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ニュースレター
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2001年 6号 |
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CONFERENCE | |||||
第四回 統合報告書執筆者会議 報告
過去及び将来のGHG排出増加と気候変化の責任の所在の捉え方で、途上国と先進国の間に明確な違いが見られたのが興味深かった。例えば、豪は、今後の先進国の発展による排出だけが原因ではないことを強調し、中国は京都議定書の目標は現段階で途上国に課せられていないと強調した。また同様に、執筆グループでは温暖化の「差異ある責任」についての表現も非常に注意深く取り扱った。これら主張が強く出るのは、IPCCの報告書が実際の温暖化交渉に引用される可能性があるからだ。 コメントの取り扱いについては、提出する国により不公平に取り扱われることはまずなかった。しかし議論は欧米豪加が中心に行われたといわざるを得ない。他地域で議論に積極的に参加したのは露中だが否定されることが多かった。また、残念なことに、時間が不十分という認識から、あまり時間をかけてコメントの真意を理解しようとしていなかった。誰かが気づいて止めない限りは、改良案に不適切な単語がある、承認されたテキストに書かれていない、という理由だけで排除された。 一人の執筆者が、一つの図について責任を放棄した。それは、執筆者間の議論の折り合いがとれなかったからである。しかし、SYRの執筆者は名前が一所に列挙され、各執筆者の執筆部分の責任が不明確になっている。また、同じ「執筆者」でも、あまりに執筆者間で寄与の度合いが異なるという事実がある。さらに、IPCCは科学者の成果なのか、SPMについては政府承認プロセスを通じた政府からの成果なのか曖昧である。 このように、執筆の議論で参加国による不均衡があること、執筆の責任が不明確であること、政治的な判断が内容に盛り込まれる可能性があることなどは、報告書自体の信用性を低めてしまう可能性がある大変な問題である。続いて行われた総会ではIPCCの将来報告書の議論を行ったが、そこではこういった細かいプロセスについては議論していない。温暖化交渉など、高度な政治交渉に利用される内容であるからこそ、いかに政治から切り離して信頼性の高い内容を保つかといったことから考えるのが重要であろう。
※SYRと会合の詳細はhttp://www.gispri.or.jp/kankyo/ipcc/ipccact7.html参照されたい。 |
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