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ニュースレター
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1999年4月号 |
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REPORT | ||
CDMワークショップにおける議論
ワークショップの目的と概要 昨年の気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)において、従来柔軟性措置と呼ばれていた「京都メカニズム」が、2000年末のCOP6を目途に具体的なスキームの詳細が詰められることが決定された。その中でも、プロジェクトをベースにしたクリーン開発メカニズム(CDM)に関しては、今後の課題が山積している。特に、プロジェクトが存在しない場合の温室効果
ガス排出量の「ベースライン」設定問題は、排出削減量すなわちクレジットの同定に不可欠であるものの、任意性が大きく、AIJのネックのひとつとなっている取引コスト削減のためにも、なんらかの「標準化」がなされることが期待されている。 ワークショップの総括と所感 ワークショップは、技術的な問題に焦点を当て、かなりインテンシブな議論がたたかわされた。その意味で、参加した諸外国の専門家にとって、さらには日本の役所や研究者にとって、充実した内容だったとの声が寄せられており、主催者の一員として満足している。 ワークショップ進行経過 ワークショップにおいては、この技術的な問題に焦点を絞り、まず、松尾(GISPRI)、Heister氏(世銀)、Kelly氏(CCAP)から、問題の総論的なサーベイと、その解決策のメニューを検討する発表があった。続いて、Ellis氏(OECD)から既存の試験的なAIJ(共同実施活動)の経験事例研究、竹田原氏(NEDO)、Mendis氏(AED)からエネルギー関連プロジェクトに関わる点、Trexler氏(TAA)から森林関連プロジェクトに関わる点が事例をまじえて紹介された。 共通の理解 このワークショップで確認されたこととしては、ベースライン問題にとっての重要なことは、
などであった。ベースライン設定の方法論、リーケージ問題などの間接効果 、不確実性に関する点などもコンセンサスが得られていない。 議論の中で、今後の国際交渉における現実的方法として、暫定理事会によるstep-by-stepで標準化の枠を広げていく(標準化を前提にcase-by-caseではじめ、プロジェクトタイプごとに方法論を徐々に確立していく)方法なども指摘された。また、この問題では、各種パラメタの「設定方法」を含めた「方法論(methodology)」の確立(交渉による合意)によって、不確実性などの問題を「取り扱う」ことができる、という指摘もあった。 成 果 このワークショップの成果としては、現在、このベースライン問題に関して、世界でどのような議論が、どの程度まで進んでいるか、という点がほぼ明確化したことである。主たる課題はほぼ抽出され、それへの対処方法に関しても、方法論としては(少なくとも概念的には)メニューが得られているものも多い。今後のUNFCCCプロセスの中での「取り扱い」のための「整理」はできたと言うことができるかもしれない(プロジェクト・タイプ個別 への適用の問題はまだ残されている)。 印象としては、現状でのAIJの経験はそれなりに役に立っているものの、それだけでは不充分で、今後の研究で補う必要がある。課題の整理や問題点の所在は、今回のワークショップである程度はっきりしてきた。今後はCOP6に向けて、さらに具体的で突っ込んだ議論が必要となろう。 今後、このワークショップの議論が、京都メカニズムのデザイン交渉において有益なインプットとなることを期待したい。 GISPRI/IGES 松尾 直樹 注) 議定書第12条においては、「プロジェクトがなかった場合と比較して」排出削減効果
が必要である、というように「追加性」を定義している。したがって、「資金の追加性」を明示しているわけではないが、発展途上国などでは、これを(運用上のガイドラインとして)重要視している見解が多い。
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