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2001年 3

MEETING

チャイナカウンシル・クリーナープロダクション
WG会議出席報告




 3月22日(木)〜24日(土)に、中国・海南省三亜市にて「環境と開発に関する中国国際協力委員会(チャイナカウンシル(注1))」クリーナープロダクション WG会議が開催され、事務局として参加したので以下の通り報告する。



参加者: 慶応義塾大学井出教授(WG共同議長)、清華大学銭易教授(同)、外国側WGメンバー、中国側WGメンバー、江蘇省環境保護局科学技術部副部長、国家経済貿 易委員会(SETC)資源節約総合利用司副部長、他計23名。

○主な内容:
1.クリーナープロダクションに関する訪日研修の成果
2.中国・江蘇省におけるクリーナープロダクションと国家経済貿易委員会(SETC)の取り組み
3.チャイナカウンシル本会議に向けたWG活動まとめと今後の計画



1.訪日研修成果報告


会議風景
 先進国におけるクリーナープロダクション(CP)の実践企業の見学機会を設け 、その成功事例と経験について研究することにより、中国国内の企業レベルでの具体 的なCP導入促進につなげることを目的に、本年2月下旬から1週間の日程で日本国内 での受け入れ研修を実施した。参加者は企業(アルミ、化学)2社、清華大学、研究専門家他、計7名。

 受け入れ研修では、NEDO、セメント協会、日本化学工業協会等7団体よりのレクチャー及び神戸製鋼所・真岡製造所(アルミ)、日本化成・小名浜工場(化学肥料 )、三菱マテリアル・横瀬工場(セメント)への見学を実施した。

 今回の成果として、(1)日本におけるCPについての理解を深めることができたこ と。(2)日本における高い製造技術とマネジメントレベルを理解できたこと。(3)日・中 のCPへの取り組みに関わる差異を認識でき、今後のCPの導入促進に向けた方策の一助 とすることができた、ということが挙げられる。

 特に、セメント協会(山下専務理事)の説明によれば、日本国内の省エネルギ ー率は先進国の中で最高レベルにあり、二酸化炭素排出削減にも大きく貢献している 。セメント工場の実地見学では、下水処理場から出る汚泥廃棄物の最終焼却処理も行 っており、省エネのみならず、環境配慮型の循環型社会構築の一翼を担っていること が理解できた。




2.江蘇省のCPとSETCの取り組み

1997年以降、江蘇省内の第2次産業の中から化学産業を中心として、クリーナ ープロダクション(CP)実施対象企業を選定した。1997年度に31社、98年度に85社、 99年度には140社まで増加させ、CPの実行度を測定するIndicator systemに基づいて、省エネと公害汚染防止活動を行った結果、1999年度では、全社合 計で1.6億中国元(1元≒15円)の収益向上が図られた。

 これまでの活動を通じて、各企業のトップマネジメントから一般従業員レベル までの様々な職階でのCPに対する理解度・認識度の向上が必要であることが分かった 。また、従来のエンド・オブ・パイプからプロセスコントロールを重視し、環境管理 システムISO14000の取得も奨励する。2001年以降は中央の第10次5カ年計画に沿って、中小企業(郷鎮企業)、農業分野へもCPの対象範囲に加えることを検討中である。

 1996年〜2000年の第9次5カ年計画において、とりわけ石炭火力発電所部門で の二酸化硫黄(SO2)排出削減を重点に取り組んだ。その際、CP活動の一環として、 使用エネルギーである石炭の硫黄(S)分の含有量を少なくさせるクリーンコール化に努力した。
 
その結果、S分はそれまでの1.7%〜1.8%から0.2%〜0.7%へ減少させることが可能となり、燃焼後に発生する二酸化硫黄排出量を大幅に削減することができた。それは、また、二酸化炭素排出削減にもつながるものである。第10次5カ年計画において も、同様のクリーンコールテクノロジーを全国に普及させ、環境保全に努力する計画 である。



3.CPWG活動のまとめと今後の計画

 1997年以降のCPWGの活動成果をとりまとめて、活動報告書として出版する予定 である。また、出版印刷前のペーパーは次回チャイナカウンシル本会議(本年9月)へ提出予定である。
 中国国内でのCPに関するさらなる啓蒙活動のため、「国際クリーナープロダク ション会議」を9月に北京市で開催し、中国国内(政府、企業)並ムに海外(日本、 カナダ、東南アジア等)からの専門家、有識者等によるCP政策および具体的な実践事 例についての講演と、それに引き続くパネルディスカッションを開催する予定である 。


(注1)中国政府に対して環境と開発の統合に関する建設的な提案をするための ハイレベルの諮問機関であり、1992年4月に設立された。本WGはその傘下の作業部会 活動に位置付けられる。


(文責:伊藤裕之 現日産自動車(株)勤務)