古紙の回収について、日本は欧米の先進国と較べても高い水準にある。しかし、その比率は表1のように近年頭打ち傾向にある。また、古紙の再利用を紙と板紙(段ボール)に分けて見ると表2のようになり、板紙に較べて紙の再利用はかなり低い。これにはいくつかの理由が挙げられる。
第一は、製品の構造の問題である。紙が単層なのに対して板紙は多層のため、中間層に古紙を使い易い。第二は、紙の質の問題である。板紙に較べて紙の方は、社会のOA化・カラー化の進展によりニーズが高度化し、より薄いもの、より白いものが求められるようになってきた。古紙利用にとっての条件は、より厳しくなってきている。第三は、古紙価格の単価に見られるように、新聞がkg当たり14円、段ボールがkg当たり13円程度なのに対して、雑誌は7円程度とかなり低い。この差は再生するためのコスト差(主に漂白、異物除去等)が影響しているものと思われる。
いずれにしても、廃棄物の減量 、将来の資源確保などを考慮して古紙の利用率を上げていくとすると、雑誌古紙を主とする印刷系古紙の回収をいかに上げていくかということになる。ちなみに、回収率を品種別 に見ると、新聞古紙(一部チラシの混入あり)が、105%、段ボール系が72%と極めて高いのに対して、印刷系古紙とその他古紙(主として板紙系古紙)の回収率はそれぞれ30%、19%と低い割合に留まっている。
この状況を改善するには、回収率が低い分野での効率的な回収ルートの確立、もう一方ではユーザー側が白く漂白された紙を求めない事などが必要である。そうすれば、古紙を再利用できる余地が広がり、回収価格も上昇するものと考えられる。このためには、個人のモラルに訴えても多分ダメで、回収環境の整備という意味で国の施策が必要である。
ごみ削減の観点から消費者、行政、生産者の新しいゴミ回収の枠組みが実施に向けて進んでいるが、紙の分野では政府や企業のグリーン調達、上質紙に対する賦課金(リサイクル側への補助)なども考える必要がある。一方我々も日々の生活のなかで、用途に応じた紙の質というものを再度考えてみることも必要である。