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温暖化問題はエネルギー問題とも言われ、エネルギーの需給動向が大きく寄与している。 |
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1998年の各国排出量実績と京都議定書目標を比較すると、各国において状況が異なり、デンマークでのギャップが大きい。 GHG排出国別トレンドを見ると、デンマーク、オランダ、ノルウェー、米国は増加傾向にあり、デンマークについては、ノルウェーからの水力発電の輸入量に大きく左右されるため、毎年の変動が大きい。 ドイツ、英国は減少傾向で、京都目標にかなり近い削減を達成している。 |
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各国におけるエネルギー強度、炭素強度を見ると、EU各国では1990年以降省エネが進んでいるのがわかる。また、ドイツや英国では燃料転換が進んでいるため、炭素強度も下がっている。 |
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京都目標を達成するには、コマンド&コントロール、市場的方策、自主協定など様々な政策がある。 各国での政策導入状況を見ると、試行錯誤を繰り返しながら、組み合わせているというのが実態である。 炭素税については、各国における税率が異なり、産業界での国際競争力への影響を考え、優遇措置を導入している。 排出量取引については、デンマークでは電力業界において、また英国では今年の4月から導入されている。これらの中では、協定締結者への免税や再生可能エネルギークレジットの転用といった各方策の組合せが導入されている。(EU、ノルウェーでは、2005年からの導入に向けて検討している。) |
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オランダでは、ERUPT、CERUPT制度が始まっている。 |
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米国の離脱でマーケットの不確実性が増えたものの、京都メカニズムはGHG削減コストを低減できる重要な手法である。 国内対策での限界削減費用に比べ、将来の市場取引価格はかなり安くなることが予想される。 ホットエアを持つロシアの挙動により価格が変動するため、様々なオプションを持つ必要がある。 |
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現時点でのCDMへのアプローチとしては、F/Sや民間のVER取引といった準備的段階のもの、国内の取引制度設計(CERの取扱)、リスク削減のためのFundによる投資、政府による直接購入といったものがある。 |
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今後の対応としては、民間はCDMのポテンシャルを見極める必要があり、また、推進するにはいかにインセンティブ(制度、資金)を与えるかが重要である。 |
Q:ロシアはどう動くのか?
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世銀PCFは、プロジェクトリスクの低減、取引費用の削減、知見・経験の蓄積を目的としている。 |
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政府:1千万ドル、民間:5百万ドルの出資で、総額145百万ドル集まっており、30〜40のプロジェクトを行う予定である。 価格は〜$5/t-CO2を予想しており、コンサーバティブなベースラインを想定した高品質クレジットの提供を予定している。 ホスト国委員会には、アフリカ:9カ国、東欧/中央アジア:8カ国、ラ米:13カ国で、アジアはインド1カ国のみである。 |
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投資の内訳は、エネルギー効率改善が約21%、廃棄物メタン回収等が約19%、風力が約18%となっている。 |
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ブラジルプロジェクトの事例紹介: コークス炉から木炭炉への転換。ただし、既存の木炭炉は健康被害を巻き起こす上、メタン発生も多くバイオ利用分も相殺されていたので、改良型によるメタンの完全燃焼を目指している。 |
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PCFのプロジェクトは、ベースにそもそものプロジェクトのファイナンスがあり、それに加えて炭素排出抑制がもたらす炭素ファイナンスの価値をプラスすることができる。(炭素価格を$3〜5/t−CO2とすると、炭素ファイナンスはプロジェクト投資の約5〜15%に相当する。) |
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インドの廃棄物管理プロジェクトでは、炭素ファイナンス抜きでIRRが14%であったものが、炭素ファイナンスを入れるとIRRが19%に上昇する。炭素ファイナンスによるIRRの上昇分は、$3/t−CO2とすれば、再生可能エネで0.5〜2.5%、廃棄物メタン回収プロジェクトでは、5%以上となる。 |
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CDMの将来のポテンシャルは、現時点ではわからない。 ホスト国の能力が投資の大きさや技術移転を制限する要素になる。 実際にプロジェクトを行うのは民間であり、ここの能力向上が重要である。 探っているだけでは不十分であり、早期の経験を積むことが重要である。 |
Q:炭素クレジット価格$20/t-Cはどう計算したのか?
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オランダでは、既にプロジェクト入札を始めているが、日本企業の参加は限られており、これは関心がないか、知らないためであろう。 CDMの推進には、企業投資家が動く必要がある。 |
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オランダは第1コミットメント期間に40百万t/年、5年間で200百万tを削減する必要があり、この半分(100百万t)を京都メカニズムの活用でまかなうつもりである。基本的にはJI・CDMを活用し、足らなければホットエアを活用することになる。 京都メカニズムのコストはEUR10/t以下であり、費用対高価がある。 早くスタートした理由は、市場を開拓し、新たな商品(コモディティー)を作りたい。(リスクはわかっている。)ルール作りを待っている国もあるが、ローハンギングフルーツ(安価なプロジェクト)を取りたいと考えている。 |
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Senterは、環境省、経済産業省のプログラムを実施する機関であり、現在80のプログラムがある。 |
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ルーマニア水力プロジェクト:出力は55MW。5年間で612,000t-CO2の削減。炭素契約はEUR3百万。 |
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投資家がERUPT、CERUPTに投資するのは、炭素クレジットを売ることによって投資収益が上がるからである。ホスト国にとっても、海外からの投資を生む、公害の低減といった魅力がある。 |
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熱供給プロジェクトでは電力・熱を販売した上、CO2排出を削減できるメリットがある。 炭素クレジットの価格はEUR3〜6である。 現在、オランダは唯一の買い手プレーヤーであり、売り手よりも強い立場にあると考えている。 |
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ポーランド風力プロジェクト:出力は2MW×30。5年間で583,500t-CO2の削減。炭素契約はEUR5.25百万。 |
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吸収源プロジェクトについては、COPでのルールが決まってから進めることとしている。 |
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EU内での調達においては、公開入札を行う必要がある。ちなみに、現在約5%をオランダの企業が占めている。 第一次選考では、企業の信頼性、経済力・技術力があるかといった点をチェックする。 JItender2000では、4件の契約を結んだ。 CDMtender2001では、80件90百万t-CO2の応募があり、26件32百万t-CO2を選考した。(選考された13のホスト国のうち、3つがアジアからである。) |
Q:オランダ政府は国内対策を50%としているが、この決め方は?
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気候変動に関する行政組織(NCCCCP)については、省庁をまたがった委員会を設置する。議長:国家発展計画委員会、副議長:外交部、科学技術部、経済貿易委員会、環境保護委員会、気象庁。メンバーは航空関連が加わって14人になった。構成はIPCCの組織に似ている。 |
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COP7以降実態がわかってきたため、中国はCDMについて積極的に活動することにした。 京都議定書の批准は適切な時を待っておこなう。今は閣議レベルでKPの承認を受けるという方向であり、その後国会で批准したい。 |
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アジア開発銀行のプロジェクトについては、入札プロセス中。7月に内容についての交渉が開始される。カナダのCDMプロジェクトは協力案件で、最終的な調印をするところ。 |
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中国はビジネスセクターの知識が限られている。CDM等をもっと知ってもらい、また外国のパートナーと作業するという面でも問題が起こらないようにワークショップをやる必要がある。 |
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CDMの運営・管理としては、国内にCDM理事会のようなものを作ることを考えている。 プロセスはなるべく簡素にしたい。透明性を重視。 具体的なプロジェクトとしては、特にエネルギーセクターにける削減と再生可能エネルギーにプライオリティーをおいているが、まだ承認されたプロジェクトはない。 これからやるべきこととしては、まず制度を立ち上げなくてはならない。学術機関にもサポートしてもらい、特に北京以外の地方(「省」レベル)でもきちんとした管理が出来るようにならなければならない。また、産官学すべてが協力して能力育成を行い、CDMの意識を高める必要がある。 |
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途上国にとってSDはやはり非常に重要なことであるが、$2−3/tではSDは達成できない。だから技術移転が非常に重要になってくる。 |
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世界銀行のプログラムであるPCFに中国は消極的だった。なぜなら金額が低すぎること、またPCFではCERが発行されたときにお金が支払われるという仕組になっているが、この仕組に懸念があった。(中国はまだ参加するかどうか検討中。) |
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中国でのCDMに関するポイントは、中国は積極参加することした。制度も作っているところ。またポテンシャルもある。キャパシティーがないので、そこを強化する必要がある。 |
Q:中国におけるCDM窓口の決定、スキームの確立はいつ頃か?
時間 |
内容 |
10:00-10:10
(10分) |
開会挨拶……[大井篤、(日本) 経済産業省 大臣官房審議官] |
10:10-10:40
(30分) |
基調講演……[岡松壯三郎、(日本) CDM理事会副議長]
「CDMの推進に向けて」 |
10:40-12:00
(40分×2) |
発表1(1)………[Christine Zumkeller、 UNFCCC事務局]
「CDMに関する国際交渉の現状について」
・COP7までに決まった事項
・CDM理事会での検討状況
発表1(2)………[杉山大志、電力中央研究所、小規模CDMパネル]
「小規模プロジェクトに関する手続き簡素化の現状について」
・小規模CDMパネルでの検討状況
・小規模プロジェクトに関する手続き簡素化の可能性 |
12:00-13:30 |
昼食 |
13:30-14:10
(40分) |
発表2 ……[工藤拓毅、(日本)日本エネルギー経済研究所]
「主要国における最近の温暖化対策とCDMに関する取組について」 |
14:10-15:30
(40分×2) |
発表3 国際機関及び先進国の取り組み事例について
発表3(1)…[西村郁夫、(日本)東京電力環境部国際業務グループ副長
(元世界銀行PCFシニアエンジニア)]
「PCF(プロトタイプ・カーボン・ファンド):その進捗とCDMプロジェクトにおける炭素ファイナンスの役割」 |
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発表3(2) ……[Egbert Liese、 (オランダ) Senter Internationaal]
「CERUPT、ERUPTプロジェクトの現状について」
・Carboncredits.nlプログラム(CERUPT,ERUPT)に関する検討プロセス
・Carboncredits.nlプログラムのメリット、デメリット |
15:30-15:50 |
コーヒーブレーク |
15:50-17:10
(40分×2) |
発表4(1)……[Chow Kok Kee、 (マレーシア) CDM理事会委員]
(2)……[Lu Xuedu、 (中国) CDM理事会委員]
「途上国の考えるCDMについて」
・ホスト国におけるCDM受け入れ体制
・途上国のニーズ |