第2回チャイナカウンシル(注1)本会議が、11月16日(月)~18日(水)の3日間、北京International Club Hotelに於いて開催された。
本年3月に実施された中国国務院の機構改革により、本カウンシル議長団も以下の通 り変更となった。
●議 長 | 新任 | 温家宝(国務院副総理、前中国共産党中央政治局候補委員) | ||
●副議長 | 留任 | ラベル・H. Labelle(カナダ国際開発庁長官) | ||
留任 | 曲各平(全人代環境資源保護委員会主任) | |||
新任 | 劉江(国家発展計画委員会副主任、前農業部部長) | |||
新任 | 解振華(国家環境保護総局局長 |
今回の変更の大きな特徴としては、中央政府の要職を新議長に迎え、経済官僚を新たに副議長に加えて、中国の持続可能な経済発展と環境保護の両立について政策提言するチャイナカウンシルを、中国政府としてもこれまで以上に、より協力・支援するという姿勢を鮮明にしたと考えられる。
本カウンシルを構成する中国側メンバーは、前年比で16名が退任し、12名が新任となり合計で21名となった。中国政府外交部、経済貿易委員会、教育部等他、16の政府部局からそれぞれ1名ずつの代表者が加わった。
また、外国側のメンバーは、1名が退任し、7名が新任となり、合計で27名となった。新たなメンバーの中には、世界銀行Ian Johnson副総裁、アジア開発銀行Kazi F.Jalal環境・社会開発局長も含まれている。
なお、今回の本会議へは、日本側のカウンシルメンバーである、当研究所福川顧問((株)電通
総研社長)の代理として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)井上北京事務所長と石油公団石坂匡身副総裁の両名が出席した。
温家宝新議長より、本会議の冒頭に以下の通 り開会の挨拶があった。
中国政府は、経済発展と人口、資源、環境問題との関係を適切に対処し、基本的な国の政策の一つとして環境保護を実施し、持続可能な発展戦略を推進することに大きな注意を払っている。中国は、省資源とエネルギー効率の改善に重きを置いた、資源の有効活用と節約について重要視している。中国はまた、土地、水、森林、鉱物、海洋資源の管理と保護を規制する法律の厳格な実施を伴う、総合的な国土資源利用計画を導入した。
また、環境汚染への対処と管理、土壌浸食の保護、砂漠化防止等の自然環境の改善へのアクションを取っている。より広範囲な環境汚染や自然環境の破壊の進行を食い止めるために、西暦2000年までに精力的な努力が払われる計画である。本年発生した大洪水の被害をきっかけとして、今後自然災害に打ち勝つために、重点河川の上・中流域での森林伐採禁止、新たな植林、貯水等の対策を取った。
チャイナカウンシルは、これまで中国の環境と開発に関するマクロ政策について効果
的に活動を行ってきた。中国政府は、チャイナカウンシルの活動を環境と開発についての国際協力のモデルとして高く評価し、その提言の多くを政策へ反映している。チャイナカウンシルは、中国の近代化のプロセスにおいて直面
する経済、社会、環境問題について、すでにそれを経験している外国の専門家から意見を聞く機会を提供し、今後とも、優れた技術と管理手法の導入と普及のための橋渡し役としての役割を期待する。
チャイナカウンシルの下部組織である8つの作業部会(ワーキンググループ)とタスクフォース(注2)からの活動報告および提言を下に、中国政府へ提出する提言書(レコメンデーション)を討議し、下記内容を採択した。
「持続可能な発展を目指した経済計画の策定、あらゆる意志決定レベルでの環境保護の徹底、生物多様性の資源保護と農業開発、重要な河川流域の表土層保護、クリーナープロダクションの推進、持続可能な発展を目指した新エネを含むエネルギー開発と環境に配慮した公共交通
の研究、郷鎮企業を含むすべての汚染排出企業からの排汚費(Pollution fees)の徴収、温室効果
ガス削減をはじめとした国際的な交渉への中国政府の積極的な参加、環境法規制の厳格かつ、継続的な適用と周知徹底のための教育・訓練の必要性など。」
当研究所が外国側事務局を努める、クリーナープロダクションWGについては、中国側共同議長の銭易(Prof.Qian Yi)清華大学教授と当研究所より、これまでの活動と今後の計画についての説明を行った。
クリーナープロダクション(CP)の導入に向けた「デモンストレーション」プロジェクトを、中国山西省太原市および山東省(いずれも候補地)に於いて、国連環境計画産業・環境局(UNEP/IE)、中国国家環境保護総局(SEPA)、中国CPセンター、地元政府及び環境保護局等の協力を得て実施する予定である。今後、これまでのCP活動の振り返りとその分析、CP導入を妨げる障害克服とCP普及支援等を含むアクションプランを立案し、実施する予定である。
チャイナカウンシル本会議最終日に、北京の人民大会堂へチャイナカウンシルメンバーおよびワーキンググループ共同議長が朱鎔基総理を表敬訪問し、チャイナカウンシルのラベル副議長から朱鎔基総理へ提言書を手渡し、説明を行った。朱鎔基総理よりは、チャイナカウンシルの活動成果
を高く評価し、同活動への引き続いての協力要請があった。
次回の第3回チャイナカウンシルは、平成11年10月19日(火)~21日(木)に、北京に於いて開催される予定である。
(注1) 中国政府は、環境と経済成長の調和が必要であるとの認識に立ち、環境と開発に関する中国と国際社会の協力促進を目的として、1992年に「環境と開発に関する中国国際協力委員会(CCICED:The China Council for International Cooperation on Environment and Development:以下チャイナカウンシル)」を設立。96年に第1フェーズが終了し、97年より第2フェーズへ移行。
(注2) 生物多様性の保全WG、クリーナープロダクションWG、エネルギー戦略・技術WG、環境経済学WG、公害防止WG、持続可能な農業WG、貿易と環境WG、運輸・交通 WG、環境保全・経済計画タスクフォース