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シンポジウム・セミナー
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1995年2月号 |
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国際シンポジウム「貿易と環境」開催報告去る11月25日虎の門パストラル松の間において、通 産省及び経団連後援の下、フリードリッヒ・エーベルト財団との共催にて貿易と環境の国際シンポジウムを開催した。おりしも、1995年1月発足予定のWTOではこのテーマが最大の論点と成るだろうといわれており、当初の予定ではごく小人数のワークショップ形式だったものが、このシンポジウム開催の件が日経産業新聞などにも報じられたこともあって、各方面 から出席意向が相次ぎ、その関心の高さが伺いしれた。結局、当日は産・官・学の分野から約70名の聴衆が集まり、活発な討論が繰り広げられた。 プログラム9:30 開会挨拶 清水克夫 ((財)地球産業文化研究所専務理事)
概要基調講演…貿易政策と環境政策は両立するものとの前提にて、論点とアプローチの仕方に言及した。生産方法の製品への反映(PPM)、環境基準の格差と産業競争力、GATT条項と多国間環境条約上の貿易制限措置との整合性、GATTのグリーン化などの問題に関して、現在の国際的論調が紹介された。アーベル氏は、環境と貿易関係者の協力の重要性を指摘した後に、貿易上の制限措置に代わる解決手段の導入及び途上国の環境保護の向上の必要性を強調した。 第一セッション…貿易と環境の論点に幅広く触れた後、EUやアジアの発展途上国の取り組み方針が紹介された。注目されたのは、クイック氏の提唱した国際環境協定における最低基準の設定である。これは、各国の環境主権を是認した上で、例えば水であれば、最低限生物処理を施さねばならないといったような環境の最低基準を創設し、ISOなどの機関が各国の遵守状況を監視するといったものである。 第二セッション…GATT条項と多国間環境条約との整合性の問題、世界で最もグリーンな貿易協定といわれるNAFTAについて議論した。条約の整合性の問題については、例外規定をあらかじめGATT条項のなかに明記する方法などで対応は可能であるが、貿易と環境の問題の根本的解決のためには、それだけではなくて、NAFTAにおけるアメリカとメキシコ間のように、環境問題を抱える諸国の環境規制遵守と相手国市場への自由なアクセス保証などの相互協力体制構築によってアプローチしなければいけないとの考え方が示された。 まとめ…環境保護を隠れ蓑とした保護貿易は排除されなければならないが、そのためにはGATTには今以上に環境への配慮が要求されるし、環境NGOの声も反映できるようにしなければならないとした。
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