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ニュースレター
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1997年6月号 |
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米日財団ブロック理事長を囲む会合の実施報告
さる4月18日、当研究所会議室において米日財団ブロック理事長を囲んで非公式の会合を行い、日米関係の重要課題について日本の有識者をまじえた意見交換を行った。この中で、以下のような課題、論点が指摘された。 第一に、アジア太平洋地域にかかわるものとしては、中国が、日本の大きな関心事となっている。ただし、米国と日本が対中政策でどのように歩調を合わせられるかについては明らかな答えは見えていない。日米の歴史的・地理的な立場の違いからすると、日米共同の対中政策を構築することは難題だという点は異論はない。少なくとも、長期的な視野で考えるべきことである。では、実際にどんなことができるかといえば、たとえば、中国で政策研究に携わる若手の専門家が国際的な政策研究の場に参加するような支援をしたらどうかといった話があった。 近年、日中間には中国の核実験、尖閣列島、日米安保などの政治問題があり、香港返還を含めた情勢は、潜在的な危機を孕んでいるという見方もある。このほか、中国の急速な経済成長が天然資源の不足に結びつくとの指摘もあった。 第二に、冷戦集結後の国際社会においては、国際関係をどういった考え方で結ぶかということがわかりにくくなってきた。それは日米関係、日米同盟も例外ではない。 近年、西洋とアジアの価値観の衝突ということが議論されている。ところが、価値観という概念はあまりにも漠然としているので、この議論を噛み砕いて、もっと具体的な論点が得られれば、より生産的な議論ができるだろう。 たとえば、安全保障という概念にしても、たんに軍事的な要素だけでなく、社会経済的な面 、社会秩序の維持などを視野に入れるべきだという指摘がなされている。このように整理してゆけば、哲学的に価値観を論ずるより、もっと生産的に検討できるだろう。 ネーションステイトとは何か、国の中で国家機構がはたす役割は何か、といった論点もあった。アジア諸国の国家体制は国家機構すなわち国という面 が濃厚だが、このことも一つの問題を提供している。ステイトビルデイングのモデル間の比較も課題の一つだ。 たとえば資本主義についてもさまざまな導入の仕方があり、「普遍的な価値」の存在を前提とした政策研究の中では、「普遍的な価値」がアジアの現実の中で本当に必要とされているかどうかをシステムとして評価することがまだ行われていない。 アジアのナショナリズムが、国際政治とくに日米関係にどのような影響を与えるか、という点もある。 また、一般的な視点からも、国際システムにおける日米両国の重みを考えると、その中での日米関係の重要性は高く、「安保ただ乗り」論のような議論ではなく、もっと建設的でグローバルパートナーシップの観点から実際の政策に結びつく議論を行うことが重要である。 また、急速な情報化が日米関係に与える影響も考えておく必要がある。 第三に、たとえばWTOやAPECなどの国際経済・貿易や、その他の局面 で、米国の外交が、二国間あるいは多国間のどちらの手段をとるか、という点は、日本にとって一つの関心事となっている。 なお、この会合には以下の方々のご出席を頂いた。 米日財団より、ジュリア C.ブロック理事長、プログラムオフィサー アラン ソン氏、同エリザベス ワン氏。 日本人識者として、飯島健さくら総合研究所代表取締役副社長環太平洋研究センター所長、猪口孝東京大学東洋文化研究所教授、小島明日本経済新聞社取締役論説主幹、古城佳子東京大学教養学部助教授、西山圭太通 商産業省米州課課長補佐、山内康英国際大学グローバルコミュニケーションセンター助教授、米村紀幸富士ゼロックス株式会社取締役、渡辺昭夫青山学院大学国際政治経済学部教授 当所より、清木専務理事 佐々木理事 企画研究部岸本、河野、松尾。
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