チャイナカウンシル・クリーナープロダクション
WGミーティングについて
本年3月18日から20日まで3日間の日程で、中国・山西省太原市において、チャイナカウンシル・クリーナープロダクションWGミーティングが開催された。以下、本ミーティングの結果
について報告する。
1.概要
中国側から銭易・清華大学環境工学部教授(中国側共同議長)を含むWG委員5名が、外国側から世界資源研究所(米国)Brewster上級副社長(外国側共同議長代理)を含むWG委員4名、清華大学環境工学部関係者、開催地である山西省太原市政府関係者他がオブザーバー参加した(合計で約30名)。
今回のミーティングのテーマは、平成10年11月のチャイナカウンシル本会議において承認された、中国の特定都市におけるクリーナープロダクション(CP)デモンストレーションプロジェクトの実施について、具体的な活動実施計画を検討することであった。
山西省太原市は、CPデモンストレーションプロジェクトの実施候補都市として、中央政府へ申請していたところ、このほど正式に第1号プロジェクトとしての認定を受け、国連環境計画・技術産業経済部(UNEP-TIE)よりの協力により、本年より3カ年計画でプロジェクトが実施に移されることになった。尚、本プロジェクトの中国政府側の所管省庁としては、国家環境保護総局、科学技術部、国家経済貿易委員会となっている。
2.中国政府のクリーナープロダクション活動への支援
3月5日に中国・北京で開催された、第9期全国人民代表大会(全人代)第2回会議において、朱鎔基国務院総理(首相)が政府活動報告を行った。全部で10項目にわたる報告の内、「7.科学・教育による国家振興の戦略と持続可能な発展戦略を実施する」においては、――
(1)さらに一段と持続可能な発展戦略を実施する。
(2)引き続き環境保護への投入を増やして、重点都市、地域、流域、海域に対する汚染対策を強めなければならない。
(3)基準を上回る汚染物質を排出する企業は期限を定めて、整備すべきであり、基準に達しない場合は、必ず閉鎖しなければならない。(以上抜粋)
としている。
その後、全人代での審議の結果、上記項目については、?の冒頭に、「クリーナープロダクションの奨励(鼓励清潔生産:漢字6文字)」が付け加えられ、採択された。この「クリーナープロダクション」は、中国の「持続可能な発展」を推進する上で必須の要素として初めて明確に位
置づけられたもので、今後、様々な産業活動の局面においてその推進が要請されるものと考えられる。
3.太原市の取り組みとCPWGの今後の活動
1)太原市の取り組み
太原市は現在人口293万人で、山西省の省都として、中国のエネルギー、化学、重工業生産の中核都市として発展を遂げてきた。しかしながら、長年にわたって中国国内への石炭・エネルギーの供給地となってきた反面
、深刻な大気、水質汚染等の公害問題が発生している。このため、今後の太原市の経済発展と環境保護を両立するために、また、持続可能な発展を行う上で、CPの実施は不可欠なものであるとの結論に至った。
今後、太原市としては、地場産業である鉄鋼、石炭、化学産業等からCP実施対象のモデル企業(工場)を10社選択する予定である。CP手法の導入・実施により、特に重工業では、大気汚染の主要因となっているNOxやSOxの低減が図られ、省エネルギーの促進も期待される。また、こうした一連の諸活動によって、中国におけるCO2等の温室効果
ガス排出削減の一助にもなると考えられる。
2)CPWGの今後の活動と支援
CPは、環境への負荷を低める技術導入によるものと、CP監査を行う専門家教育、企業の従業員への啓蒙活動、行政府による法規則・関連産業政策の改善等と、大きく2つに分けることができる。CPWGとしては、主として、太原市のこれまでの「持続可能な発展」と「環境保護」に関わる政策と環境汚染のデータを太原市側のCP研究チームと共に調査、研究を行っていく。
銭易・清華大学教授を中心とするCPWGの中国側メンバーは、CP推進のための政策研究を行うため、太原市にて現地調査を行い、その結果
につきワークショップ(セミナー)を開催する予定である。
一方、CPWGの外国側メンバーは、諸外国でのCP活動の実施事例を調査し、中国側事務局(清華大学)へフィードバックを行う。また、太原市でのCP活動実施に向けての提言・アドバイスを行っていくこととなった。
次回のCPWGミーティングは、チャイナカウンシル本会議(10月19日〜21日於:北京)より以前の、8月下旬〜9月上旬に中国国内において開催される予定である(開催地は未定)。
(伊藤 裕之)
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