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NPO/NGOの育成・支援 |
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まず企業や政府の活動を独立した立場で調査・評価し、政策提言できるNPO/NGOの成長が求められる。また企業がフィランソロピー活動や社会的事業を行う際に、NPO/NGOとの間で仲介し、アライアンスを手助けする中間支援組織の存在も求められる。
わが国においてNPO/NGOは萌芽期にあり、こういった機能をもち力のある団体はまだまだ少ない。制度的な支援策、ローカル/グローバル・レベルで支える仕組みをつくっていくことが重要である。 |
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大学でのCSR研究・教育の充実 |
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これまでわが国ではCSRへの関心が低かったため、研究対象として「企業と社会」の問題領域に関心をもつ研究者は少なかった。今後、学生への教育、基礎研究の充実と同時に、政策提言、マネジメント・システムや教育プログラムの開発を企業やNGOとも協力しながら進めていくことが求められよう。 |
(3) |
政府の役割の認識 |
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企業社会においてCSRを求めるムーブメントが弱かったから、これまでのところ省庁の動きも活発ではない。広範なCSR課題への取組みの支援には、省庁間の連絡が必須である。CSRは特定の省庁の課題ではなく、関係する省庁がヨコの連携をとり、産業政策の基礎に位置づけていく構えが必要であろう。CSR支援の制度的な整備をしていくにあたっては、経済界、NGOとの連携が重要となる。
一般に経済団体は、CSRへの取り組みについて自発性に基づくアプローチを強調する。しかしこれまで企業社会において十分配慮がなされてこなかった社会的マイノリティの処遇、人権、環境などの問題領域では深刻な課題も多く、欧米のNGOが求めるように、一定の規制的アプローチも必要である。こうした「自発的アプローチ対規制的アプローチ」の調整も今後検討していく必要がある。
政府はまた、CSRについて政策や税制などによって側面から支援していくことの可能性についても今後議論していくことが必要である。さらに中小企業の社会的責任について、啓蒙し支援していく方策を検討していくことも必要である。 |
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マルチ・ステイクホルダー・フォーラムの設置 |
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CSRは、政策的にはミクロのレベルとマクロのレベルの両方で考えていく必要がある。ミクロのレベルとは、個々の企業が社会的責任をどう取り込むか、というマネジメントの問題に関して、であり、マクロのレベルとは、産業政策としてどう位置づけ、どう支援体制を整えていくかという問題である。
マクロなCSR政策として、まず企業・経済団体と政府、NGOが共に考えていく体制づくりが必要である。日本におけるCSR政策、今後の産業政策を考えていくためにも、経済団体、政府(関係省庁)、環境・消費・社会問題にかかわるNGO、労働組合などの参加する「マルチ・ステイクホルダー・フォーラム」というような場を設定し、議論していくことが求められよう。 |