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ニュースレター
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1999年3月号 |
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INTERNATIONAL CONFERENCE | ||||||||||||||||||||||||||||
「市長による第1回アジア太平洋環境サミット」
[サミットの目的]アジア太平洋の各国の地方自治体が、自分たちの抱えている様々な問題の克服のためにローカルアジェンダ21(以下LA21と記載)を策定し、地方自治体どうしの国境を越えたネットワークを構築しながら、お互い協力しあいLA21の実行に結びつけ、持続的発展をめざそうという会議。 この市長サミットの背景には、現在アジアは世界で最も汚染のひどい15都市の中で13都市を有し、大都市の大気汚染は世界平均の3倍の水準、水質汚染は同4倍の水準(ADB:Kazi F. Jalal氏)に至っていることや、アジアは21世紀には人口増加による深刻な都市問題を抱えることが指摘されていることがある。 会議2日目の議長を務めたKathleen A. McGinty女史(タタエネルギー研究所のSenior Visiting Fellow(former Chair ,White House Council on Environmental Quality))は、「LA21は中央政府よりも地方(市町村)で進展がある。それは地域住民の身近な問題を取り上げるからである。」と述べ、地域住民こそが改善パワーの源で、その長が集まり、解決のために様々な問題を共有しあい議論することの重要性を強調していた。 (補足) LA21は、1992年の環境と開発に関する国連会議(通 称:地球サミット)でリオ宣言が採択され、その行動計画としてアジェンダ21が採択されたが、その各国版をさらにローカル(地方自治体)のレベルに落としたものである。国内での普及のさせかたは各国の国内事情で異なるため、国によっては、LA21は地域レベルでは浸透していない国もある。日本では、アジェンダ21を受け環境基本法が策定されているが、市町村レベルにはLA21という言葉では普及していない。これはアメリカも同様のようである。 [サミット概要]
2/2 午前:Keynote Address ゴア副大統領 経済と環境は両立しないものと思われていたが、健全な経済は環境もすばらしいものに出来る。我々の最も大きなチャレンジはローカルレベルのチャレンジである。 現在64カ国2,000の地方自治体が持続可能な発展のためにローカルアジェンダ21に取り組んでいる。 セッション1.2 ローカルアジェンダ21 ★’94年から環境問題に取り組んだが、社会的問題にも取り組まなければならないことに気が付いた。一国の問題でもない、多くの国が取り組まなければ成らない問題である。私たちは親として、健全で安全な将来世界を作る役割を担っている。自分たちの責任を果
たさなければならない。’99年はAPECサミットのホスト国をニュージーランドは務めなければ成らない。この会議の結果
を役立てたい。 午後:セッション2〜5(同時進行) 2-1 エネルギーシステム、3-1 飲料水、下水処理システム、4-1
廃棄物処理、5-1 都市の持続的環境構築のための市民の参画 2/3 午前:セッション1.3 Mayors’Action Plan グループ討議:LA21をどう推進するか。 LA21のコンセプトはグローバルスタンダードの機能がある。海外との連携には、共通 の言葉として役に立つ。LA21という言葉を使う必要があるかどうかで紛糾。 ハミルトン市の前市長はLA21 for sustainable development にしたらどうかと提案。 午後:クロージングプレナリーセッション 岡田会長挨拶&中国への植林のビデオ上映……大変感動する内容。満場の拍手。
[全体の感想](1) 国境を超え、各国の市長を集めた会議と言うのが特徴的。このような国際会議はあまりないように思う。しかるに同じ問題に直面 している当事者の代表者(市長)が集まり、問題を共有し対処方法を議論することは、非常に有効だと思う。特に今後この機会を活かして国境を越えたネットワークが形成され、解決につながればなお良い。今まで環境問題に直面 している途上国どうしの、横の連絡・連携はなく、この会議の意義は大きい。あとは、大気汚染、水質汚染等を克服してきた先進国の事例がどのように、その国に適用できるかであろう。そのままの適用は困難としても、人的・物的貢献はできそうである。今回はアメリカが主催する形ではあったが、日本としてもアメリカに協力する体制をとりたいと思った。 (2) 水質汚染、大気汚染などの都市問題は、今まさにアジアの発展途上国の大都市では限界に近付いており、緊急を要する需要課題である。しかるに、アジア経済は金融危機のために十分な資本がなく、市民は苦しい立場に追い込まれていると言える。日本も経済としては苦しい立場ではあるが、早期に経済を建て直し、アジア各国の経済の安定に貢献する必要があろう。 (3) 最終日の最後のセッションでは、ジャスコ株式会社岡田会長がクロージングキーノートアドレスを行い、イオン環境財団の社会貢献活動が紹介された。特に「万里の長城・森の再生プロジェクト」のビデオが終わると、会場は満場の拍手であふれ、サミットに出席した人々に深い感銘を与えた。 (4) このような会議には、日本からも市長のみならず、各種の環境保全関連企業等が参画し、アメリカと協力しながら、途上国の環境問題への対処策を議論するようになれればと思う。このサミットは毎年行いたいという希望が出ており、来年度のサミットには、日本からも多くの参画を期待したい。 (地球環境対策部 寺田 隆)
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