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2003年 5号

Conference

チャイナカウンシル
「循環経済とクリーナー プロダクション タスクフォース」
第3回会議 出席報告


 本年8月27日(水)〜29日(金)、中国・貴陽市においてチャイナカウンシル「循環経済とクリーナープロダクション・タスクフォース(CE&CPTF)」第3回会議及び関連する諸会合・イベントが開催された。

 8月27日には、貴陽市人民政府との共催でワークショップ「貴陽循環経済国際検討会」が開催され、JFEホールディングス滑ツ境ソリューションセンター 小倉泰嗣企画部長や木村専務理事他が講演を行った。

1.チャイナカウンシル・CE&CPTF 第3回会議
右列最奥:慶應大・井出教授(CE&CPTF共同議長)
(1) チャイナカウンシル・CE&CPTFについて
CE&CPTFは、第2フェーズでの「クリーナープロダクションWG」を引き継ぐ形で発足したもので、クリーナープロダクションと循環型経済導入のための長期戦略の検討や導入ツール及び導入メカニズム/システムに関する研究を行う。そして検討結果と中国政府に対する提言案を2003年秋のチャイナカウンシル本会議に提出する。
正式メンバーは、慶應義塾大学・井出亜夫教授と清華大学・銭易教授を共同議長として、欧米・中国の専門家各5名。
第1回会議は2002年12月13〜16日に中国・瀋陽市で、第2回会議は2003年2月20〜24日に同・上海市及び南京市で開催された。

(2) CE&CPTF第3回会議への参加者
【CE&CPTFメンバー】
共同議長  
  ・井出 亜夫 慶應義塾大学 3E研究院 教授
  ・銭  易(Qian Yi) 清華大学 環境科学工学部 教授、中国工学院 院士
委員  
  ・席 徳立(Xi Deli) 清華大学 環境科学工学部 教授
  ・諸 大建(Zhu Dajian) 同済大学 教授、同・持続的発展センター 副所長
  ・王 漢臣(Wang Hanchen) 国家環境保護総局(SEPA) 局長顧問
  ・Changchun Lao(労 長春) カナダ=中国クリーナープロダクション協力プロジェクト
  ・Wei Zhao(趙 巍) 国連環境計画(UNEP) 技術産業経済部
  ・Judy Castledine ダウ・ケミカル・パシフィック 環境・健康・安全部長
【ゲスト/オブザーバー】
  ・王  毅(Wang Yi) チャイナカウンシル 事務局
  ・木村耕太郎 GISPRI専務理事
  ・Rolf Dietmar 中独政府技術協力プロジェクトプログラム・ダイレクター
  ・施 漢昌(Shi Hanchang) 清華大学 環境科学工学部 教授
  ・張 天柱(Zhang Tianzhu) 清華大学 環境科学工学部 教授  他

(3)主な内容と検討結果
  1)チャイナカウンシル事務局からの報告
  チャイナカウンシル事務局のWang氏より、以下の報告・説明を受けた。
チャイナカウンシル本委員会議長が、温家宝(Wen Jiabao現・首相)氏から曾培炎(Zeng Peiyan副首相、前・国家発展計画委員会主任)氏へ交替した。
本年10月末に開催される本委員会に対する各TFの最終報告の第一次ドラフトは、9月中旬までに事務局に提出され(当初予定は8月末)、9月26〜30日にチャイナカウンシルのテクニカルアドバイザーである"Lead Expert"がレビューする。その間、9月27日に、各TFの中国側共同議長と事務局との間で打合せを行う。
チャイナカウンシル全体の活動テーマは、2003〜2004年は「農村地域における持続可能な発展」、2004〜2005年は「各組織における持続可能な発展」、2005〜2006年は「小康社会における社会的・経済的発展」を予定している。
チャイナカウンシル事務局に「Core Fund」を設け、各TFへの資金援助を行うこととしているが、財政状況が厳しいことから、各TFには自力による資金調達をお願いしたい。
  2)チャイナカウンシル本会議に提出する報告書についての討議
 
本年10月末に開催されるチャイナカウンシル本委員会に対する最終レポートについて討議した。
レポートの内容については概ね了承が得られた。しかし、チャイナカウンシル事務局Wang氏より、「本委員会に提出するレポートは3ページにまとめられなければならない」との指摘があり、中国側委員が、改めて本委員会提出バージョンを作成することとした。
最終レポート当初案の構成は以下のとおり。
本論
1. 循環経済の概念
2. 中国の発展にとっての循環経済の重要性
3. 3段階の循環経済
4. 循環経済の土台となるクリーナープロダクション
ケーススタディ
1. 海外の事例(日本、ドイツ、米国)
2. 中国の事例(企業レベル、工業団地レベル、都市レベル、省レベル)
  3)チャイナカウンシル本会議に提出する提言についての討議
  以下の内容を盛り込んだ原案を了承した。
循環型経済に向けた国家戦略の転換
循環経済原則に則った経済システムの再構築
循環経済構築に向けた戦略目標の明確化
循環経済普及計画の策定
循環型経済普及のためのキャパシティビルディング
国民の啓発・教育・喚起
規制や法による循環経済の普及
制度構築
研究と技術開発
資源消費データシステムの構築
グリーン市場の育成とグリーン消費の普及
社会の消費行動の転換促進
エコデザインやエコラベルの導入
グリーン調達の採用
廃棄物の再生利用・交換・再処理の実施
市場メカニズム・政府援助・大衆参加を利用した戦略の採用

2.ワークショップ「貴陽循環経済国際検討会」
右から2人目:慶應大・井出教授(CE&CPTF共同議長)
井出教授の左へ順に、貴陽市政府・孫市長、清華大・銭教授(CE&CPTF共同議長)
TFと貴陽市政府との共催で、関連する貴陽市政府機関及び研究者等を招集して「貴陽循環経済国際検討会」が開催された。日本からは、JFEホールディングス滑ツ境ソリューションセンター 小倉泰嗣企画部長や木村GISPRI専務理事が講師として参加した。
報告会には約150人の聴衆が集まり、講師との間での質疑応答が活発に行われた。また、地元TV局や地元新聞社の取材も入り、翌日の地元紙の一面には大きくこのワークショップが取り上げられていた。
各講師及び演題は以下のとおり。
川崎エコタウンにおけるJFEの地域活動とリサイクル事業 [JFEホールディングス・小倉部長]
ドイツにおける循環型経済の導入 [中独政府技術協力プロジェクト・Dietmar氏]
循環経済とCP分野に関するカナダの経験 [CE&CPTF Lao委員]
循環経済導入を目指した貴陽市の取り組みと現状 [孫貴陽市長]
循環型社会構築を目指した日本政府の取り組み [GISPRI・木村専務理事]
CPを通じた社会と経済の健全な発展 [UNEP・Zhao氏]
循環経済導入を目指した上海市の取り組みと現状 [上海市環境保護局・徐副局長]
循環型経済研究を進化させる上での課題 [CE&CPTF諸委員]
循環経済導入を目指した遼寧省の取り組みと現状 [遼寧省環境保護局・文副局長]
循環経済導入を目指した江蘇省の取り組みと現状 [江蘇省環境保護庁・柴氏]
総括 [CE&CPTF 銭共同議長]

(文責:佐々木 亨)