IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、第1~第3の各作業部会で1993年夏から「第二次評価報告書」の作成に取り組んでいるが、各作業部会の先陣を切って「気候変動の経済的影響と対応」を担当する第3作業部会の総会が開催され、報告書案の審議が行われた。
開催日時 平成7年7月25日(火)~28日(金)
開催場所 ジュネーヴ国際会議場(スイス連邦・ジュネーヴ)
出席者
ボーリンIPCC議長、ブルース、リー両共同議長はじめIPCC第3作業部会ビューロー、代表執筆者、105ヵ国、6国連機関、3国際機関、8NGOなどから計180人が出席
当研究所から地球環境対策部津坂が日本政府代表団の一員といて参加
概要
冒頭のボーリンIPCC議長の挨拶で「本会合は、科学的知見に基づいた議論を行う場で、政治的な議論とは切り離されるべきであること」、「報告書は、現時点の過渡的な知見であり不確実性は含むものの、政策の立案に有用な情報を提供しうること」、「途上国の諸事情や視点を見落とさないようにすること」などが強調されたが、報告書の内容を少しでも自国の政策に近付けようとする政治的発言が相次いだ。
その中でも議論が集中したのは次の3点であった。
共同実施、排出権売買などの経済手段の評価の表現
温室効果緩和策としての原子力の取り扱い
温室効果の社会コスト評価にあたって、人命損失を換金評価すること(気温上昇による死亡率上昇を想定生涯コスト換金評価してある)の妥当性
結局、全11項目のうち、4項目半しか採用にいたらず、残りの項目の審議は、急遽10月の第2作業部会総会の前週にモントリオールで開催されることになった追加総会に持ち越されることとなった。