このたび平成10年度調査研究事業の一環として、「環境保全と成長の両立を考える」研究委員会を設置した。この委員会は、GISPRIとRFF( Resources For the Future )で98,99年度の2年間の予定で実施する、気候変動問題に関する日米共同研究の日本委員会である。概要は以下のとおり。
気候変動問題が、環境問題であると同時に、経済問題・雇用問題であるとの認識の下に日本と米国の学者が共同で研究を行うことにより「環境保全と成長の両立」を目指した対応を検討し、政策提言を行う。
定期的に、シンポジウム等を開催し、また研究成果 を対外的に発表することにより、気候変動問題への対応のあり方についての一般 の理解の醸成を図る。
市場メカニズムを通 じた新しい措置(クリーン・デベロップメント・メカニズム(CDM)、共同実施、排出権取引等)のメリット、デメリットは何か。温室効果 ガス(GHG)削減コストの最小化という観点からどのような評価が可能か。
発展途上国のGHG削減努力の最適シナリオは何か。100年先を見据えて、先進国と途上国の役割のバランスはどのようにすれば適切か。
伝統的措置(規制、補助金、税等)、それぞれのメリット、デメリットは何か。GHG削減コストの最小化という観点からの最適組み合わせはどのようなものか。セクター別 (産業、運輸、民生)には、どのようなものが効果があるか。
GHG削減コスト最小化のための技術開発可能性と限界は何か。
今後100年間で目指すべきGHGの削減目標は何か。経済成長への悪影響を最小化するための短・中・長期の最適削減シナリオはどのようなものか。?環境と成長の社会的受容性をどのように高めるか。のテーマを検討することを予定。
当面は、CDM、排出権取引等新しい政策措置および途上国の排出削減努力について共同研究を開始するが、今後2年間の共同研究期間において上記のテーマからそれ以外のものも含めて研究するものとする。
5月 | 第1回日本側委員会:京都議定書と今後の課題、CDM、地球再生計画、途上国の取り組み |
6月 | 第2回日本側委員会:対策コストの分析 |
7月 | 第3回 〃 :新しい政策措置、温暖化対策の途上国へのメリット |
9月 | 第4回 〃 :共同会議に向けたまとめ |
10月 | 第1回日米共同会議(於アメリカ)「COP4に向けた重要論点」(新しい措置論、途上国論) |
11~2月 | 第5~7回日本側委員会 |
3月 | 第2回日米共同会議(公開シンポジウム、於日本)日米共同メッセージの発出(地球温暖化防止と経済成長両立のためのポリシー・ミックス) |
委員長 | 奧野 正寛 | 東京大学経済学部教授 |
委員 | 浅子 和美 | 一橋大学経済研究所教授 |
金本 良嗣 | 東京大学大学院経済学 研究科教授 | |
清野 一治 | 早稲田大学政治経済学部教授 | |
黒田 昌裕 | 慶應義塾大学商学部教授 | |
小宮山 宏 | 東京大学大学院工学系 研究科教授 | |
佐藤 英夫 | 国際連合大学学長上級顧問 | |
新保 一成 | 慶應義塾大学商学部助教授 | |
鈴村 興太郎 | 一橋大学経済研究所教授 | |
蓼沼 宏一 | 一橋大学経済学部助教授 | |
十市 勉 | 理事・総合研究部長 | |
馬場 靖憲 | 東京大学人工物工学研究 センター教授 | |
山口 光恒 | 慶應義塾大学経済学部教授 | |
山地 憲治 | 東京大学工学系研究科教授 | |
吉岡 完治 | 應義塾大学産業研究所教授 | |
アドバイザー | 青木 昌彦 | スタンフォード大学経済学部 教授 |
今井 賢一 | スタンフォード日本センター 理事長 |