|
COP8では、京都メカニズムに関して合意されていなかった事項のなかで、排出量などの報告・審査のガイドライン採択やCOP9での最終決定に向けたCDM吸収源活動のスケジュール決定などの進展があった他、途上国を支援する仕組みの実施、2013年以降の交渉プロセスに関する議論が行われた。
「デリー宣言」については、次期約束期間の話をしたい先進国とCOP7まで十分議論できなかった途上国支援事項の議論を進めたい途上国という位置付け。鈴木環境大臣は閣僚会合における第一回ラウンドテーブルにおいてキーノートスピーカーの1人として、京都議定書の早期発効地球規模の参加条約の究極目標達成のために2013年以降のプロセスの開始を主張した。また「デリー宣言」採択の過程で日本として将来の行動強化の為の検討開始途上国を含む各国の緩和措置(排出削減)についてCOPで検討を実施、などを主張した。一方、途上国は、先進国の排出削減義務の履行途上国への新たなコミットメントの拒否途上国支援などの合意事項の履行を訴えるとともに、議長国インドのバジパイ首相は途上国と先進国の一人あたり排出量の相違を挙げ「途上国にコミットメントを課すのは見当違い」と発言した。
交渉の過程で宣言を採択できない可能性もあったが、国際的に気候変動を議論するCOPで宣言を出せたこと自体は評価できる。「デリー宣言」の文言の多くは気候変動枠組条約やヨハネスブルグサミットの書き写しに過ぎないが、前文に「全締約国の緩和活動に注目」及びパラ(f)の「緩和及び適応に関する非公式協議開始」といった排出削減に関する日本の主張を盛り込むことができた。CDMなどの排出削減活動を真剣に考えている途上国は決して少なくなく、これを正当に評価することが将来の話につながっていくという意味で小さな一歩であると評価する。
京都議定書の批准状況は、11月14日現在98ヶ国締結、その内先進国(Annex I国)が26ヶ国でその1990年のCO2排出量は先進国全体の37.4%※。COP期間中の批准はなかったが、COP8後に韓国が批准。尚、ニュージーランドは国内で批准の手続きが進行中で2〜3週間以内に批准の見通し。ロシアは10月の川口外相と副大統領の会談で来年の春会期に批准の検討を行うと言及。またカナダは国内実施計画を議会で検討中であるが、カナダ憲法では京都議定書批准において議会承認は必ずしも必要ではなく「政治的な動き」であると認識している。
現在の「どういう方向に交渉を持っていくか」という状況下で、日本政府としてはすべての国が参加する仕組み作りに向けて引き続き努力していきたい。
※ 京都議定書発効の条件は「55%以上」 |