平成11年度事業計画書の紹介
(平成11年4月1日から平成12年3月31日まで)
去る3月1日に開催されました当財団の理事会において、平成11年度の事業計画が決定されましたので紹介します。
[はじめに]
地球的視点から、産業・経済と資源、環境、生活、文化との好ましい関係のあり方、地球人類の持続的繁栄を図るための地球経済社会のあり方等の地球産業文化に関する諸問題について調査研究を行い、総合的な政策を国の内外に向けて提言し、これらの研究に関する国際交流を促進し、もって地球社会の繁栄に貢献するという目的を達成するため、平成11年度においては、次の事業を実施する。
1.調査研究
(1) 研究委員会
テーマごとに次の研究委員会を組織し、調査研究を実施する。
1. グローバルガバナンス研究委員会(継続)
環境問題、国際金融問題、またトランスナショナル企業の活動等一国では処理不可能なグローバルな問題が顕著になっている。
このような中で国際社会のガバナンスの仕組をいかにして創りだし利用するのか。第2次グローバルガバナンス研究委員会では、「総合安全保障」研究委員会の成果
を踏まえ、グローバリゼイションの進展による種々の問題が発生している現状に鑑み,通
貨問題、金融システムを中心に、国際貿易体制、投資問題(WTO)、国連システム等の各種国際組織の課題、国際協調の限界と新たな枠組みを検討する。
2. アジアの中の日本を考える研究委員会(継続)
グローバル経済の下にあって、アジア諸国は経済危機に直面
し、その影響は地球的な広がりを見せつつある。今、アジア諸国から経済大国日本がアジアにどう対応していくかについて大きな関心が集まっている。
第2次の本研究委員会では、戦後の「アジアと日本」の関係を越えて、これから50年先のアジアを展望し、「アジアの中の日本」という新しいパラダイムを模索し、現在のアジアの経済問題と今後の発展について研究する。
3. 21世紀の開発戦略研究委員会(継続)
「2050年のサステナビリティ(持続的発展)研究委員会#の研究成果
を受け、10年度に引き続き、国際社会の持続的発展における日本の役割、特に発展途上国の経済発展の進め方に関して何をなすべきか、何ができるかを研究する。研究テーマは次のとおり。
1 世界の持続的発展の中での最貧国、環境弱者の問題析、
社会福祉指標の研究
2 調和のとれた経済発展の枠組み研究
3 国際市場経済へのあてはめ
4 21世紀の開発戦略
5 国・地方自治体の政策、企業・NGO等の役割分担の明確化
4. GDPにかわる経済指標について考える研究委員会(新規)
国民の幸福・満足は、GDPを中心とする経済的な豊かさのみによって得られものではなく、治安、健康、心の豊かさ等に負うところが大きい。とくに成熟した先進国社会では経済指標以外の部分(健康、心の豊かさ等)が国民の幸福に寄与するところが大きいと考えられる。
一国の政策の目標は国民の一人一人が満足して生活できる環境をつくることにあるとすれば、GDPに替わるGDH(Gross
Domestic Happiness)ともいうべき「真の豊かさ」を指標に持ち、それを基に国の施策が展開されることが望まれる。 本研究委員会では、真の豊かさとはどのようなものであるかを調査研究し、指標化を検討する。
5. アジアにおけるエネルギー安全保障研究委員会(新規)
アジア地域は、今後も経済成長と人口増加が相俟って、巨大なエネルギー需要地域になることが予想される。とくに東アジアにおいては、これまでの経済成長は鉄鋼・化学等のエネルギー多消費型産業構造によるものであった。また、中国においては、経済成長に伴う消費革命等によって、一人当たりのエネルギー消費が急増することも予想される。一方供給サイドをみると、アジアの産油量
は世界の1/10にも満たず、備蓄量にいたっては1/20程度であり、一部の国を除きエネルギーの域外依存度が高い。
このように予想される需要と現実の供給能力のギャップがアジア地域に種々の困難な問題(エネルギー開発競争、海上輸送路、原子力利用と核開発、環境問題)をもたらす恐れがある。これらの問題に対応できなければこの地域の安全保障そのものを揺るがしかねず、その影響は日本にとっても大きなものになると予想される。
本研究委員会では、アジア地域の持続的な発展のためのエネルギー需給問題の対応策と地域のエネルギー安全保障上日本の果
たすべき役割について研究する。
(2) 委託調査研究
民間の調査研究機関に委託し、次の調査研究を実施する。
1. 経済発展と地球環境問題の国際合意形成の研究
(3) 受託調査研究
国等から委託を受け、次のテーマについて調査研究を行う。
1. 地球温暖化対応方策検討調査
2. 発展途上国エネルギー消費効率化基礎調査等事業
3. 中国における共同実施活動調査
4. 気候変動影響評価等事業(IPCC)
5. エネルギーと環境に関する調査
(4) 助成を受けて行う調査研究
オン財団から助成金の交付を受け、次の調査研究を行う。
1. 途上国における持続的発展に対する日本の貢献のあり方研究
2.政策の提言
1.の調査研究を踏まえて、地球産業文化委員会の審議を経て、地球産業文化に関する総合的な政策の提言を行う。
3.共同研究
内外の研究機関(米国世界資源研究所(WRI),未来資源研究所(RFF),ヨーロッパ日本研究所(EIJS)、ストックホルム環境研究所(SEI)等)と協力関係を保つほか、平成10年度に引続き、次の会議等に参加し、共同して調査研究等を行う。
(1) 環境と開発に関する中国国際協力諮問委員会
(2) 環境保全と成長の両立を考える懇談会
4.研究会、シンポジウム等の実施
次のとおり、セミナー、シンポジウムを開催する。
(1)セミナー
1. 気候変動に関するワークショップ
(2)シンポジウム
1. 「転換期のアジア経済と世界の対応」シンポジウム
2. 「環境保全と成長の両立を考える」シンポジウム
(3)電子フォーラム
電子フオーラムについては、インターネットにホームページを開設して当財団の研究活動を内外に公開し、広く一般
と意見の交換を行う。
5.情報の収集及び提供
地球産業文化に関する情報の収集、分析を行うほか、次により情報提供を行う。
1. 調査研究に関する報告書等の提供
2. 機関誌「地球研ニュースレター」(和文)および「GISPRI](英文) の発行
3. 地球環境問題(企業)懇談会開催による情報の提供
|