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ニュースレター
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2004年 5号 |
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Conference | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
−統合報告書の作成について− 2004年11月9−11日 インド・ニューデリ
AR4の各作業部会報告書は、一部共通テーマもあるが基本的には担当分野が区分されており(担当分野は次の通り:第1作業部会:気候システム及び気候変動の関する科学的知見、第2作業部会:気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性と気候変動の影響及び適応策、第3作業部会:温室効果ガスの排出抑制及び気候変動の緩和策)、各報告書を読むだけでは温暖化問題の全容が見えてこない。それは政策決定者や専門的なバックグラウンドを持っていない読者にとって、時に書きぶりが技術的過ぎたり、量が膨大であるため読み切れなかったりと使いにくい面もある。しかし、その3つの作業部会報告書の内容をまとめ、多面的な視点から見た温暖化問題の研究結果を記すSYRは、まさに総合的観点から政策を決定する者にとって大きな影響をもたらす。 そのような状況の中で「どのようなSYRを作成するか」は各国の政策や国際的な取り組みの方向性までをも左右する極めて重要な問題であり、従って各国政府は少しでも自国の国益につながるような内容を盛り込もうと必死の努力をする。例えば、「GHG濃度の長期安定化」という言葉をトピックスに盛り込むことについて、中国・サウジは反対したがUK・オーストラリア・カナダ・ロシア等はUNFCCCの究極の目的(第2条)の観点からの分析は不可欠として対立した。最終的には、UNFCCCの目的(この場合、危険でないレベルでGHG濃度を安定させるという究極の目的だけではなく、悪影響を受ける国々への援助や共通だが差異ある責任等様々な目的及び条項も含む。)に矛盾しないという前提で、緩和・適応措置に関連する科学的・社会経済的な側面について「長期的な観点」から分析することとなった。つまり、実際は「長期安定化」という言葉を利用しなかっただけで、そのような分析が行われるのに変わりはない。執筆者へのガイダンスの中で使用される言葉にさえ固執し徹底的に反対を貫く中国やサウジの姿勢は、いかにそれらの国が将来課される削減責任に敏感になっているかを如実に表し、今後UNFCCCのCOP等で行われる将来枠組み交渉の難しさを暗示していると言える。 AR4におけるSYRは下記のように決定された。AR4の執筆作業が進めばまた様々な問題が持ち上がると思われるが、今後も国際的な取り組みの流れに大きく影響するSYRの内容には大いに注目していく必要があろう。 決定事項:
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