府各部、西部省および各WGよりの発表。
 国務院西部開発部(開発戦略)、科学技術部(キャパシティビルディング向上対策)、国土資源部(鉱物資源開発)、交通 部(道路建設)、水利部(土壌流出、水資源対策)、国家環境保護総局(西部地域における環境保護対策)、国家林業局(植林、砂漠化防止)、四川省、甘肅省、内蒙古自治区より、それぞれの西部開発との関連での発表が行われた。  次いで、チャイナカウンシル傘下のWG共同議長より、各グループの活動報告とレコメンデーションの説明が行われた。このうち、クリーナープロダクションWGについて、井出議長より、山西省太原市における主要企業向けクリーナープロダクションのデモンストレーションを中心とするこれまでの活動状況を報告し、太原市で実施したクリーナープロダクション導入の手法を他の省・市へも普及させるための法整備の早期実現を含むレコメンデーションについて説明を行った。

(3)レコメンデーションの審議と採択
 本会議へレコメンデーション案が提案、審議の上、採択された。
 (経済、エネルギー関連で主なもの)
経済計画と環境保護政策がより密接に統合されるべき。
エネルギー政策が高い優先度を持つことから、大気汚染対策のため、石炭ガス化等のクリーンエネルギーの早期導入の必要性。
クリーナープロダクションと公害防止対策のさらなる推進が必要。
中国は、気候変動等の国際交渉に積極的に関与するべき。また、京都議定書の柔軟性措置であるクリーン開発メカニズム(CDM)は、中国西部地域の開発促進に有用。海外の資本によるクリーンコールテクノロジー等のエネルギー分野での技術移転の機会の可能性がある。

 この後、カウンシル委員は朱鎔基首相を表敬訪問し、レコメンデーションが手渡された。


3.次回(第5回)本会議開催予定

 第5回開催日程が本会議最終日に事務局より提示された。(2001年9月25日〜27日於:北京市)。
 討議テーマは、チャイナカウンシル第3フェーズ(2002年〜2006年予定)の目的と活動内容について、となる見込み。チャイナカウンシルの最大スポンサーであるカナダ政府は、本活動を今後とも継続させたい中国側の要請と、これまでの活動内容を精査した結果 から判断し、第3フェーズ活動への財政協力を今回の会議で表明している。
(文責:伊藤裕之)


   (注1)中国政府に対して環境と開発の総合に関する建設的な提案をするためのハイレベルの請問期間であり、
       1992年4月に設立された。
   (注2)「西部」:面 積は中国全体の57%、人口23%、GDP約14%を占める。160種類の豊富な鉱物資源。
        石炭埋蔵量は中国全体の38.6%。 石油41%。発電用水資源82.3%。