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ニュースレター
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2008年
3号
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Report | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成19年度
若年層の人材開発と雇用創出を考える研究委員会報告書 平成19年度日本自転車振興会※補助事業 ※平成20年4月より「財団法人JKA」に名称を変更 この度、標題の研究委員会報告書が完成したので、その概要を紹介する。
先進国社会はじめ多くの国々で、若者は高い失業率や苛酷な労働条件のもとでの就労を強いられ、この問題の改善・解決はグローバル社会にとっての最重要課題のひとつとなっている。 欧州での若者の雇用問題は1970年代から始まり、ドイツ、イギリスをはじめ各国でその対応施策が練られ、実施されてきたが、未だ決定的な処方箋は得られてはいないし、フランスなどでは問題は一層深刻化しているようである。 日本ではバブル崩壊後、若年者の未曾有の高失業率や不安定雇用の著しい増加という、深刻な雇用状況に陥り、大きな社会問題として広く認識されることとなった。 政府は平成16年度から3年間にわたり「若者自立・挑戦プラン」に基づく幅広い若年者雇用・人材育成施策を実施した。ドイツの座学・実学併行教育制度「デュアル・システム」を参考にした「日本版デュアル・システム」やイギリスの地域主導の若者の移行促進策「コネクションズ」政策をヒントにした「ジョブカフェ」などのほか、「若者自立塾」のようなオリジナルな若者支援策が打ち出された。この間、景気の回復と相俟って、若年層の雇用環境は改善されつつあり、新卒者の就職は「就職氷河期」から一転、「売り手市場」へと変容した。 しかし例えば、彼らの就職先への定着意欲や実際の定着実績、また、ひとたび失業状態に入った若者の失業(滞留)期間の長期化傾向などに着目するなら、若者を巡る職業や雇用の問題が本格的に改善され、あるいは解決されたとは言いがたく、その課題の抜本的解決に向けた取り組みが引き続き求められていると考える。 (財)地球産業文化研究所は、こうした認識のもと、平成18年度より、「若年層の人材開発と雇用創出を考える」研究委員会を設置し、高梨昌・信州大学名誉教授に御指導を願い、学校段階、社会への移行過程、そして産業社会入職後の三つのステージについて現下の状況を検証し、政策課題とその対応策を導く研究をスタートさせた。 本テーマは、学校教育、労働、産業システムとその中における企業の人材戦略、或いは地域コミュニティと家庭など、極めて広範な分野に関わりを持つことから、産・学・官、そしてシビルソサエティの各セクターの専門家諸氏に委員会メンバーとしてご参加を仰ぎ、多角的な議論を頂いた。 さらに2007年11月には、研究委員会メンバーに加え、新たに有識の講師各位の御登壇を願い、GISPRIシンポジウム2007「若年者の雇用と教育訓練対策−若者のキャリア教育と良好な雇用機会の提供のために−」を開催、討論を通じて課題論点をより深く掘り下げて頂いた。 本報告書はこれらの集大成として取りまとめられたものである。 「若者自立・挑戦プラン」(平成16〜18年度)後の現在もなお、若者の雇用のための諸施策が展開されているところであるが、本報告書提言が今後の政策立案に反映され、また、産業界をはじめ広く日本社会がこの問題への関心を持ち続け、具体的な取り組みを促すことを第一に期待したい。 日本の若年者雇用問題への取り組みは欧米に比して日は浅い。また、そのアプローチは日本の制度や企業の成り立ちをはじめ、日本固有の社会経済システムと密接に繋がり、先行して本問題に取り組んできた欧米諸国の施策同様、ドメスティックな色合いが濃い。 にもかかわらず、グローバル社会が日本の取り組みとその行方に対して、多大の関心を寄せるのは、ローカルな日本的要素を超越した、より普遍的・根源的な解を探し続けていることの証といえよう。 本報告書が、グローバル社会に対して意義あるメッセージを与えるとともに、この重要課題解決に向けた新たな連帯の形成、英知の結集を促すきっかけになる、これが、第二の期待である。 それはまさに「グローバル課題の解決に資する提案活動」を主たる使命とする当研究所が本テーマを取り上げた由縁でもある。 末尾ながら、2年間にわたり、本研究委員会をお導き頂いた高梨委員長はじめ、終始、積極的に議論に参加頂いた委員ならびに行政部門関係各位に篤く御礼申し上げる次第である。 (平成19年度報告書 はじめに より)
研究委員会委員名簿 (敬称略,五十音順)
報告書目次
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