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2003年 3号

Study Report
平成14年度「少子・高齢化社会における日本の選択
〜教育、福祉と経済の戦略」研究委員会報告書

このたび、標記研究委員会報告書が完成したので、その概要を紹介する。



○報告書の概要
 
 当研究所は平成13年度より西村和雄・京都大学経済研究所教授を委員長とする「少子・高齢化社会における日本の選択〜教育、福祉と経済の戦略」研究委員会を設置し、マクロ的な見地から、深刻な少子・高齢化社会が到来する以前の段階である現在の「過渡期」を、どのような具体的な施策によって安全に乗り切ることができるかについて、総合的に議論・検討してきた。

 初年度の平成13年度には、人口動向、女性の就業、ワークシェアリング、児童福祉政策、小児科医療、社会保障、高齢社会における経済政策をテーマに取り上げ、個別分野ごとに制度上の問題点や課題をケーススタディ的に明らかにし、少子・高齢化社会における持続可能な制度の方向やあり方を検討した。そして、平成14年度は、高等教育やワークシェアリング、さらに介護保険など個別分野ごとの検討をさらに深めるとともに、各分野に共通する問題点や課題を抽出しながら、少子・高齢化社会に向けた基本戦略を明らかにすることを目的として検討を進めてきた。

 本報告書は、約2年間にわたる本委員会における議論・検討の中から少子・高齢化社会に対応するための切り札として浮かび上がった「人材の育成と活用」をキーワードとして、委員長以下各委員や講師など、当委員会に係わった研究者が執筆したものである。

 また、2003年3月25日に開催した第13回GISPRIシンポジウム「少子・高齢化社会における日本の切り札−人材の育成とより高度な活用−」におけるユッカ・サルヤラ講師(フィンランド国家教育委員会前委員長)、デイヴィッド・シェーファー講師(英国ウィットギフト・スクール)、アネリ・ミエッティネン講師(フィンランド人口問題研究所)の講演を採録(日英)した他、同シンポジウムで発表した本研究委員会で検討中の「提言案:地域主体で脱年齢社会を実現せよ」を掲載した。

○研究委員会メンバー (五十音順、肩書きは委員会出席時のもの)

[委員長]
 
西村 和雄   京都大学経済研究所 教授
[委 員]
 
池本 美香   (株)日本総合研究所 調査部 主任研究員
牛丸  聡   早稲田大学政治経済学部経済学科 教授
倉元 直樹   東北大学アドミッションセンター 助教授
筒井 孝子   国立保健医療科学院 福祉サービス部福祉マネジメント室長
戸瀬 信之   慶應義塾大学経済学部 教授
永瀬 伸子   お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 助教授
八木  匡   同志社大学経済学部 教授
[講 師]
 
有馬 朗人   参議院議員   [第1回2002/7/12]
黒羽 亮一   常磐大学 国際学部長   [第3回2002/9/30]
小嶌 典明   大阪大学大学院法学研究科 教授   [第5回2002/12/20]
清家  篤   慶應義塾大学商学部 教授   [第6回2003/1/24]
筒井 勝美   英進館 理事長   [第8回2003/3/28]
林  謙治   国立保健医療科学院 次長   [第2回2002/8/26]
藤正  巖   政策研究大学院大学 教授   [第4回2002/11/15]
[オブザーバー]
 
石井 和人   多摩南部地域病院 医事課長
掛林  誠   ジェトロ・ロンドン・センター 所長
鍬  浩哉   (株)日本教育綜合研究所
小山 秀夫   国立保健医療科学院 経営科学部 部長
近藤 政行   (株)実務教育出版 編集部編集二課 課長
徳田慎一郎   勁草書房編集部
松井  潤   朝日新聞科学医療部 記者
元村有希子   毎日新聞科学環境部 記者
横山晋一郎   日本経済新聞社編集局社会部 編集委員
森川 正之   経済産業省 大臣官房政策企画室長
白石 重明   大臣官房政策企画室 課長補佐
小滝 一彦   企画主任
武井 良之   企画主任
児玉 直美   企画主任
関口 訓央   企画主任補佐
川上 悟史    
[事務局]
 
木村耕太郎   (財)地球産業文化研究所 専務理事
照井 義則   理事・企画研究部長
佐々木 亨   地球環境対策部 課長

○報告書構成

【本 編】
 
日本の再生は教育から (西村委員長)
1970年代から80年代半ばまでの教育政策 (黒羽講師)
【講演録】フィンランドの教育モデル (ユッカ・サルヤラ講師)
【講演録】英国の教育改革と最近の危機 (デイヴィッド・シェーファー講師)
日本における教育サービス評価
 −TransparencyとAccountabilityの確保のために− (筒井委員)
格差を拡げる教育政策 (八木委員、西村委員長 ほか)
教育政策に関する7つの疑問 (倉元委員)
日本の大学院 ―旧帝大系大学における調査― (戸瀬委員、西村委員長、倉元委員)
【講演録】仕事と家庭の両立支援策とその成果 −フィンランドと欧州の経験−
 (アネリ・ミエッティネン講師)
養育費と出生率 (金谷講師)
幼保一元化の提案〜教育改革の一環として保育制度を見直す (池本委員)
労働市場に望まれる規制改革 (小嶌講師)
新たな国民性の創造に向けて (石井オブザーバー)
【資料編】
 
資料1   平成14年度「少子・高齢化社会における日本の選択」研究委員会 開催実績
資料2   第13回GISPRIシンポジウム「少子・高齢化社会における日本の切り札
 −人材の育成とより高度な活用」プログラム/講演概要集
資料3   提言案:地域主体で脱年齢社会を実現せよ