平成9年度事業計画および新役員の紹介
さる3月3日に開催された当財団理事会において、平成9年度の事業計画及び新役員が決定されましたので紹介する。
[事業計画の概要]
地球的視点から、産業・経済と資源、環境、生活、文化との好ましい関係のあり方、地球人類の持続的繁栄を図るための地球経済社会のあり方等の地球産業文化に関する諸問題について、次のとおり調査研究等を行う。
1.調査研究
(1) 研究委員会:
テーマごとに次の研究委員会を組織し、調査研究を実施する。
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2050年のサスティナビリティ研究委員会(継続)
人類の生存を確保しながら社会の発展を目指す「持続可能な発展」を実現するための物理的方策を定量
的に評価し、産業・経済・社会構造のあるべき姿を明らかにすると共に、「持続可能な発展」を実現するための国の役割等について具体的な行動指針・政策を提言する。本研究を進めるにあたっては、本委員会に物理的な制約条件を研究する小委員会及び行動指針を研究する小委員会を設置して研究を行う。
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アジア地域における環境技術移転研究委員会(継続)
急激な経済成長を遂げつつある東アジア地域において、これに伴って増大する環境負荷の問題が大きな懸念事項である。解決策の一つとして環境技術の移転が重要であり、日本の貢献が期待されている分野でもある。環境技術の移転に関する基本的考え方を踏まえ、環境技術協力のあり方について検討する。
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総合安全保障研究委員会(継続)
冷戦の終焉後、東西の対立は解消し、平和の配当が期待されたが、現実にはそれまでイデオロギー対立によって抑圧されていた種々の問題が噴出してきている。例えば、民族、宗教対立による紛争、地球的規模の危機(人口、資源・エネルギー、食糧、貧困、開発、環境問題等)などである。
この種の脅威に対しては、軍事的手段のみでは解決は困難であり、人類の英知を結集した新たな危機管理の手法即ち総合安全保障が必須となり、新たな視点で安全保障問題を研究する。
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市場経済のグローバル化のための新要素を考える研究委員会(継続)
冷戦終了後、かつての社会主義国など市場経済に参加する国の数も増加してきた。それに伴い、政治・文化・社会の価値観の変化が経済に影響を与え、世界的な大変革の時代を迎えている。
こような状況下、日本の経済システムには制度疲労が現れ、制度改革を迫られている。持続的な経済発展を維持し、世界と調和のとれた新しいシステムを構築するために、市場経済を多角的に検討する。
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アジアの経済発展と価値観の多様化・アジア的な思考を考える研究委員会(新規)
欧米の成熟社会とアジアのような成長過程にある社会との間の社会システムやものの考え方の相違が課題となっている。国内的には成熟社会を迎えつつあるとともになお成長しているアジアの中に位
置している日本にとって、物の考え方(価値観)の面においても、欧米とアジアの調整者的な役割を果
たすことが求められている。
このような役割を果たすために、APEC/ASEM等の場で、日本なりの考え方を打ち出すうえでの価値観・アジア的思考を調査研究する。
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グローバル化経済と東アジアのネットワークを考える研究委員会(新規)
戦後50年、日本は奇跡的な発展を果たし、世界第二位の経済大国となった。一方、東アジアを中心として日本の先例に学び、経済発展を図ろうとしている国々は多いもののその試みは成功しているとは言いがたい。
過去、成功をおさめた日本方式のなかで普遍的な価値を持つのは何か。日本の文化、社会制度、経済政策等のなかで真にそれらの国々の経済発展に寄与、応用できるものは何かを調査研究する。
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ロシア・東欧の市場、経済開発及び投資環境研究委員会(新規)
ソ連崩壊後、ECの統合と並んで、ロシア・東欧の市場、経済の発展も大いに期待されている。中国、インドに続く大きな市場として、ロシアの潜在的技術力や日米欧からの投資を活用し、産業の復興、新産業の創造を図りながら、市場開拓することが、バランスのとれた世界経済の発展に寄与する。
アジア太平洋地域の経済が世界経済の中で重要な意義を持つ一方、特に日本とロシアの経済協力のあり方を再検討する時期にきている。
(注) 新規3テーマについては、調査研究の実施の過程で、テーマ・内容を変更することがある。
(2)委託調査研究:
民間の調査研究機関に委託し、次の調査研究を実施する。
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欧州・アジア関係共同研究
(3)受託調査研究:
国等から委託を受け、次のテーマについて調査研究を行う。
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地球温暖化対応方策検討調査
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発展途上国エネルギー消費効率化基礎調査/IPCC等国際会議事業
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中国における共同実施活動関連調査
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自然と共生する経済・社会発展に関する日米共通
のビジョンの策定事業(日米NCDフォーラム)
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エネルギーと環境に関する調査
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欧州・アジア関係調査
(4)助成を受けて行う調査研究:
イオン財団から助成金の交付を受け、次の調査研究を行う。
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環境技術移転
2.政策の提言
1.の調査研究を踏まえて、地球産業文化委員会の審議を経て、地球産業文化に関する総合的な政策の提言を行う。
3.共同研究
内外の研究機関(米国世界資源研究所(WRI),未来資源研究所(RFF),ヨー ロッパ日本研究所(EIJS)、ストックホルム環境研究所(SEI)等)と協力関係を保つほか、次の会議等に参加し、共同して調査研究等を行う。
- 環境と開発に関する中国国際協力諮問委員会
- 日米中トライラテラルフォ−ラム
4.シンポジウム等の実施
次のとおり、ワークショップ、シンポジウムを開催する。
(1)ワークショップ
(2)シンポジウム
- 「企業のグローバル化と国家・社会のあり方を考える」シンポジウム
- 「アジアの情報通信基盤整備のあり方」シンポジウム
(3)電子フォーラム
電子フオーラムについては、インターネットを通じて当財団の研究活動を内外に公開し、広く一般
と意見の交換を行う。
5.情報の収集及び提供
地球産業文化に関する情報の収集、分析を行うほか、次により情報提供を行う。
- 調査研究に関する報告書等の提供
- 機関誌「地球研ニュースレター」(和文)及び「GISPRI](英文)の発行
- 地球環境問題(企業)懇談会開催による情報の提供
―[新役員名簿]―
理事長 平岩 外四 (東京電力株式会社相談役)
専務理事 清木 克男
理事 相川賢太郎 (三菱重工業株式会社会長)
〃 安部 浩平 (中部電力株式会社会長)
〃 石川 武 (三井海上火災保険株式会社会長)
〃 伊藤喜一郎 (株式会社東海銀行相談役)
〃 伊藤 謙介 (京セラ株式会社社長)
〃 今村 治輔 (清水建設株式会社社長)
〃 牛尾 治朗 (ウシオ電機株式会社会長)
〃 江本 寛治 (川崎製鉄株式会社社長)
〃 大賀 典雄 (ソニー株式会社会長)
〃 大國 昌彦 (王子製紙株式会社社長)
〃 大西 正文 (大阪ガス株式会社会長)
〃 岡田 卓也 (ジャスコ株式会社会長)
〃 金子 尚志 (日本電気株式会社社長)
〃 熊本 昌弘 (株式会社神戸製鋼所社長)
〃 河野 光雄 (内外情報研究会会長)
〃 木暮 剛平 (株式会社電通会長)
〃 小林庄一郎 (関西電力株式会社会長)
〃 酒巻 英雄 (野村證券株式会社社長)
〃 佐藤 彰夫 (三井東圧化学株式会社社長)
〃 柴田 稔 (東洋紡績株式会社社長)
〃 末松 謙一 (株式会社さくら銀行会長)
〃 杉山 弘 (電源開発株式会社社長)
〃 関澤 義 (富士通株式会社社長)
〃 高垣 佑 (株式会社東京三菱銀行頭取)
〃 田代 圓 (東ソー株式会社社長)
〃 堤 清二 (株式会社セゾンコーポレーション会長)
〃 豊田章一郎 (トヨタ自動車株式会社会長)
〃 中原 伸之 (東燃株式会社名誉会長)
〃 中村 金夫 (株式会社日本興業銀行相談役)
〃 中村 爲昭 (住友金属工業株式会社副会長)
〃 西室 泰三 (株式会社東芝社長)
〃 端田 泰三 (株式会社富士銀行相談役)
〃 古川 昌彦 (三菱化学株式会社会長)
〃 前田勝之助 (東レ株式会社社長)
〃 増澤 高雄 (株式会社日本長期信用銀行会長)
〃 三鬼 彰 (新日本製鐵株式会社相談役)
〃 三田 勝茂 (株式会社日立製作所会長)
〃 三好 俊吉 (日本鋼管株式会社社長)
〃 森下 洋一 (松下電器産業株式会社社長)
〃 諸橋 晋六 (三菱商事株式会社会長)
〃 山口 務 (財団法人地球環境産業技術研究機構専務理事)
〃 山田 伸雄 (日揮株式会社相談役)
〃 米倉 功 (伊藤忠商事株式会社相談役)
〃 渡邉 宏 (東京ガス株式会社会長)
〃 川松 清 (財団事務局長)
〃 佐々木修一 (財団業務担当)
監事 田中誠一郎 (基盤技術研究促進センター理事長)
〃 大久保宣夫 (日産自動車株式会社取締役)
顧問 福川 伸次 (株式会社電通総研社長)
〃 向坊 隆 (社団法人日本原子力産業会議会長)
〃 近藤 次郎 (財団法人地球環境産業技術研究機構研究所長)
参与 堀田 俊彦 (東ソー株式会社常務取締役)