・ 背景 |
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森林減少による排出量は、世界の排出量の20〜25%。日本の排出量の約5倍、米国の排出量に匹敵する。 |
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途上国による森林減少の減速による排出削減は京都議定書では評価されない。
(CDMは新規植林・再植林に限定)
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世界の森林減少は途上国に集中。年間820万ha(北海道の面積に相当)に達する。特に、ブラジル、インドネシアの2カ国で全体の6割近くを占める。 |
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・ PNG・コスタリカ提案 |
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予測される排出量と実績の排出量との比較をして、差分をクレジット付与。 |
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支持国:ボリビア、中央アフリカ、チリ、コンゴ、ドミニカ共和国、ニカラグア等 |
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CDMに比べて補填義務がないこと、途上国の自主的取組支援につながること、持続性の観点でODAよりも有効である等の利点を主張。 |
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・ これまでの経緯 |
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COP11において、今後議論をしたうえでSBSTA27までに報告することを決定。 |
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日本は、科学的・方法論的事項について十分な検討が必要なこと、UNFF、FAO、ITTO、CIFORなど関連機関との協働が効果的との意見を表明。 |
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・ 各国の動向 |
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米国:新たな市場メカニズムの導入に消極的。GEF等の既存の枠組みの活用を主張。 |
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EU:実効性、公平性の観点から技術的・方法論的に十分な検討が必要。パイロットプロジェクトの実施を検討中。 |
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ブラジル:市場メカニズム(クレジット方式)に反対し、基金方式を提案(後述)。 |
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中央アフリカ共和国:PNG提案を支持しつつ、森林面積を基準とする基金方式を提案(後述)。この背景には、信頼性の高い森林関連のデータがないことがある。 |
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・ ブラジル提案 |
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森林減少防止による排出削減量に対して、クレジットではなく直接財政的なインセンティブを与えることを提案。あくまで任意の取組であり、将来の義務を発生させないことを強調。 |
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この背景としては、森林面積が世界第2位であり森林減少面積が世界一の森林大国あることから削減ポテンシャルが大きいこと、CDMで先行していることからクレジット方式では競合してしまうこと、先進国は善意から追加資金提供をすべきとの考えがある。 |
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・ 中央アフリカ提案 |
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森林面積を基準とする基金方式を提案。森林管理交付金と気候政策交付金の2方式による分配を提案。 |
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この背景には、信頼性の高い森林関連のデータが不足していること、モニタリングキャパシティが低いことがある。 |
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・ 検討すべき技術的論点 |
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吸収源全体の取扱いとの整合性、追加性、リーケージ、非永続性、モニタリング等、技術的・方法論的課題が多い。 |
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持続可能な森林経営促進との整合性や生物多様性の確保との整合性を図る必要。 |
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・ 我が国の基本姿勢 |
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持続可能な森林経営への世界的な取組と調和した実効性あるものとすることが重要である。 |
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将来枠組みに関する議論や吸収源の取扱いと整合的に検討する必要がある。 |
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UNFF、ITTOなど関連機関との国際取組とシナジーが重要である。 |
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・ 今後の検討スケジュール |
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来年3月に第2回ワークショップを開催する。それを受けて、SBSTA26でCOP13への報告の取りまとめに着手する。 |
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途上国は、資金面も関係するためSBIでの議論も提案しているが、現在はSBSTAのみでの検討である。 |
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2. 植林CDMの取扱い |
・ 土地適格性ガイダンス改訂 |
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第26回CDM理事会(EB26)で、土地的確性ガイダンスが改訂された。その内容は、新規植林の場合50年間森林でなかったことを少なくとも4回証明すること、再植林の場合1990年以降ホスト国定義の森林に1度も達したことがないことを証明する、等厳格な規定となった。後者については、マラケシュ合意を逸脱しているとの指摘もありCOP/MOP2で議論となった。 |
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EB22でのオリジナル版およびEB26の改訂版共に保留となり、公開での意見聴取を行なったうえで再度CDM理事会がガイダンスを策定することとなった。(意見聴取は来年1月31まで。EB28で決定予定) |
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・ 小規模植林CDMの上限値 |
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COP9で上限値が8kt-CO2/年となっている。コロンビア、ボリビアから上限値が小さすぎるとの主張がなされた。ブラジルは消極的姿勢を示している。 |
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来年2月23日までに各国が意見を提出して、SBSTA26で検討することとなった。 |
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3. その他検討中の議論 |
・ 伐採木材製品(HWP)の取り扱い |
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様々な議論が行なわれているが、輸出国と輸入国でスタンスが180度違い、難航している。 |
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・ 森林吸収量の評価 |
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森林本来の吸収量と、人為的手段による吸収量増加の部分との切り分けをどう考えるかが論点となっている。 |
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