9月11日~13日にメキシコシティにおいて開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第12回総会の概要を報告するとともに、本総会で新議長に選出されたワトソン氏の作業部会(WG)の再編成等についての考え方を聞く機会があったので、あわせて紹介する。
本総会にはIPCC議長団、109カ国政府、3国連組織、5国際組織、10NGO等から代表計233名が出席。
本ガイドラインは、国別 報告書の基礎となるものであり、一部は保留することで、承認された。
TPは、国連気候変動枠組条約の締約国会議に設置されたSBSTA(科学的及び技術的な助言のための補助機関)とAGBM(2000年以降の対策を検討する特別 グループ)からの要請及び独自の判断で、既に承認済みのSAR(第二次評価報告書)に基づき作成するもので、その承認を総会ではなくビューロー会合で行うこととなっている。
しかしロシア、サウジアラビア及び一部石油石炭業等のNGOから、SARに基づくということはSAR以外の文面 を用いてはならない、レビュープロセスが総会を経ず政府のチェックが十分にできない等の意見が出され、最終的にTPのうちいくつかは、総会での承認が必要な特別 報告とすることとなった。
1997-1999年の活動は、2001年に完成予定のTAR(第三次評価報告書)に貢献すると同時にSBSTA及びAGBMからの要請に応えることを当面 の最優先課題と位置づけ、1996年後半から1997年にかけてTP及び特別報告の作成、重要な問題についてのワークショップ開催とする。
ボーリン議長から、9月9日開催の候補選考委員会においてワトソン氏(米国、IPCC/WG2共同議長)が唯一の候補として選考された旨の報告があり、これを踏まえて、各地域グループ会合において意見交換が行われ、最終日の全体会合で本提案が満場一致で採択された。
またボーリン議長は第13回総会まで議長として留まり、ワトソン氏と協力して特に第三次評価報告書作成のための体制づくりを進める。
新議長に選出されたワトソン氏は、現在世界銀行環境部の上席科学顧問であるが、これまでにNASA(米国航空宇宙局)の地球惑星ミッション局科学課長、プロセス計画室長を歴任、前職は米国大統領府科学技術政策環境担当補佐官。1993年から国連環境計画生物多様性評価やIPCC WG2の共同議長を務めている。
新WG1は、基本的に現在のWG1を引き継ぐ。
新WG2及び新WG3は現在のWG2とWG3をクロスさせ、新WG2は経済・社会への影響を含めた「IMPACT」を、新WG3は経済的手段を含めた「MITIGATION」を検討。
新WG2及び3では、自然科学者と経済学者等が協同して一体的に検討。
先進国と途上国等のバランスを十分に考慮。
日本に対しては、ドイツとともに新WG3における技術分野での貢献を期待している。
(湯川 求)