1997年、アジアはこれまでの経済成長の伸び率に陰りが見られ、政治面 でも香港返還、インドネシア、韓国の大統領選挙など、正に変革のときに当たっています。一方、日本は構造改革、規制緩和の進展の図られぬ 中、景気の先行きに停滞感が漂っています。個人消費や住宅建設に消費税引き上げの影響が残り、特別 減税廃止など国民負担増も景気回復の足を引っ張っています。ただ、円安による輸出増が生産や設備投資を下支えしており、企業収益も好調に推移しています。英経済誌、フィナンシャルタイムスは日本経済を"一つのエンジンしか動いていない双発機#と例えました。消費と輸出の二つのエンジンをもちながら機体を浮上させているのは輸出だけということです。しかしながら、このエンジンもアジア経済の変調や日米経済摩擦の再燃の兆しもあって、さらに回転数をあげるのは難しい状況にあります。高度情報化社会の到来は時間,空間を超えて、一国の経済が瞬時に他諸国の経済、社会に影響をあたえることとなりました。このグローバル経済のなかにあって日本の実力は本物か、日米欧、そしてアジアからの有識者が集って、世界と日本のグルーバル化のあるべき方向を探ります。
本シンポジウムは昨年12回にわたって開催された、「企業のグローバル化と国家・社会のあり方を考える」研究委員会の成果 を基に開催されるものです。
第一セッションでは企業、社会、国家において様々な見方のある"グローバリゼーション"にひとつの定義を与えようという野心的な試みに挑戦いたします。また第二セッションでは第一セッションでの成果 を基に、特にアジアにおいて、グローバリゼーションはどう進展し、どう対応すべきか、実質的な議論を参加の皆様と共に進めていきたいと考えております。
有意義なシンポジウムとなりますよう、多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げております。
――プログラム――日時:1997年11月21日(金) 9:30 - 17:00(17:30よりレセプション) ――パネリスト―― アルベール ブレッソン プロメテ専務理事 |