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WTO設立協定の前文に環境保護の目的が含まれていることから、WTOは従来に比べ環境という要素を重視し、自由貿易の確保だけを追求するわけではなくなっている。 |
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GATT3条は、もともと国内産品と輸入産品の平等な競争条件の期待を保護するものであり、措置の貿易への影響という観点では受け止められていない。従って、環境措置についても保護目的の如何よりも、いかに同種の内外産品が平等に扱われているかによって判断されてしまう傾向にある。 |
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TBT協定は、環境保護を目的としている、特に国際的な基準に準じた基準であれば容認する可能性が高いと判断出来る。しかし、製品の生産段階において消費してしまう投入物(例えば生産段階に排出される温室効果ガス量)に対して基準を設けることは、容認しない傾向にある。 |
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上記のような場合、GATT20条によって貿易に影響を及ぼす環境措置の正当化を図ることになる。GATT20条は、不当に差別的な措置でなく(柱書)、かつ生物の生命や健康の保護(20条(b))、又は有限天然資源の保存(20条(g))の目的であれば、貿易に影響のある措置でも例外としてWTO上容認する条項であり、数々の紛争の結果、最近では、容認されるケースも出てきた。しかし、GATT20条柱書の判断要素はまだ不透明な部分があり、それを利用して京都議定書をベースとした貿易に影響を及ぼす措置が必ずしも認可できるとは限らない。 |