12月7日(月)から19日(土)にかけて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)、京都議定書第5回締約国会合(COP/MOP5)などがデンマーク・コペンハーゲンで開催されました。本会合の中心テーマは、2007年12月に取りまとめられた「バリ・ロードマップ」に基づき、京都議定書第1約束期間が終了する2013年以降の次期国際枠組みを決定することであり、2年間の国際交渉の集大成として、世界の注目を集めました。
(1)特別作業部会における交渉
第一週目は、条約の下での長期的協力行動に関する特別作業部会(AWG-LCA)、京都議定書附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)において、2年間にわたる両作業部会の検討状況を踏まえ、COP15、COP/MOP5の各プレナリーに提出する最終報告書案について、活発な意見交換が展開されました。
しかしながら、参加各国の主張が激しく対立するという従来の図式から進展はほとんど見られず、合意が得られませんでした。そこで、このような膠着状態を打破すべく、第一週の最終局面12月11日に両作業部会議長から、それぞれ議長テキストが提案されました。双方ともに、現行の京都議定書の延長を前提にしていることから、途上国サイドは高く評価し、受入れの意向を表明する一方、先進国は実質的な削減効果が不十分などを理由に強硬に反対したため、暗礁に乗り上げ、両テキストともに最終的に「未完成版」扱い、継続審議となりました。
(2)COP、COP/MOPにおける交渉
議論の場はCOP15、COP/MOP5に移行し、審議冒頭に議長国デンマークが両作業部会の議長テキストを踏まえ、新たなデンマーク案を提示する旨発言したところ、先進国は期待したものの、議長テキスト受入れを表明していた途上国が猛反発し、再度膠着状態に陥りました。結局、デンマーク案は提示されずに、両作業部会の議長テキストをもとに、分科会、テーマ別ドラフト会合などが開かれましたが、頻繁に中断するなど意見の集約には至りませんでした。
そのような状況下、日米英仏独などの先進国の他、中印ブラジルから島嶼国、アフリカ諸国など26か国・機関の首脳が協議を重ね、「コペンハーゲン合意」が取りまとめられました。その後、同合意をCOP15の場で審議したところ、先進国・途上国を問わず数多くの国の賛成を得られたものの、数か国(ベネズエラ、キューバ、ボリビア、スーダンなど)が、手続き・作成プロセスの不透明などから反対に回ったため、再び議論が紛糾しました。最終的に「COP15として、コペンハーゲン合意に留意(take-note)する」と結論付け、本会合を閉幕しました。
(参考)「コペンハーゲン合意」の主な内容
① | 世界全体の長期目標として、産業化以前からの気温上昇を2℃以内に抑える。 |
② | 附属書I国(先進国)は2020年の削減目標を、非附属書I国(途上国)は削減行動を、それぞれ記載する。 |
③ | 締約国の行動はMRV(測定・報告・検証)なものとされなければならない。非附属書I国(途上国)が自発的に行う削減行動も国内検証を経た上で、国際的な協議の対象となる。支援を受けて行う削減行動は国際的なMRVの対象となる。 |
④ | 先進国は、2010-2012年の間に300億ドルの新規かつ追加的な公的資金による支援を共同で行い、また共同して2020年までには年間1,000億ドルの資金動員目標を約束する。 |
⑤ | 2015年までに合意の実施状況を評価する。 |
(3)次回会合の予定
次回のCOP16、COP/MOP6など一連の会合は2010年11月29日から12月10日、メキシコにおいて開催される予定です。