「条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会第7回会合(AWG-LCA7)」および「京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会第9回会合(AWG-KP9)」は、2週間のバンコク会合(会期:2009年9月28日(月)~10月9日(金)、会場:United Nations Conference Centre of the United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific)と、続く1週間のバルセロナ会合(会期:2009年11月2日(月)~11月6日(金)、会場:Barcelona Convention Centre, FIRA GRAN VIA)との合計3週間にわたって開催され、主に2013年以降の気候変動に関する国際的な枠組みについての議論が行われた。
(1)条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会第7回会合(AWG-LCA7)
本会合は2007年12月にインドネシア・バリで開催されたCOP13において2013年以降の国際的枠組みを2009年までの合意を得て採択するために設置されたものであり、今回は第7回会合となる。
本年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15(気候変動枠組条約締約国会議)に向け、緩和、適応、資金、技術、キャパシティビルディングといった議題について、これまでの各国の提案を取り入れて作成された200ページにものぼる交渉用テキストに基づき、議論が行われた。バンコク会合においては、主に交渉用テキストの「ストリームライン作業(重複する部分や類似する部分を統廃合することによりボリュームを圧縮する作業)」が行われ、続くバルセロナ会合においては、圧縮された交渉用テキストに基づき、各国の主張が異なる論点を明確化する作業に取り組んだ。結果として、議題ごとに整理されたノンペーパーを1冊に統合する形で成果文書をとりまとめ、コペンハーゲン会合における交渉用テキストとして準備されることとなった。
会合においては、先進国が実効的な排出削減の実現のために主要排出国が参加する枠組の重要性を主張したのに対し、途上国からは「共通だが差異ある責任」の原則に基づき、そのような責務を負うことに反対する主張がなされており、議論の対立が続いている。
また、途上国は、緩和や適応や技術などのあらゆる議題において、「先進国による速やかな義務的支援」として、大規模かつ追加的な資金拠出や新しい制度組織の構築を求めており、日本の鳩山イニシアチブの提案をはじめ、先進国からは支援に向けた具体的な支援提案があるものの、このような途上国の膨大な要求とは隔たりがある。
(2)京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会第9回会合(AWG-KP9)
附属書Ⅰ国の第一約束期間以降の約束を検討するプロセスである本会合は、主に附属書Ⅰ国の次期約束期間における削減目標数値と、柔軟性メカニズムや森林吸収源等についての議論が行われている。
日本は9月の国連総会演説における自国の排出削減目標(世界のすべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組の構築を前提条件として、2020年までに1990年比で25%削減)について説明し、途上国からも一定の評価を得ることができた。ただし、先進国に対して「1990年比で2020年までに40%(一部は45%を主張)の排出削減」を、科学が要求する水準として求める途上国は、これまでに先進各国が掲げた削減目標値のさらなる引き上げを要求しており、これに対し、先進国は、附属書Ⅰ国の排出量が全世界の3割程度しかカバーしておらず、実効性のある温室効果ガス排出削減のためには、米国や非附属書Ⅰ国の中でも主要排出国の参加が不可欠であると主張し、議論が続けられている。
また、先進国側が、削減目標のとりまとめにあたっては、柔軟性メカニズムや森林吸収等のルール整備が先決であると主張しているのに対し、途上国は、まずは先進国の国内削減努力による削減量を積み上げ、その後で柔軟性メカニズムや森林吸収等のルールをつくるべきであり、海外クレジットの利用には制限を設ける旨を主張するなど、議論の対立が続いている。
(3)次回会合の予定
次回会合はCOP 15及びCOP/MOP5と並行して、2009年12月7日(月)から12月18日(金)の期間内にデンマーク・コペンハーゲンで開催される予定である。